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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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37/57

♰37 新たな王に期待。

   ●♰●♰●



 食後のお茶は、サロンでまったり。


「それでね、この大公爵に名づけをするんだけど、捜索のかく乱のためにわざわざ敵陣の城で名づけをしないかって案が出てるんだ。どう思う?」


 相談されても困るだろうけれど、まったりしたいので、テキトーな相談をしておく。

 悪魔に名づけすると、進化の波長で王国中に知らせてしまうことになる、と説明を付け加えておく。


「無事逃げる算段があるなら、いい案だと思うわ。捜索のかく乱でまた時間稼ぎが出来るんじゃないかしら。ルビィが今後どうするか、考える時間稼ぎがね」

「正直、生き残るためには『勝利』しかないんだけどね。十三王の首を取る。そしたら自動的に私が座ることになるんだけどね、玉座に」

「ルビィならいい王様になる思うわよ」

「え? どこを見てそう思ったの?」


 目を真ん丸にしてしまう。


「ルビィなら民のために考え抜いて最善の行動をしてくれるからよ」


 うふふ、と微笑むリリンさん。

 紅茶を啜っていると脳裏に浮かぶのは、石造りの建物の村と、薄汚れた子ども達。まともな食料はないし、あったところで、安心して食べることも出来ない。今は肉を対価に提供は出来るが、根本的な解決……。

 そこまで考えて、首を左右に振って考えることをやめておく。


「無理だね。ジョンじゃあるまいし」

「あの人は王の器じゃないわ。領主で手一杯」

「おんなじだよぉ。まぁ、十三王は弱肉強食主義の志向が強いみたいで、王国の最果てが飢えようが魔獣に食い散らかされても無関心みたいだけどね」


 一人、私の好きな紅茶とお菓子を吟味して堪能していた大公爵が、そこで口を開く。


「その通りです。武力を重点に置いていますので、王国中心部の方は建造させ、家畜を育てさせ、一応の労働者として守護はしておりますが、それももののついで。襲い来る魔獣や魔物は、兵を鍛えるための修行相手のようなものです。王国の最果てなど、切り捨てた民です。生き延びようとも、食い散らかされようとも、看過するのですよ」


 なんてことないように話す大公爵。私もリリンさんも眉をひそめた。


「酷い王国のようね……」

「うーん、まぁね。肉を焼くなり、スープを煮込むなりの料理しか食べられなくて、『美味しい』の概念がなかったよ。『甘い』も知らなくて、クッキーを感動で頬張ってた。ドアのない石造りの建物だし、布切れのような服装だった。先ず、この王国の村で一番貧しい村よりも、酷い暮らしって感じかな」


 リリンさんが顔を曇らせるから、あんまり話したくはなかったのにな。お腹に赤ちゃんもいるしね。


「ルビィなら、いい王国に出来ると思うわ」

「夫人と同じく、私も思います、ルビィ様」


 澄み切った目で見てくれる二人に、ギョッとした。


「無理でしょ。だいたい、十三王を倒せたと仮定するよ? そのあとに、本当に王国を変えられる?」

「ルビィには緑豊かにする力があるじゃない! 革命でしょ? 食料不足を改善する一歩だわ! 国民の支持はあっという間にあなたに集まるじゃない!」

「まだ食料になってないよ。国民の支持だけじゃあ王国は成り立たないでしょ」

「確かにそうですが、あの脳筋王の配下は、何も脳筋バカだけではありません。縁の下の切れ者も、なんとか国民を守っているのです。それを取り込めばいいでしょう」

「それって、あの王城の謁見の間で私を追い詰めた奴らのこと?」

「最終的には皆、強者に付き従います」


 なんで二人は乗り気で希望に満ちた顔をするんだか。


「そうなると、私の名づけを王城で行うのは、こちらの宣戦布告となりますね。切れ者はどちらにつくべきか、考え始めるでしょう。十三王に喧嘩を売る相手の脅威を推し量り、新しい王の可能性と有益を考える。ルビィ様が各地で植物を生み出せるとなると、天秤は圧倒的にルビィ様に傾くかと」


 大公爵はそう語ると、優雅に紅茶を啜った。


「まぁ、ルビィ様に強制は致しませんよ。王座に座ることも、何も強制ではありません。王を倒せば次の王が勝者になるのは必然ですが、拒否権がないわけではありません」

「いいの?」

「ええ、空席になるのは問題となりますので、適当に配下の切れ者を名指ししてしまえばよろしいかと。選んでおきますよ、ルビィ様の代わりに王をやる者を」


 キラリとしたいい笑顔で、代わりの王を選ぶと言い出す大公爵。

 代役、可能なんだ。

 なんか、名指しされる奴が可哀想だけど、それで済むなら脳筋王に『勝利』は前向きに検討したいね。


「じゃあ、そうなると……大公爵の名づけを王城でやって、挑発。それのおかげで、決闘も引き受けてもらいやすいかもしれないね」

「そうですね。でも念のため、協力者は募った方がよろしいかと。手練れを集めて、雑魚は食い止めてもらい、その間に決着をつけましょう」

「協力者……ロンさんの群れで強い魔物とか? いらっしゃる?」

「探せばいるでしょう。最果てにも、群れを守る強者が」

「……反乱だ」


 第十三王国の反乱の図。

 反乱分子を集めて、王を討ち取る。この前、『悪魔召喚』でとある国を反乱軍から守ったのにな。

 『魔力感知』で、双子吸血鬼とロンが近付くことに気付く。


「「ルビィ! ドレス買ったから着てー!」」

「!? 私のドレス!? お前達の服を仕立てろって……」

「「仕立てた」」


 飛びつく勢いでサロンに入ってきた双子は、ちゃんと別のコートを着ていた。

 でも特注でもしたのか、肩部分は穴を開けて露出している。肩出しは二人のこだわりなのだろうか。


「ルビィのドレス!」


 食いつく伯爵夫人がここにいた。


「ルビィ様のお着替えですね!」


 食らいつく侍女もここにいた。


 こうして運ばれたドレスを試着させられる。


「露出多いな!? 露出魔か!」


 胸元も肩も露出したドレスばかり。首元晒しすぎか。


「え? そこまで露出してなくね?」

「程よくの露出が色っぽくていいじゃん」


 何がだめか、わからないと首を捻る双子吸血鬼。


「色香なら十分でしょう。足蹴にする時、スリットから太ももがチラッとする程度でいいのです」

「サラッとマニアックな色香を指定してるの。足蹴にする時っていつだよ」


 お前を足蹴にする時か、大公爵。

 そんな趣味まであるのかよ。しないからな。


「オーダーメイドしたら、もらったお金、全部使い切っちゃった」

「ええー、奮発したね。別にいいよ。肉狩りでお金になる魔物の素材も採ったし、換金する」

「私めが、全て換金いたしましょう」

「ルビィ。元子爵邸の管理だけど、人手を送りましょうか?」

「んー、それはいいかなぁ……最早魔物の巣を掃除させるのは可哀想」


 和気あいあいと話してしまった。




 


次回は魔界に戻ります。

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2024/03/17

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