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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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43/57

♰43 王城の上で『主従の名づけ』を。

   ●♰●♰●



 翌朝、目覚めてから、これからの予定を共有することにした。


 不仲のくせにちゃんと食卓につく一同。私が朝食をとるので、皆も真似する。

 ちなみにキンバリー伯爵邸から届く食材を使って、ロンが用意してくれた朝食だ。


「「結局こいつが最初かよ」」と不満な双子吸血鬼は、あわよくば番狂わせしたかったのだろうか。


「その挑発行為、本当に必要か?」


 隣りのリスタは、そう頬杖をついて尋ねた。


「いやいや、必要っしょ」と先に答えたのは元ディス。

「どのみち、進化するなら居場所がバレかねないんだからさ。敵地でやるのが一番でしょ」と元ジェスが続く。「かく乱にもなるしな」と元ディスが付け加えた。


 リスタはムッとしつつ、反論はしない。ただ私の意思を確認するように見やる。


「双子の言う通りだね。こちらの居場所を把握されないためにも、あえて敵地で名づけをするしかないよ。まぁ、地上で名づけするっていう手もあるけれども、かく乱は必要だと思う」

「多数決で決まりですね」


 笑顔の大公爵は、朝からずっとご機嫌だ。

 リスタはまだ何も言っていないロンに目をやるが、今更反対意見を言っても無駄だと思っているのか、ロンは肩を竦めて見せるだけだった。


「ちゃんと無事に戻れよ」

「うん、わかってるわ。お父様」

「だ、誰がお父様だ!」


 真っ赤になるリスタ。


「「キッショー」」

「なんだとヒルども!!」


 わーぎゃーと騒がしい朝となった。




 魔界での私の避難場所は、複数得られた。万が一にも『取り引き』の関係で地上に滞在出来ている状態に支障をきたしても、安全に魔界に戻って来れる。

 最初の村の瘴気は徹底的に除去出来たので、改めて薬草畑を生やす。

 水やりも瘴気を含めないために水場を確保した。それで水やりをするように、張り切っている子ども達に言い聞かせる。

 怪物猫のガットバーもやる気を見せていただが、念には念を入れて、『迷宮の鍵』で召喚した『シャドーナイト』を五体、守護を命じて待機させた。


 アネッサのところに行くということで、アラクネに会いたくないリスタはここで別行動。

 この村で薬草以外の植物を植えるとのことだ。お願いして、私と大公爵と双子とロンはアネッサの『蜘蛛の巣』へ。


 気だるげにキセルでタバコを吸う蜘蛛の魔物、アネッサ。


「アネッサ。建築学に精通しているような魔物に伝手はない? お肉と交換で」

「……」


 スゥー、とキセルを吸って、フゥーと煙を吐くアネッサは「なけなしの食料で衣類を交換する者がいるどすが……」と少し躊躇を見せたが「まぁ、ルビィはんなら悪いようにはせぇへんよな?」と確認してきた。

 アネッサなりに、その者を案じたようだ。


 弱肉強食の魔物の国だ。なけなしの食料となれば、あまり強くない魔物ということだろう。国でも酷使されるとか、大公爵も言っていたし、もしかしたら隠れて生きている魔物かもしれない。


「うーん」

「そこは悪いようにはせぇへんと言っておくれやす」


 言えないんだよなぁ、これが。


「善処するわ」といい笑顔で言い切っておく。どう扱うかは、臨機応変に、だもん。


 胡乱気な目で見られたが「ルビィはんを信用するどす」とアネッサは切り替える。

 しかし「アタシには、特に不利益になりんせんし」と呟いた辺り、アネッサは冷たいと思う。お肉と引き換えに、売ったやん。


 アネッサが教えてくれたのは、穴くら暮らしの『コーボルト』だった。

 場所もだいたい教えてもらい、『飛翔』で向かう。そこは見事な更地だった。でも、目印に教えてもらったアネッサが張り巡らせている糸が、ちゃんとここまで伸びているので、ここのはず。


