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サムライ✕ACCEL  作者: ミミササ
第一章・ムクロ編
25/58

第25話 特務機関本部

 1か月お待たせしました。これより第一章・ムクロ編が始まります。

 休んでいたのはワシが無職で職を探していいたのと、マージでサボっていただけです。


 ――カムイ帝国第一首都・カルマ都市――



 都市部を走る列車に揺られながら数時間、いよいよ目的の場所に着く。


「着いたぞ十兵衛」

「ん~。おはよう軍人さん」


 隣で眠っている十兵衛を起こして列車から降りる。

 改札を出て、駅前の広場に遅れて向かう。


「すみません、遅れました」

「来たか」


 広場に着くと先に出ていた宗治たちが待っていた。

 十兵衛は寝起きのせいなのか眠たそうに眼をこすっている。


 本部からの招集を受けてから三日後、オレ達は鈍楽亭を後にテンザイ府からカルマ都市に来ていた。

 獨録街から離れる際に感じたが、あそこだけ治安おかしくね?。獨録街を除いたテンザイ府の街もカルマ都市も治安の格差がありすぎる。


(治安って言うのは大事だな、あの街より格段にいい)


 士官学校があるおかげで軍服を着た人が多い、そのため軍服を着ていてもあまり目立たない。

 集団行動をしていても生徒同士の交流程度に思われるだろう。


「全員おるな、そんじゃ早速本部に行こか……って行きたかったんやけど、ちょっとゴタついとるらしくて遅れるらしい、ごめんな」


 東雲さんは困った様に言う。

 時刻は午前10時。一般的な常識で言うなら既に仕事は始まっているのだが、所属している組織がアレなのでこの際気にはしていない。


「遅れるってどのくらいですか?」

「それが僕にもわからんくてな~……、とりあえず午後6時くらいには終わってると思う」


 午後6時って8時間!?そんなに大変なのか!いったい内部で何が起きてるんだ。


「そ、そんなに大変なんですか!?」

「まあ、色々都合が重なった結果でなー。その間は自由時間やし遊んでてもかまへんよ」


 遊んでいても構わないと言われても……一応、仕事で来ている訳だから遊んで時間を潰してもいいものか……。


「一応、その間も給料は出るでその辺は気にせんでええよ」

「なら遊んできます!」


 そういう事なら話は別だ。遊んでいるだけで給料が発生する。なんて素敵な職場だろう、叶うならこのままずっと遊んでいたい。

 初めは内心いやいや就いた任務だったが、こんな仕事なら喜んで引き受けたい。


(初めは喫茶店で遅めの朝食でもとろうかな、その後は時計屋にでも……。)


 この後の予定を立てていると横から腕をガシッと掴まれる。

 隣を見ると誰もが一目ぼれしそうな美形の十兵衛が満面の笑みでしがみついている。


「軍人さん案内してね」

「…………はい」


 そうだった、ここに来る前鈍楽亭で東雲さんに十兵衛の面倒を任されたんだった……。

 さらば、オレの予定。お前のことは忘れないよ。


「ほな、6時にここに集合な~」



 ――喫茶店・愛宕――



 広場で解散した後、オレ達は彩希さんの実家である喫茶店愛宕に来ていた。

 十兵衛の街案内も兼ねてここでプランを練ろうと思っている。いきなり街に出てあの速さで走り回られたら絶対迷子になる。


「十兵衛、そこに置いてあるメニュー表から好きなの頼んでいいぞ。奢ってやる」

「いいの?」

「ん?ああ、東雲さんに案内しろって言われてるからな」

「わかった!」


 さて、これでひとまず時間稼ぎはできた。問題はこの後だ、なるべく十兵衛を落ち着かせるようにしないといけない。少しでも気を抜いたら見失う自信がある、となると……。


(次に行くのは映画館か書店屋、ゲームセンターなんかが良いだろう。幸いにも十兵衛は案外集中力が高い、この辺で時間を潰せば……)

