幕間:ドラゴン伝説
『最後のドラゴン退治』
昔々、女神様の加護ある聖王国に、少年と少女がおりました。
少年の名前は ジョージ 勇敢な心の持ち主でした。
怪物退治が得意でしたが、弱いものを決していじめず、その剣で人々を守りました。
少女の名前は エリナ 優しい心の持ち主でした。
魔法が得意で、人々の傷や病気を治し、人々に慕われました。
ある日、大風山の頂上の魔王が、竜の軍団を引き連れて、聖王国に戦いを仕掛けました。
「王国を滅ぼして、全部俺のものにしてやるぞ。ドラゴンたちよ、行くがよい」
竜の中でも大きな翼を持つものが二匹おり、赤い竜と黒い竜がいました。
赤い竜は炎を吐いて王国中の畑や町を焼き尽くしてしまいました。
黒い竜は、爪と牙で王国中の人々を食べたり、殺して回りました。
聖王様は驚いて、女神様に神託を乞いました。
「大風山の魔王と竜を倒せるものはいないのか」
女神様は答えました。
「国中で最も強いジョージと、国中で最も優しいエリナです。ジョージに聖剣を、エリナに加護を与えましょう。」
聖王様は神託通り、ジョージを勇者、エリナを聖女として魔王に戦いを挑みました。
赤い竜は嘘つきでした。
「魔王様よりも、女神様の方がいいよう。仲間にいれてくれよう。」
と言って、二人を油断させました。
「もう悪いことはしないか?」と二人が聞くと、赤い竜は
「もう悪いことはしないよう」と、女神様の前で誓いました。
二人は優しかったので、そのまま見逃しました。
黒い竜は乱暴者でした。
「魔王様のご命令だ、くたばれ!」
黒い竜は鉤爪と黒い息で襲ってきましたが、聖女が女神様の加護で勇者を守り、勇者は聖剣で黒い竜を斬りつけ、倒しました!
「うひゃあ、これはたまらん。」
女神様の聖剣の力で、黒い竜は月に封じられてしまいました。
魔王は欲張りでした。
「王国のお金も、兵隊も、お姫様も、ぜーんぶ俺のものだ!」
魔王は魔法を使って墓場から骨の兵隊を作り出し、竜の軍団と一緒にけしかけました。
「させるものか!」
二人は剣と魔法の力を合わせて、死者を墓場に戻し、竜の軍団を切り、魔王を打ち倒しました。
魔王が死んだあと、ひょっこりと現れた赤い竜は言いました。
「しめしめ、魔王が死んだ今、俺が本当の魔王だ。女神様の誓いなんて知らないね。」
赤い竜は聖女をさらって、山に飛んでしまいます。
「しまった!エリナ!」
女神様は言いました。
「勇者ジョージ、今のあなたなら一人でも立ち向かえるはずです。誓いを破った裏切者に制裁を下し、聖女エリナを助け出しなさい」
ジョージは答えました
「言われるまでもないことだ!」
山の頂上で、赤い竜はエリナを腕で掴みながら待っていました。
「ジョージ、たすけて!」
「勇者、ひとりじゃあなにも出来ないんだろう!」
「そんなことはない!エリナ!今助けるぞ!」
決死の戦いでした。
竜の炎が大地を焼き、鋼と爪が幾度となく打ち合いました。
赤い竜が炎を吐くために首をもたげた瞬間を、ジョージは見逃しませんでした!
「そこだ!どりゃあーーーーーっっっ!!!」
ジョージの決死の切り込みで、赤い竜の首は切り落されました!
「エリナ、無事でよかった」
「ジョージ、助けてくれてありがとう」
二人は結婚し、聖王様の褒美を受け取って、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。