「『索敵』に引っかからないけど、ここよね?」

「恐らく、地下に住処を作っているはずです」

「何らかの手段を用いて、『魔力探知』を掻い潜っている可能性がありますね」


 大公爵とロンって張り合うよね。


「ここら一帯をぶっ飛ばせば、入り口見付かるんじゃね?」


 なんて物騒な笑顔の元ジェス。元ディスも乗り気である。

 私はそれを放っておいて地上に降り立った。ここは『見抜く』をフル活用する場面だろう。


 ということで【隠し扉】と表記される岩を突き止めて、『コーボルト』の穴ぐらにお邪魔させてもらうことにした。


 岩を退けると、階段。きっちり削られた階段のようだ。器用なのは間違いなさそう。

 中に入ってしまえば、『魔力感知』で存在を確認出来た。

 長い地下通路は狭いので、長身すぎるロンは見張りで待たせることに。一番身長が低い私でも屈まなければいけないそこを通っていけば、扉。おお、石で出来ているけれどちゃんと扉だ。鍵はついていないので、押し開けさせてもらった。


「勝手にお邪魔しまーす」

「「「!!?」」」


 相手は完全に油断していたようで、突然の来客にびっくり仰天して飛び上がった。

 犬の亜人みたいな小柄な魔物が『コーボルト』か。


 それより、内装に感心した。これも石を削って作ったみたいだけれど、丸テーブルには彫りまで施されているし、椅子、タンスもある。地下らしい住処だが、クオリティーは高い。アネッサと物々交換しているだけあって、ちゃんと身なりがいい『コーボルト』が三匹。


「私はルビィ。頼みたいことがあってきたの。いいかしら?」


 にこりと私が笑いかけると。


「もちろん、名持ちの魔物相手に頼みごとを断ったりはしませんよね?」と、大公爵が逃げる選択を取り上げた。

 圧がすごい。笑顔の圧がすごいのに、目が笑ってない。

 自分の名づけがかかっているからって、プレッシャーをかけるなよ。

 別に断られても、名づけに行くから。


「頼みごとの報酬は食べ物だよ。それ相応の食料を約束するから、ある村の建築物をマシにしてほしい。先ずは家。扉もないような石造りなんだ。そのあとは、家具とか。可能?」


 真っ青になっているコーボルト達は、壊れたように頷く。

 本当に? 怖がっているだけじゃなくて?


「テキトーぶっこくと、てめーらが食料になんぞ」と、元ジェスが牙をちらつかせて脅したのでチョップを落としておく。


「建築技術なら持っております! 周辺の街も食料と引き換えに直しています! 大丈夫です!!」


 ひいっと怯えながら、一番年長らしいコーボルトが言った。実績はあるのか。信用出来そうだ。


 そういうことで、一度外に出てから、ロンと合流して最初の村へ転移しておいた。


 予め話を通していたので、村長に改めて許可を得て家の改築工事を始めてもらう。または新築。


 昼食に料理を振舞っていたら、難しそうに考え込んだコーボルトの最長年が「他の者も呼んでもよろしいでしょうか?」と提案した。ちなみに、彼らは父母と息子の三人家族。


「人手は多い方がいいでしょうし、これほどのご馳走がいただけるならその者も喜ぶでしょう」


 魔物、食べ物で釣れるんだからチョロいよね。とか思いつつ、それを承諾。


 食べ終えてから、コーボルト集めに行き、最初の村のリニューアル工事の手配が十分だと言うことを確認して、地上の元子爵邸へ戻った。




 名づけ&挑発作戦。


 大公爵の転移で第十三王の王城の屋根の上に降り立ち、そこで名づけをする。

 行くのは、名づけする私と、名づけを受ける大公爵。念のための戦闘要員として双子吸血鬼も同行。


 リスタとロンは、顔バレしないために待機。元子爵邸で私達が名づけを終えて戻るのを待つ。戻ってきたらすぐに転移を追跡出来ないようにするのがリスタの役目だ。ロンは役目がないので、不満げだった。


