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サムライ✕ACCEL  作者: ミミササ
第二章・九醒王編
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第59話 なにもない1週間

 すみません、普通にサボってました。

 現実の事で嫌な考えばかりしていたので、投稿ペースは前みたいに週2,3回投稿に戻していけたらなと思っています。


 本部からの招集を受けて偵察戦闘員から調査分析官へと昇進してから一週間、第五支部にも慣れてきたのだが……。


「十兵衛、なにか報告はあったか?」

「なんにもないよ、軍人さんは?」

「オレも無しだ」


 九醒王に関する情報が一向に集まらない。

 調査分析官となってからの成果は無く、かと言って新しくできた部下の能力がないわけでもない。上司であるオレ達の能力が低い故の出来事だと思っている。


「東雲さんが上司の頃はもっとスムーズに進んでたのにな……」


 同じ立ち場になってはじめて気づくことは多いが、まさかここまで仕事が進まないとは思ってもいなかった。


「適材適所ってやつだよ」

「あー、ね」

「俺達は偵察戦闘員向きだったってだけ」


 十兵衛の言っている事に納得する。

 確かにオレ達が偵察戦闘員だったころはとんとん拍子で進んでいた、それでも今の部下が無能かと言われるとそうではない。

 部下も部下で自分たちなりに頑張っているし、わからないことは聞いてくれる。逆にオレ達が受けていた任務が難しく、戦果をあげ、色々と聞かなさ過ぎたことが原因だ。


「少なくとも上司向きではなかったてことか」

「今の部下()達も優秀なんだけどさ」

「オレ達も捜索には出ているが目ぼしい情報は何にもなし」

「今回の任務が難しいってのもあると俺は思う」

「それもそうだな」

「志藤さーん!」


 外のベンチで休んでいると初めてできた部下である工藤 光里(くどう みつり)が慌てた様子でこちらに駆け寄ってくる。


「どうした工藤くん」

「志藤さん!九醒王と思しき情報が手に入りました!」

「なにっ!」

「どんな情報だ?」


 光里は一度息を整える。


「本屋の店主によると数日前、街中に巨大な生物が浮かんでいるのを目撃したそうです」

「街中に!?」

「他にも老人会の人たちが大型店の上空に巨大な何かを見たとのことです。全員場所は同じだそうで……」


 光里の話はにわかには信じがたい、街中に現れたと言うのならばもっと早くに情報が集まっていなければおかしい。

 もしかすると、これが九醒王の能力なのか……邪陰記帳には載っていないが別の邪陰の能力の線も切れない。


「とりあえず、オレと工藤の二人で現場に向かう。十兵衛は支部に居る部下たちを集めて戦闘の準備と他の基地への連絡を頼む」

「了解」

「工藤くん、案内してくれ」

「こっちです!」


 光里の後を走ってついて行く。もし、光里の話が本当ならガラクは九醒王を使って帝国全土を攻撃する気なのかもしれない。

 ことが起きる前に早く手を打たなければ!。

 走ること数分、ついた場所は電子機器の大型店舗。


「はぁ、はぁ、ここが目撃情報のあった場所か」

「はぁ、はぁ、そうです」


 一見特に変わった様子はないように見えるが目撃情報があった場所だ、慎重に行動しなければ。

 店舗上空を目を凝らして隅々まで見る。本当になにもおかしな所は見当たらないが……。


「……ん?」


 店の上空に巨大な熊のバルーンが飛んでいるのが目に入る。


「志藤さん、なにかありましたか!」

「……なあ、工藤」

「なんですか!」

「その話をしたのは全員お年寄りだったのか?」

「?ええ、そうですけど……」


 その言葉を聞いた彰は警戒を解き頭を抱える。


「大丈夫ですか!」

「ああ、オレは大丈夫だ」


 点と点が繋がった。

 これは九醒王の能力でもなければガラクの作戦でもない、たんなる光里と老人の勘違いによる誤情報だ。

 無線機を取り出し十兵衛と繋ぐ。


「――十兵衛、聞こえるか――」

「――どうした、軍人さん――」

「――支部にはもう着いたか?――」

「――後ちょっとだけど――」

「――そうか、ならよかった――」

「――ん?――」

「――目撃情報があったのは九醒王じゃなくて、大型店舗の開店バルーンだ――」

「ええ!そうなんですか!?」


 工藤が大げさに驚く。

 おそらくだが一週間も情報が集まらなくて焦った工藤と動物のバルーンを知らない老人との間で発生した食い違いが原因だろう。


「――どういう事?――」

「――簡単に言うと工藤と目撃者の間で食い違いがあった、現場に着いたはいいがあったのは巨大な熊のバルーンが上空に浮いているだけだ――」

「――そうか、それは別にいいんだけど……――」

「――ん?どうした?――」

「――もう、東雲さんや宗治さんには連絡してしまった――」

「……」


 そう言えば無線機は基本全員持ってるんだった……。


「――了解、その件に関してはオレからみんなに伝えておく――」

「――わかった――」


 十兵衛との無線を切り、東雲さんへつなげる。


「――東雲さん、こちら彰です――」


 …………数十分後。

 誤情報であることを全員へ連絡し、彰は疲れ果てていた。


(疲れた……まさか、誤情報を伝えるのにここまで精神がすり減るとは)

「すみません、自分が早とちりしたばかりに……」

「気にしなくていい、誰にだって間違いはある」

「でも……」


 工藤が申し訳なさそうに言う。実際かなり疲れたのだが、人間生きていればミスの一つや二つくらいするもんだ。

 それに一週間なにも成果が得られなかった焦りもある。


「とりあえず、支部に戻って情報を一度整理しよう」

「はい……」

「落ち込んでいる君にはこれをあげよう……!」


 落ち込む工藤に手渡したのは趣味で作った弾丸をモチーフにしたネックレスだ。


「あの、志藤さん……これは?」

「趣味で作ったネックレスだ、男にも似合う様に弾丸をモチーフにしたんだが……」


 女性の工藤に贈るには少々、いやかなり趣味が合わないな……。

 工藤の反応は俯いているからよく見えないが、もっと可愛い物にしておけばよかったか?。


(こりゃ後で東雲さんに部下の慰め方を聞いた方がいいな)

「志藤さん」

「ん?」

「ありがとうございます!」

「ど、どうしたいきなり?」


 なんかいきなりお礼を言われて頭下げられたんだけど、なに?怖い。


「自分を励ますためにネックレスをくれたんですよね?」

「え、まぁ……そうだけど」

「自分、これからも頑張っていこうと思います!」


 よくわからないが、なんだか元気が出たらしい。これだけの事で元気になってくれるのなら安い物だが、工藤がちょろすぎて逆に心配になる。


「それでは支部に戻りましょう!」

(よくわかんないが、なんか元気になったし結果オーライ……かな)


 元気よく歩き出す工藤にあっけを取られつつも慰めは上手くいったようで一安心だ。

 来た道を引き返そうとした時。


「ん?」

「あれ?」


 すれ違いざまに軍服を着た見知った人物に出会う。


「彰じゃねえか」

「岸森……!?」


 白髪に緑色のメッシュ、同じ士官学校に通う友人の岸森だった。


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