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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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36/57

♰36 一時帰宅とチートな胎児。

2024/03/16

『悪魔転生』は5話貯めたら、1日1話更新することにしました!

ということで、5日間更新します!


   ●♰●♰●



 ロンの『転移』で着いた先は、前の村よりも頑丈な作りをしていそうな石作りの建物の村だった。でも、ドアはないんだよなぁ。

 そして、ロンの群れだけあって、住人は白い狼耳と尻尾をつけていた。

 『白狼族』の村。見た限り、子どもがいないようだ。


「ルビィが好きな猫系はいないな」


 元ディスの呟きに、ガンッとショックを受けて耳を震わせるロン。


「恩人殿。地上では世話になりました」

「私めの倅です」


 ショック冷めやらぬうちに、ロンの倅が挨拶。

 結構な貫禄のある男性に狼耳。頬にまで白い毛が生えていて、いかめしい。

 ノーネームだが、呼称は『長』だ。この村のボスの呼称らしい。


「あれ、倅もいたの? 『氷結の森』に」

「ええ。居合わせて、あのマンモスと戦っておりました」

「ここ、子どもがいないみたいだね?」

「幼い子は、魔界の空気に慣れたので、地上で狩りの練習をさせているところですね。子どもは不在です」

「地上で狩りの練習か。それじゃあ、あっという間に成長しちゃうね」


 地上の時間の流れは速い。魔界で待っていれば、あっという間に成長しそうだ。


「そうですね。なので、大半は母親も地上へ同行して狩りをします。倅よ。この方は、ルビィ様だ。恩を返すためにも、この村を『帰還の転移先』にマーキングしていただく」

「わかった」


 わかっちゃうのか。


「孫もいるのですが、あやつは、一匹狼を気取って流浪しているので紹介は出来そうにもありませんな」

「孫は、一匹狼……。まぁいいよ。とりあえず、見返りに魔物肉をあげるね。それから一つ頼みたいんだけど」


 ロンが恥ずかしそうに顎髭を撫でている前で、ロンの倅に話をする。

 植物を植えるから、育てて見守ってほしい、と。


「植物を育てる!?」

「精霊の手を借りたの」

「精霊!?」


 びっくり仰天だよね。こちらにおわすのは、精霊王なり。

 見せた方が早いので、ふんぞり返る態度のリスタと手ごろな場所に薬草を生やした。感心の声が上がる。


「恩をお返しするために、この薬草は我が村で全力で守らせていただきます!」


 野太い声を響かせて、『長』は約束してくれた。


 そういうことで、マーキングも済ませたので、一回地上へ戻ることに。

 先ずは、元キンバリー子爵邸。次にキンバリー伯爵邸に行こうとしたのだけれど。


「お前らは待ちなさいよ」

「「やだー!」」


 双子吸血鬼の同行はお断りしたい。


「いいじゃん、興味あるしさ! 妊婦!」

「ルビィが居ついている伯爵邸見学させてよ!」

「余計嫌だし! お前ら目立つから、ダメ!」

「「目立つ美形でごめん」」


 ドヤァと髪を掻き上げる双子。腹立つな。


「お前ら、付きまとう気満々なら、地上で服を仕立てたらどう? 目立つよ、そのコート」

「「仕立てる……!」」


 目の色を変えた双子。


「いいの!?」

「いいよ、蓄えあるし。王国の端っこの仕立て屋でよければ」

「「やったー! メイドいないから、着替えはめんどいと思ったんだよねー!」」


 メイド……? 世話を受けて当たり前な発言だ。


「メイド……着替えさせたの?」

「うん」

「王城に、アンヌリリスの衣装担当がいっぱいるから」

「……お前ら、普通に三王のお世話になりっぱなしじゃない?」


 ジトリ。

 あの面食い女王のメイド達は、この双子のお世話もしていたのでは?


「「属してれば、普通の待遇じゃねー?」」


 しれっと言い切る双子吸血鬼。


 絶対に国で手厚い待遇を受けていただろうに、簡単に名捨てしての鞍替えは、酷い仕打ちではなかったのではないか。

 狼の群れ一同で恩返しするというのに、この吸血鬼は恩知らずにもほどがある。


 先に主従契約して安心したもんだ。


 その心の声を聞いたかのように、にんまりと笑みを深める二人。

 察知した大公爵は、大反対だと首をブンブンと振り回した。大公爵より先に名づけしたら、それはそれで面倒すぎる、絶対。


「ちゃんと借りて来た猫みたいに礼儀正しくしてくれる?」

「「ごろんにゃーん!」」


 返事かそれ。可愛くないぞ。


「ロン、見張り頼んでもいい?」

「かしこまりました。キンバリー伯爵御用達の仕立て屋も把握しておりますので、そこで大人しく利用するよう見張りましょう」

「ありがとう、頼むね」


 頼めるのはロンしかいない。これで、また別行動。

 ちゃんと『偽装』で人間へ擬態。

 そして『魅了』は緊急事態以外は使用禁止。人間を襲うことは、絶対禁止。それを改めて約束させて、仕立て屋へお金を持たせて行かせた。



 キンバリー伯爵邸へ、戻る。ジョンは留守だった。視察中らしい。


「ルビィ、おかえりなさい!」


 ルンルンと出迎えるのは、キンバリー伯爵夫人のリリンさん。


「ただいま。何日ぶり?」

「三日ぶりよ」

「そっかぁ。私は『一夜』魔界に行ってただけなのに」

「ルビィがいない時間が多くて寂しいわ」

「ごめんね。リリンさんは、体調は大丈夫?」

「わたくしの体調を優れなくするのは、ルビィの安否だけよ」

「ごめんってば」


 ちょうど昼時だったので、昼食を用意してもらい、リリンさんと私と大公爵と一緒に食べることに。


 リスタはリスタで森へ一時帰還した。

 大公爵の紹介もそこそこに、朗報である植物の『創造』成功を話題に出す。


「ルビィはすごいわね」

「リスタのおかげだよ。魔界で一日中頑張ってくれたもん」

「いえ、ルビィ様の案あってのこと。ルビィ様がいなければ、誰も成しえなかった偉業達成でしょう」


 大公爵はつらつらと私の称賛を並べ立てて、 それにリリンさんが「すごい熱量!」と感心した。

 感心しちゃったわ。

 偉業か。『祝福(ギフト)』さんとしては、偉業にカウントしないみたいだけど。精霊の加護をもらったこととは、別次元か。


【精霊の加護持ち】


 その表記が差すのは、リリンさんのお腹だった。


「あれ!? お腹の赤ちゃん、リスタ、何かした!?」


 びっくりした! リスタ、加護あげたの!?


「ああ、ルビィを捜しに来た時に、サラッと加護を下さったの」

「サラッと……」

「生まれる前からすごく祝福されて幸せものね、我が子は」

「あはは……。私ももらったばかりだよ、リスタの加護」

「まあ! それはそれですごいことじゃなくて!?」

「うん、『精霊契約』もした」

「まぁまぁ! ルビィの方が祝福されてて、この子はまだまだね!」


 なんて冗談言って笑って自分のお腹を撫でるリリンさん。

 悪魔に見守られて、精霊に加護までもらっちゃって、生まれる前からすごい子ねぇ。

 チートじゃん、と思わず大公爵と目を合わせてしまった。



 

2024/03/16

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