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サムライ✕ACCEL  作者: ミミササ
序章・百鬼兄弟編
15/15

第15話 紅桜との対話

早く書きたいのに、色々スキルが足らないせいで書けないよ……。


「軍人さん……」

「ハハハハハハハッ!!」


 不敵に、大声で笑う。

 正気ではない。そんなことは見ればわかる、わかるのだが何故能力を使ってそうなるのか誰にもわからない、故に緊張がはしる。

 そんな中、一度暴走状態を見ていた宗治だけは冷静だった。


「作戦変更!二人は邪陰の相手をしてくれ!」

「「りょ、了解!」」


 傷だらけの体にむち打ち、彩希と十兵衛は武器を取る。

 百鬼兄弟と戦っている間にも時計台から邪陰の群れは攻め込んできている。


「沈め・村正」

「放て・レーヴァテイン!」

「させるか!」

「ハハハハハハハッ!」

「ぐっ!」


 邪陰に攻撃しようとする2人に龍宗は異能を使い距離を詰めようとするが、暴走した彰に人とは思えない速さで攻撃される。


「これじゃあ、適合者を持ち帰れないよ」

「……なるほど、これが欲しかったわけか 2人でやるぞ」


 百鬼兄弟にとって暴走した彰の戦力は予想外だ。

 適合者を見つけ、さらうだけでよかったのだが、こうも強いと手加減が難しい。それどころか下手をすれば自分達の命すら危うい。


 それぞれが役割を果たす中、宗治は焦っていた。

 当初の予定通りに作戦は行われているが、問題点がいくつかある。

 場所と戦力だ。襲撃をするのではなく、された上で無数の邪陰を引き連れてきたことが1つ目の問題。

 2つ目は4人全員の状態だ。彰が一時的に動けなかった間に他の3人は満身創痍の状況に立たされた、作戦が元に戻ったとは言え想定以上に皆削られている。


(この状況を少しでも良くするには彰が紅桜を使いこなせるかだ!そうしたらすぐに十兵衛さんと俺が交代して戦う、これが俺の精一杯の考えだ!)


 百鬼兄弟の実力は想定より上だ、だが今はそれ以上の戦力である彰に苦戦しているのであれば十兵衛さんの『異能の刃・沈殿影法師』を使い動きを止めれば、なんとかできるかもしれない。


(彰……早く紅桜を使いこなしてくれ……)


 宗治はただ構える事しかできない、万が一に備え彰が宗治たちを攻撃しないために待つ事しかできない。



――赤い……。


「ここは」


 目を覚ますと真っ赤に染まった世界で何もない黒い大地の上で寝そべっていた。

 立ち上がり、辺りを見回すが赤い空に黒い地面が地平線にまで続いている景色しか見えない。


「なんで、こんな所にオレはいるんだ……」


 何故ここに居るのか、どうやってここに来たのかすらわからない。

 覚えているのはボロボロになりながら紅桜を使った所までだ、その後突然この空間で目が覚めた。


「ほう、目が覚めたか」

「っ!」

「驚かなくともよいぞ、人間よ」


 声の方に振り向くと女性が一人立っていた。

 姿を見ようとすると視界がぼやける。そのせいで顔や表情まで見えないが、長い黒髪に色白の肌、白い装束に身を包んでいるのだけはわかる。


「えっと……どちら様ですか」

「どちら様もなにもお主とずっと一緒に居たではないか」

(ずっと一緒に居た?少なくともオレの周りにはこんな喋り方をするやつはいなかったぞ)

「まあ良い、それより本題に入ろう……」

(っ! 動けない!?)


 黒い髪をなびかせ女性がゆっくりと近づいて来る。

 反射的に身をかわそうとするが体が何故か動かない。必死に動かそうとするが(りき)むだけで動かせない。

 そうしている間にも女性はどんどん近づき、目の前まで来る。


(こいつ、一体何者なんだ!)

「そう焦らなくともよい お主が望んだ(わらわ)との契約、それを結んでやろうではないか」

「お前……紅桜か!!」


 「契約」と言う言葉で全てを理解した。今目の前にいる女性、これこそが紅桜だ。

 百鬼兄弟が狙っていたのはこれだと確信できる。顔こそは見えないが妖魔刀剣の成り立ちからしてこいつも邪陰だ、きっと恐ろしい顔なのだろう。


「……そうだ。妾が『紅桜』だ」

「ここはどこなんだ、早くみんなの所に――」

「――少しうるさいのう。今話をしているのは妾だ」


 片手で顔を掴み口を塞がれる。

 人の見た目とは裏腹に尋常ではない力で握られているせいで顔が潰れているのかと錯覚するほど痛い。


「お主と契約を結ぶにあたって一つ条件がある」

「ハァ、ハァ、ハァ」


 掴んでいた手を放し地面に落ちる。強くつかまれていたからか息ができなかった。


「仮契約とやらとは別に妾と契約を結べ そうすれば『紅桜』の力を操れるようにしてやるぞ」

「ハァ、ハァ、それはどんな契約だ」

「簡単な事だ、妾の力を与える代わりに数分だけ妾に体を貸してもらおう」


 その提案はとても魅力的だ、本来なら喜んで結んでいた。


 だが、全身に流れる血が、記憶が、体が、生存本能が、意識以外の全てがこの提案を拒絶している。任務を成功させ、仲間を助けられるうえに生きて帰れる、その提案が危険だと知らせる。