「お待たせしました。こちらモーニングセットとオレンジジュースでございます」


 彩希さんが十兵衛の頼んだメニューを持ってくる。


「彩希さんここで働いてたの?」

「ここ私の実家なんですよ」

「え!?そうなの!!?」

「自己紹介の時に言っていただろう、喫茶店愛宕の看板娘だって。彩希さんの名字から察すればここは彩希さんの実家だ」

「そうだったんだ」


 まあ、本人の口から直接説明されていないから驚くのも当然ではある。

 これで間違っていたらオレも十兵衛みたく声を上げてただろう。


「そういえば、宗治はどこに……」

「宗治なら遊んでくるって言ってどこかに行きましたよ」

(あの野郎、オレを置いて遊びに行きやがった)


 どうせならアイツも道ずれにしてやろうと思っていたが一手遅かったか。


「それではごゆっくりどうぞ」

「いただきまーす」


 運ばれてきた食事に手を付ける十兵衛を見て小腹がすく。

 モーニングセットのパンの香ばしい香りとベーコンとソーセージの肉汁が目玉焼きと絡まり食欲を引き立てる。


(考えていても仕方ない。オレもなにか頼むか)


 メニュー表を開き十兵衛の頼んだ物を見る。イングリッシュ・ブレックファースト、写真に写っているものと全く同じものが出てくる。

 どうやらここは写真詐欺はしていないらしい。


 一通りメニューを見た後、テーブルに備え付けられたベルを鳴らして注文する。


「ご注文は」

「グラタンとアイスコーヒーを1つ、以上で」

「かしこまりました」


 注文を終え、予定もあらかた建てたので少し暇になり十兵衛の方を見る。


 鈍楽亭の時は気づかなかったが、こうして改めて見ると言動に反して所作が綺麗だ。

 何も知らない人が見れば良い所のお嬢さんくらいには見えるだろう。そう、何も知らなければな!。


「どうした?」


 こちらの視線に気づいた十兵衛が問いかける。


「綺麗だなと思ってな」


 なにもやましいことはない。ただ純粋に食べ方が綺麗だ。そう言いたかったのだが言葉が足りなかったのか十兵衛は目を丸くする。


「食べ方の話な」

「え!あ、ああ!そうだよな!」


 そう言いながら十兵衛はとてつもないスピードで朝食を平らげる。その間の食べ方も綺麗だった。


 その後、オレが朝食を食べ終えるまで十兵衛はこちらをじっと見つめてきた。やっぱりジロジロ見ていたのがいけなかったのか……。


「お会計、3050磨誾です」


 やはり物価は高い。これでも安い方だとは思うが獨録街の物価と比べると4倍近く差がある。上京してきた人が見れば驚くだろうな。

 オレの財布的にはダメージが少ないが気を付けた方がいいな、お金と言う物は案外すぐに無くなる。


「ありがとうございました」

「軍人さん次はどこに行く?」

「そうだな……デーパートで映画館でも見ようかと思っているんだが」

「映画館!行きたい!」


 作戦は上手くいった。街中を散策するのではなく一定時間を潰せる空間で定刻まで遊ぶ、これなら万が一にでも十兵衛が迷子になってもすぐに見つけられるだろう。

 外に出ようと扉の取っ手に手を伸ばすと向こう側から開いた扉にぶつかる。


「すみません!お怪我はないですか!」

「大丈夫です、少しよろけただけで……」


 謝る相手の姿を見ると黒い外套をつけた同じ軍服の人が4人いた。軍服から見るに士官学校の生徒ではない、士官学生なら緑色の軍服だ。


「すみません、ボクの友達が」

「こちらこそ、気付かずにすみません」


 もう一人の桃色の少女に謝られるがこちらにも非はある。謝る必要なんてないのだが。


「軍人さーん、どこー?」

「あ、十兵衛!先に行くな!」


 どさくさに紛れて街中に消えた十兵衛を追って喫茶店を出る。

 その後、向かいの機械屋にいる十兵衛を見つけて残りの時間を潰して、広場に戻った。


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