 念のための戦闘態勢。

 道具を忍ばせるロングコートを羽織り、ブーツをしっかり履いて、キュッと短パンのベルトを締める。Vネックのシャツを上からコルセットベルトでウエストを締めて胸を支えておく。


 私の着せ替えしている上に意気投合したカリンに双子がチクったのである。ノーブラだったと。こっぴどく怒られた。解せぬ。悪魔なんだし、そんな垂れパイにはならないと思うんだけどな。そういう問題じゃないと怒られたけど。


 大公爵は念願の名付けてと言うことで、一張羅で決めていた。ひと昔前の貴族の服装で、水色かかった白銀髪を、鼻歌交じりに整えている。


 そんな大公爵にちょっかいをかけようと目論む双子吸血鬼に、決行前余計なことをするなと睨みつけておく。『魅了』付き。

 チャームポイントの肩出しトレンチコートは、真紅の襟で赤い生地だ。メッシュもそうだけど、赤に執着し出した。


 大公爵も私の赤を取り入れたいと言っていたけれど、ことごとく『これはルビィ様の赤ではない!』と突っぱねた。

 多分こいつは、注文の多いマゾだ。つまりはめんどくせぇ。


 足止めにも最適な氷の剣を手に、準備完了。


「ルビィ、いざという時はそいつらを捨てていい」


 真顔のリスタに「「おい」」と青筋を立てる双子。双方、本気だなコレ。


「いってくるよ」と、ひらりと手を振る。

「お気を付けて」と、ロンは頭を下げて見送る。


 リスタ達にとったら、数時間はかかるはず。私達は、数分で済むはずだ。

 だらしなく緩まないようにキリッと表情を引き締めた大公爵に、合図を送り、転移を促した。



【魔界 第十三王国】 【王城】



 ねっとり絡みつくくせにパサついた空気。第十三王国の中心部とも言える王都を一望出来る王城の屋根の上に降り立つ。

 こうして見れば、人間の街並みと変わらない。最果ての街や村とは大違いだ。


 冷めた気持ちで一瞥した私は、剣を持たない左手を大公爵に翳す。

 必要ないけれど、大公爵は傅いて胸に手を当てた。喜色満面を堪えた目で見上げてくる。



「我に付き従うなら、名を受け取れ。――――『アズライト』」



 『祝福(ギフト)』さんが表記する口上を唱えて、大公爵に名を告げる。


 カッと目を見開く大公爵、否、アズライト。


【『アズライト』の名付けに魂エネルギーを10個消費】 【主従関係を結ぶために魔力を半分消費】


 は!? 魔力を消費!? なんで!?

 主従の名付けに、別途で魔力がいるなんて聞いてないよ! 『祝福(ギフト)』さん!!



【『アズライト』が『超進化』をします】



 ドゥンと波動を広げるアズライトは、黒い翼を生やしてそれに包まれてしまう。


「はぁ!? 『超進化』!?」


 え、聞いてない!


「『超進化』!? 嘘だろ!」

「ルビィ! 時間かかるぞ!」


 双子が声を上げる通り、黒い塊になってしまったアズライトには、ダウンロードケージが表記まで出てきて、完全に待機状態となってしまった。


 おいおい、マジで聞いてないから、『祝福(ギフト)』さん……!


