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サムライ✕ACCEL  作者: ミミササ
序章・百鬼兄弟編
23/58

第23話 本部招集の連絡


「新人隊員の招集って、オレ達以外にも新入隊員がいるんですか!」

「おるで~、皆僕みたいな上司と一緒に任務についとるしな」


 驚いた。まさか自分たち以外にも特務機関に入った者がいるとは、しかも任務に就いていると言うことはこんなレベルの事が国中で起こっていると言う事だ。大丈夫なのか、この帝国。


(自分で言うのもなんだが、みんなこんな命がけの任務に就いてるのか……)

「あ、誤解の無いように言うとくと百鬼兄弟みたいな新人だけの任務はそうそうないで安心してな」

(無いのかよ!)


 心の中でツッコムがそれはそれで安心する。こんな任務が常日頃から起きていたら命がいくつあっても足りない。

 宗治が質問する。


「それで招集ってなにするんですか」

「新人隊員の招集やと、まだ支給されてない装備とか特務機関の詳しい説明がされるはずやで持ち物とか服装は今のままでええよ」


 特務機関の詳しい説明か……邪陰を倒すことしか今のところわかっていないし紅桜の事だって聞きたい。気になることが多いが、当日になったら直接聞こう。


「それでおっさん、特務機関の本部ってどこにあるんだ?」

「お兄さんな、本部は帝国第一首都”カルマ都市”に拠点を置いとるで、まあ当日は僕も上司として行かなあかんで安心してな~」


 カルマ都市。そこは彰が通っている士官学校がある都市だ。

 特務機関の本部らしき場所は見たことが無い。士官学校に通う為、上京してきた際に都市を探索したり休みの日は街に出ているのだが、見落としているだけで実はあったりするのか?。


「カルマ都市か……どんな街かな」

「十兵衛は行ったことなかったんやっけ?」

「俺はずっと田舎の本家にいたからな、外に出たことあんま無いや」

「そうやったな……よし、本部に着いたらしばらく時間あると思うで彰くん、十兵衛と少し出かけておいで~」

「オレが、ですか」

「君らコンビ組んどるし、仲を深めるのにちょうどええかなって」


 確かに十兵衛とオレはコンビを組んでいるが……またあの時みたいになるのか。


(東雲さんの真意はわからないがまた迷子になられたら困る)


 もうすでに脱獄囚捜索の時点で十兵衛の破天荒っぶりは知っている。もし、大都市のど真ん中で急にいなくなられたら探すのにどれだけの時間が掛かるか……絶対目を離さない様にしよう。

 迷子になられたら確実に招集に遅れる。


「まあ、招集があるよ~ってだけの連絡やな。他に聞きたいこととかある?」


 彩希さんが静かに挙手し質問する。


「新人隊員って基本はどんな任務に就いているんですか」


 気になる質問だ。百鬼兄弟の様な新人だけの任務はあまりないとなると新人隊員の基本任務がどんなものか気になるところだ。


「いい質問や。基本的に新人隊員の主な任務は僕ら”調査分析官”の仕事の雑用や」

「あの、調査分析官ってなんですか」

「特務機関内での役職や、君ら新人隊員の場合は”偵察戦闘員”って言うて現場での実戦経験や調査分析官が動けへん間の偵察が仕事なんやで」


 名前からして察しはついていたがオレ達”偵察戦闘員”の役目は情報収集と戦闘が仕事らしい、そうなると”調査分析官”の役割は現場の状況を見極める指揮官の様なものだろう。


「せやから百鬼兄弟みたいな新人隊員のみ任務は珍しいんやで」

「じゃあ他の隊員は」

「簡単な邪陰の討伐やね、君達みたいに契約者との戦闘はあらへんで~」


 マジか。オレ達知らず知らずのうちにハードモードな任務受けてたのかよ……。

 だから士官学校に居るシノビの末裔のオレと戦闘経験豊富な十兵衛を組ませて、宗治と彩希さんの4人がかりで任務に就いていたのか。


「説明はこれくらいかな。そんじゃ、僕はいろいろ準備せなあかんで解散な~」



 大広間を出て立て直された西館の自室へ向かう。

 明後日にはこの街を出なければならないと言う事なら、今日と明日の残った時間で街を散策しよう。都市部と違いスラム街のこの街の物価は安い。

 初日に銃声でたたき起こされたのが懐かしいくらいだ。


「軍人さん、軍人さん」

「どうした」


 財布を取りに向かう途中、十兵衛に呼び止められる。

 もしかして、まだ怒ってたりして……。


「百鬼兄弟と戦った時に軍人さん達の指示に従ったけど何であんなに作戦が立てられるの?」


 あの時、戦闘経験の差で言えば十兵衛が一番上だったが指揮をしたのは彰と宗治だ。百鬼兄弟の予想外な戦力に歴戦の策も通用しなかった十兵衛だが、宗治や彰の作戦が潰えても的確に指示を出せたことに疑問を感じていた。


「ああ、士官学校は軍人育てる学校だから基本的な戦い方や勉強は教わるんだ。オレと宗治は同じところに通ってて同じ授業を受けてな、だから大体いつも作戦を授業で立てたりしてるんだ」

「軍人さんの学校ってあるんだ」

(そこからか……)


 いくら家から出なかったとて士官学校を知らないなんてことは無いだろうに、まあ十兵衛の言う通り作戦が連続で立てられたのは不思議だろう。

 初めの作戦が潰えた時点でダメかと思っていたが、宗治が的確な判断を冷静に下せたのが大きいとオレは思っている。まあ、東雲さんが初めからいたら解決した話なのだが……。


「ところで十兵衛朝食は食べたのか」

「まだだけど……」

「それじゃ食いに行くか」

「いいの!」

「おごってやる、ついでに街の探索とかしに行くけどついて来るか?」

「ついてく!」

「それじゃ、準備して玄関で待ってってくれ」

「わかったー!」


 そう言って十兵衛は玄関に向かう。

 部屋に戻って財布を手に取り中身を確認する。財布の中には5万磨誾が入っている。十分だ。足りないなんてことはないだろう。

 財布を取り玄関に向かうと宗治と彩希さんもいる。


「もしかして、宗治たちもお出かけか」

「彰たちもか」

「じゃあ全員で行こ!」

「いいですね!行きましょう!」


 十兵衛の提案に彩希さんが乗る。女性陣は乗り気なようだ、今更断る理由もないし全員で行くか。


「宗治、どこに食べに行く」

「俺は鯖の味噌煮が上手いあの定食屋に行くつもりだ」

「そこ、お前らに襲われた日に行ったぞ」

「あれは勘違いだって言っただろ!」


 玄関の扉を開き、街へ出る。

 こうしてハードモードな初任務は終わった。


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