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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに


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48/57

♰48 名づけの順番は守るべき。

   ●♰●♰●



 リスタと合流して、魔界へ。



【魔界】 【最果ての村】



 村に降り立てば、村人総出で建設が進んでいるから賑わっている。


「ルビィ様だ!」

「ルビィ様! おかえりなさい!」


 私に気付けば声をかけて明るい笑顔で手を振る村人達。ひらりと、手を振り返す。


 熊の村長は慌てて「おかえりなさいませ、ルビィ様! ルビィ様のお住まいがもうすぐ完成します!」と報告しに来た。


 住まい? と首を傾げる。

 手が塗装塗れのまま、村長は案内してくれた。


 畑の方面にあった一軒の建物。大きな扉があり、中は広々とした一室。大人数で塗装をして整えていた。

 これが私の住まい? というか、何故私の住まいを用意しているんだろう。


「『ルビィ様のベッド』が入るようにしました」

「私のベッド?」


 ベッドがあるの? 作ったってこと?

 ドドドッと走ってくる音が聞こえてきたかと思えば、青い縞模様の化け猫が見えた。


「なーう!」と満面の笑みの化け猫魔物、ガットバー。


【ガットバー(ルビィ様のベッド)】と表記されている。

 呼称が私のベッドになってる。私がいつもベッドにしているから、呼称にまでなったよ、おい。


 まぁいいか、と顎をコショコショする。

 子ども達も私が戻ってきたと聞き、駆けつけた。


「ルビィ様、何か変わった? 綺麗になった」と犬耳の女の子がキョトリと見上げる。

「ありがとう」と、笑って頭を撫でておく。


「ルビィ様、花咲いた!」「咲いたら、オヤサイ食べさせてくれるって言った!」と、私は囲まれてしまう。


 リスタは改良に改良を加えて『成長超促進』を付与して『栄養分』も豊富に込めた。

 数日で野菜の花がもう咲いたようだ。ちゃんと咲くまで世話出来れば、地上から持ってきた野菜を食べさせてやると約束していた。


「よし、じゃあ見せて」

「「「はぁーい!」」」


 はしゃぐ子ども達と畑に向かいながら、『偽装』を使えるかを尋ねる。

 そもそも、魔界住みの子ども達は、人間に偽装する必要はない。なので答えとしては皆が使えないということだった。


「人間のフリが完璧に保てる子は、地上でお仕事の勉強をして、私の家で仕事をしてほしいんだけど」

「「「おしごとぉ?」」」

「うん。地上の方が美味しい物いっぱい食べれるよ?」


 ここは、やはり食べ物で釣る。元気よく挙手されたので『偽装』を習得した子達に使用人見習いをさせよう。


 料理に使える薬草と香草も順調に育っているので摘み時だ。先ずは、摘み方を教えて集めさせた。

 魔界生まれの薬草採取完了だ。野菜はジャガイモと人参。人参は、ウサギ型の魔獣の餌のためでもある。飼育小屋のところにも、植えておいた。


「ふむ、順調だな」と、大精霊のリスタもお墨付き。

 魔界生まれの野菜の成長は、上々だ。



 ロンの戻りを待つために、夕食を作る。

 私の住まいとともに、調理場も優先的に作られて、暗くなる頃には完成していた。

 そこで持ってきた調理器具で野菜スープを煮込んで、香草で揉み込んだ魔物の肉はこんがり焼く。野菜ゴロゴロのスープの旨味に感動する子ども達に村人達。これで料理の幅は広がるだろう。