 アズライトは進化の波動を放ちながら動かない。

 これ転移していいものなのか? ケージは少しは動いたが、あとどれぐらいかかるか、わからない。


 そうこうしているうちに、敵地だから、敵が現れる。


 野生的にボサッと広がる黒髪と、上半身裸の肉だるまのような巨体の第十三王ベルゼブブが頭上に姿を現した。

 もちろん、侵入者の対応をすべく、騎士達もわらわら出てくる。


「アズライトめ、マジふざけんなだし」


 『超進化』なんて話に出なかったので不可抗力だろうけれど、本人に苛立ちをぶつけてしまう。


「これ見捨ててよくね?」「見捨てようぜ、ルビィ」とか言いつつ、戦う気満々に『変身』をする双子。


 せっかく戦力がアップするのだ。ここまで来たなら絶対に『超進化』したアズライトを持ち帰るわ!


「雑魚は任せた」

「「りょーかい!」」


 双子の翼が大きく振られて、数多の蝙蝠が放たれる。こちらを囲い込む騎士どもを『呪い』で動きを封じては、爪の斬撃で屠った。


 私は一直線に十三王へ向かい、氷の剣を叩き下ろす。片腕で受け止められた。付与効果で凍り付くが、切れない。

 ちっ。硬いな。


「小娘が……! 誰の城で名付けをしていやがる!!?」


 挑発は効果覿面。わざわざ自分の城の上で名付け行為をされて、頭に血が上っている様子。咆哮に吹っ飛ばされた。


「誰の城? 今はお前のかもしれないね」


 着地した私は、剣先を突きつけて嘲笑う。

 さらなる挑発をして、決闘に備える。ここで勝てるものなら勝ちたいが、そう簡単にはいかないだろう。


「ふざけおってクソゴミがぁああ!!!」


 十三王の足元の影が伸びて、立体的になり襲いかかる。

 が、それが闇魔法だと理解しているので、備えていた光の道具でカッ消す。目が眩んだ隙に剣を振って氷柱を放つが、大したダメージを与えられず、粉々になるだけ。


 屋根を切りながら走り、氷結を伸ばす。足を凍らせて、斬りかかろうとしたが、刃を掴まれて止められた。拳を振り上げられたが、それを止めるのは三体のシャドーナイトだ。


「!!?」


 驚きで怯んだ隙に、顔面に爆撃魔法を放つ。多少は怯んだようでふらついたが、それより怒りを買ったらしい。怒りで血走った目で睨まれた。

 十三王の動きを封じるために召喚したシャドーナイトだったが、片腕で振り払われただけで壊されて消滅。


 次はまた屋根に剣を添えながら、氷結を走らせつつ、雷をまとう。バチバチと弾けるイカヅチを突き刺すように浴びせ、防ぐ両腕を切り付ける。

 が、やはり切れない。剣を掴まれ、そのまま身体ごと屋根に叩きつけられた。


 屋根に沈む私に追撃しようとした十三王に、召喚したシャドージェネラル二体が切りかかる。その隙に体勢を整えるために飛び退くが、ジェネラルも呆気なく粉砕された。


 ちっ。質じゃ及ばないなら、量で……いや、物量でぶっ潰す!!


 頭上から全力でシャドーナイトを投入して十三王を呑み込ませた。

 が、しかし。一瞬にして、弾け飛ぶ。


 一回り上半身が大きくなった十三王ベルゼブブは、凶悪な顔で「舐めるなよ!!!」と怒声を轟かせた。

 影の刃が飛んできたので、剣で受け止める。氷漬けにして砕く。


 マズイな。アズライトはまだか? 双子だっていつまでも有象無象を相手出来ないはず。

 チラリと目をやると、ダウンロードケージは満タン。いや、僅かな隙間が残っている?



「アズライト!!!」



 早くしろと込めて叫んだ。

 十三王の拳が目の前に迫った途端、青藍の光りに包まれた。いや、炎だ。でも熱くない。



【『アズライト』の『超進化』が完了しました】



 揺らめく青藍の光りの中で、その文字が浮かんでいた。



 


やっと一人目、名づけ。

アズライトです。

次回、アズライトsideの三人称視点です。

いい名前だと思えたら、いいねくださいませ。

2024/03/23

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