 生まれて初めて理性以外の全てが恐怖で支配され動けないでいる。


「こ、断らせてもらいます」

「何故だ?お主にとっても妾にとっても良い話ではないか」


 本当にその通りだ。全身が命の危険を知らせていなければ乗っていただろう、理性的にも迷いがある今、その誘惑に乗りたいが拒絶する。


「外にいる仲間だって助けられるし、お主を狙っている敵だって倒せるのだぞ」

「わかっている でもオレの全てがお前を危険だと言っている」

「だからどうしたと言うのだ そんなことで仲間を見捨てるのか?お主が助けたいと願った仲間を」

「、、、もし、お前との契約で友達を殺してしまったら……オレは自分を二度と許せなくなってしまう。そうなるくらいなら、お前をオレが使いこなせて見せるだけだ!」

「……フフフ」


 紅桜は不敵に笑う。

 なにがおかしい、本心を伝えたまでだ。紅桜との契約で状況が悪化しすべてが台無し、あるいは全員を殺してしまった場合オレは一生この事を後悔する。それに暴走しているとしても友達、宗治が何とかしてくれるだろう。


「フフフ、ハハハハハハハッ!」

「っ!」

「そうか、そうか、では仮契約だけ結んでおこうかのう」


 紅桜の笑みに驚いたが、何故か上機嫌だ。

 それどころか仮契約まで結ぼうと乗り出してきた、一体こいつは何がしたいんだ。


「どれ、その顔を妾に見せておくれ」


 頬に手を添え、赤い空に浮く紅桜は顔を覗き込む。

 隠していた黒い髪がわかれ、その顔が見えてくる。


「……」


 紅桜顔は美しかった。肌と同じ色白の顔をし、黒い瞳に黒いまつ毛、まるで全身が白と黒とで構成されいていると思うほど白く、そして黒く美しかった。


「さあ仮契約だ」


 近づく顔はやがて唇に触れ、時が止まる。静寂が辺り一帯を包み込み、意識がどんどん呑み込まれていく。呑み込まれた意識が暗闇の中へと消えゆく。




――暗い。


 暗い意識の中音が聞こえる、なにか大きな音がずっと響き渡る。


電気符号(エレクトリックコード)音声ヴォイス重音グラヴィティ!!」

時間制限(タイムアタック)


 音宗の攻撃を叩き切る。その隙に龍宗が距離を詰め殴りにかかる。彰は空いていた手で腕を掴み投げ飛ばす。


「っ!」

「兄貴、大丈夫か」

「ああ、少し動きは読めてきた」

「じゃあ、俺動き合わせるね 電気符号(エレクトリックコード)音声ヴォイス終了エンド!」


 周囲の建物を巻き込み衝撃波が襲い掛かってくる。


「狩れ・竜騎士(ドラグナー)


 衝撃波を切る彰の頭上から竜騎士が襲い掛かる。

 竜騎士は手放し龍宗は地上に降りる。紅桜で竜騎士を薙ぎ払い、生まれた隙に攻めるが蹴り飛ばされる。


「音宗!」

「奏でろ・天樂!」

「させるかよっ!泳げ・濡れ燕!」


 兄の合図で音宗は妖刀を手に取り、能力を使う。

 天樂から発せられた音の塊は一直線に向かっていくが宗治の濡れ燕が能力をかき消す。


「知ってるぞ、お前が来るのは」

「グハッ!」


 地面を蹴り飛ばし戻ってきた龍宗は宗治を殴り飛ばす。


「俺の狙いはお前だ」


 この作戦に切り替えてから龍宗は1つ疑問に感じていた事があった。

 適合者を襲った後、前線に出てきた宗治が全く戦わなかったことだ。

 適合者という作戦の(かなめ)が消えたことで前線に出てくると言うことは何かしらの対策があったと言う訳だ、それなのに今は後方で何か起きるまで待機と言うことは能力には条件がある。そう考えての狙いだ。


「ぐっ……」

「お前、対人系の能力か」


 音宗の能力を防いだ今、宗治の能力を理解した。


「まあ、どちらにせよ離脱してもらうぞ 時間制限(タイムアタック)


 移動しようとしちゃその時、右腕に熱い痛みが流れる。

 右腕は宙を舞い空高くに飛ぶ。


「っ!!」


 振り返るとそこには紅桜を振り下ろした彰が不器用な笑顔で立っている。


「すまん、遅れた」


 暗く濁っていた意識が段々と鮮明になっていく。

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