第39話 古史町(こふみちょう)
とりあえず2000~3000字で書いているのですが何文字くらいが読みやすいですか?
――翌朝、古史町の宿。
あの後、目的地に着いたオレ達は本部に連絡を入れ東雲さんの安否を確認した。
結果は無事だったがしばらくは安静にと言うことで、結局古史町の調査はオレ達4人ですることになった。
「おっさん無事かな……」
「まあ大丈夫だろ。列車から落ちたけど、あの人なら早々死にはしないだろ」
「そうか」
5月の中頃。1日目の午後、畳の上に2人で寝転がりながら時間を潰す。
東雲さん、もとい上司から与えられた任務はムクロ隊の捜索。その内容は待機、もしくは捜索の二択。
午前はオレが町の案内をして、一通りの場所を覚えてもらった。午後からは宗治達とオレ達で捜索組と待機組の2つに分かれることにした。
「軍人さん、暇だね」
「暇だな」
明日になればオレと十兵衛が捜索に出向く予定だ。
それまでの時間は休んでいると言えども気は抜けない、静かでいい町だが田舎過ぎて不便なのが問題ではある。
「ここに来るのに2時間かかったけど静かでいい町だね」
「そうだろ」
「でも暇だねー」
「宗治たちが帰ってくるまでの間は待機だからなー、まあ明日になったら色々回る予定だし、それまでの辛抱だな」
今日一日は明日に備えての休暇と考えれば力は抜けるが気は休まらない。この三日間のうち、いつ戦闘が始まるのかがわからない。
今ここを抜け出したとして、近くで戦闘が発生してもすぐには駆け付けられない。そのために待機している。
時計を見ると時刻は4時50分。6時には帰ってくる予定だ。
「とりあえず、1時間後くらいには帰ってくる。そしたら飯屋に行こう」
「どこの飯や?」
「ここから近い場所だ、だいたい3キロくらいの場所にある食堂だ」
「食堂か……何食べようかな」
――1時間後。
捜索から帰って来た宗治達を連れて、彰達は食堂へと向かっていた。
季節がつゆに差し掛かろうとしている時期、じめっとした空気から湿度を感じる中、食堂へ入っていく。
席に座り上に掛けられている札からメニューを選らぶ。
「皆なににするか決めたか?」
「俺は蕎麦」
「俺、かつ丼」
「私は親子丼で」
「オレは醤油ラーメンにするか、すみませーん」
店員さんを呼び注文する。
十兵衛が蕎麦、宗治がかつ丼、彩希さんが親子丼でオレがラーメンの4つを頼む。
待っている間、暇そうな十兵衛の相手を彩希さんがしている間に宗治から調査報告を聞く。
「それで、なにか進展はあったのか」
「一個だけ情報があった」
「どんな情報だ」
「廃病院にでる霊の噂だ。夜になるととある病室から少女の霊が出るらしい、何か知らないか?」
「いや、知らないな」
オレがここに居た時に廃病院の霊の噂なんてものは聞いたことが無かった。
そもそも、こんな田舎で霊が出たなんて話があれば噂が直ぐに広まる。オレが知らないとなるとその話はオレが引っ越してからの話だ。
「そもそも廃病院があったこと自体しらない」
「そうか。この噂はここ最近のものじゃないらしいから、関係ないのかもな」
「いつぐらいの噂なんだ?」
「十年くらい前らしい、だから何か知らないか聞いたんだ」
十年前と言えばオレが既に引っ越した後だ、霊の噂はその間にできた話だと言う事だ。
「十年前にはオレは引っ越してるから、その後の話だな」
「それじゃあ、わからねえか」
宗治達が見つけ出した手掛かりは謎が多い。
明日はその廃病院に調査しに行こう、ついでに昔住んでいた場所に行って誰かしら何かしらにか聞いておこう。
「はいよ、おまちどうさん」
頭の中で予定を考えていると出来上がった料理の品々が運ばれてくる。
出来立てであろう料理からは湯気が立っており、とても熱そうだ。
「「「「いただきます」」」」
各々食べ始める。
十兵衛が頼んだ蕎麦は少し分厚く、ズズッとすする音に厚みを感じる。
宗治が頼んだかつ丼はカツや米が出汁を吸っており、丼全体に味が染み込んでいる。
彩希さんが頼んだ親子丼は味のしみた卵にホロホロの鶏肉が乗っており、食べるたびに出汁が溢れる。
オレの頼んだ醤油ラーメンはチャーシューとネギに味付け卵、メンマが付いており、麺をすするたびに味の濃い醤油風味の汁が絡まれる。そこに味玉とチャーシューを合わせると旨味が増す。
「「「「ごちそうさまでした」」」」
夕食を食べ終え、店を出る。
会計は合計で1770磨誾、田舎と言うこともあってかそれなりに安い。
外が暗くなっている時間だ、日が昇っているうちに行動していないと言うことはこの時間帯だと向こうも活動的になっている可能性が高い。それに、ムクロ隊も残すところ2つだ、焦って暴走してもおかしくない。
ひとまず今後の予定を確認しておこう。
「さて、と。今後の予定だが、明日からはオレと十兵衛が捜索することになっているが……どうするかだな、このままの作戦で行くか全員で探すか」
正直、今の作戦での安定性はあっても確実性は低い。
ムクロ隊との戦闘が発生した場合すぐに駆け付けられるが、それ以外の問題が2つある。
「そうだな、このままの作戦だと長期間の消耗戦になるな」
「その間に攻撃される可能性だってあるわね」
1つは宗治が言った長期間の消耗戦。こうなれば戦闘できる安定性はあっても勝利できる確実性はないが、長期戦に持ち込めば東雲さんか誰かしらが応援に来るだろう。
そこで問題なのは彩希さんの言った攻撃の可能性だ。これは特務機関が最も警戒している現状を差す。ガラクだってバカではない、特務機関がムクロ隊に気を取られている隙に別の手を打ってくるはずだ。
「それに問題はもう一つあるよ、最悪なのは俺達が気付かずに逃げられることだ」
2つ目は十兵衛が言った通りだ。
現状、特務機関の力は弱まりつつある。その中には当然情報網だってある、そこを突かれて逃げられればここへ来た意味が無い。
「それを踏まえて作戦を変えたいんだが、いいか?」
「いいぞ」
「軍人さんが言うなら別に」
「私も構いません」
「じゃあ作戦を変えよう、作戦内容は脱獄囚を探していた時と同じ方法だ。二人一組で探す。組分けは宗治と彩希さん、オレと十兵衛で分ける」
下手に組み立てるよりかは前回の任務でやった作戦の方がやりやすいと思っての作戦だ。
「了解」
「わかった!」
「わかりました」