 次は果物も作って収穫して食べさせたいものだ。場所はバカみたいにあるので、小麦だって育ててお菓子作りも出来るようにしたい。


「お待たせいたしました、ルビィ様。地上の魔物討伐の人員を集めてきました」


 ロンが戻ってきた。例の魔物討伐のための人手。狼耳の青年の頭を鷲掴みにしたかと思えば下げさせた。


「不肖の孫と入れ違いだったので、捕まえるのに時間がかかってしまいました。孫息子です」

「グルルッ」

「手伝わせます」


 唸る孫を殴って黙らせるロン。

 孫息子か。ずいぶん野性的で、堂々とした上半身裸だ。不機嫌な仏頂面は、性格に難がありそうなのを表していた。無理矢理連れてこられたようで、不服そう。


「まぁ、ロンに任せるよ。孫くん、よろしくね。ロンから聞いていると思うけれど、魔物を討伐して食料を確保して、素材集めを頼むね」と声をかけておく。

 見知った顔もいる。各村や街で顔を合わせたのだろう。討伐を任せられるのだから、腕に覚えがある魔物のはず。

「「「お任せください」」」とそれぞれ、頭を下げる辺り、やっぱりこちらもご飯で釣れたのだろうなぁ。


 夕食の匂いに、ソワソワしている。


 ロンはどの街から何人連れてきたか、ちゃんと記録してくれたそうだ。それにより、各出身地への報酬を振り分けるとのこと。各地の必要な生活道具のリストアップも、済ませたそうだ。

 仕事の出来る執事だと褒めたら、血涙を流しそうなほどアズライトが悔しがった。

 ロンのポジションになりたいのね、アズライト。


「なら、率先して仕事しなさいよ」

「なっ……! 横暴な命令、ご馳走です!!」


 ロンに出遅れてないで自分で仕事をこなえばいいじゃん、と言ってやったら、ショックを受けたと見せかけて大喜びした……。


「アズライト様、なんか変……」

「アズライト様、変……」

「変だ……」


 子ども達も、変態さを感じ取って引いている。

 名前がついたことを自慢されて、褒め称えていたのにね。


 『ルビィ様のベッド』と呼称がつけられたガットバーをコショコショぐりぐり。


「お前にも名前をつけてあげようか?」

「なう!?」


 見開いた目を輝かせた。

 がしかし、ぞわわわっと毛を逆立てる。ガタガタと震えて縮こまるからどうしたかと思えば、双子吸血鬼が牙を剥き出しに殺気立っていた。


「ルビィ……次、名づけするのはオレらだよな?」

「その猫、マジ首ちょんぱすんぞ……」


 殺気マシマシだ。本気度が違う。

 ガタガタブルブルと震えっぱなしのガットバーのために、順番を守ろうか。


「双子の強さって、悪魔の階級だとどれ?」

「えー? 今必要?」

「名持ちの時は『大公爵』くらいだったかなー」

「今は?」

「「ええ~……『侯爵』くらい?」」


 ちょっと面白くなさそうながら答える双子。

 それで最初は『大公爵』のアズライトと『侯爵』の私との対決は避けたのか。二回目に会った時に大精霊のリスタもいたら、そりゃ逃げたくもなるよね。


「名づけで進化するなら、『大公爵』級には戻ってほしいよね」

「「そこはルビィの愛でしょ」」

「……」


 『大公爵』級に戻れば十分だけど。私の愛で左右されるのかはさておき、双子の進化も重要よね。

 なんせ彼らの能力は足止めに適しているし、弱体化もいい。多勢の相手をしてくれるならば、頼もしい。


「もう決めた?」

「ねぇ決めた?」

「何が?」

「「名前!」」


 ずいずいと迫る双子。


「…………」


 沈黙した私は、そーと視線を逸らした。


「え? 何その反応?」

「違うよね? 考えてないとかじゃないよね?」

「ルビィ、違うって言って!」

「ねぇルビィ!!」


 左右で袖を掴んでグイグイ引っ張るけれど、素知らぬ顔を貫いておいた。駄々っ子は無視。

 でも正直、双子への名づけに消費する魂エネルギーが足りないのが現状。

 かと言って人間殺しに行くのもなぁ。無作為に殺す気はない。

 悪人ならいいけれども、そう簡単に見つかるわけもないしね。そこはしょうがないから、HPを対価にするしかないか。『悪魔王』になった分、HPは多くなっているしね。大丈夫だろう。


「どっちが兄なの?」

「「え?」」


 キョトンと目を瞬かせる双子だったが、スッと細めた。


「ルビィ……同時に名づけする約束だろ」

「え? そんな約束してない」

「した。絶対にしたから。兄の方が先とか言うなよ」


 釘を刺してきたよ、こいつら。仲いいな、おい。この双子。

 二人同時なんて……無茶言う。

 まぁいいか。どっちが先かと、喧嘩しないのなら。



 


どっちが兄とか決めてなかったし、名前もここの段階ではまだ決めていない状態。名づけは慎重に★


2024/04/03

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