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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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19/57

♰19 一時撤退で再戦の準備。

   ●♰●♰●



「あん? お前、この王国の大公爵……名前なんだっけ? えっと……ええっとぉ」

「水銀じゃね?」

「ああ、そうそう、それだ」

「違う! 私はルビィ様から素敵な名前をいただく予定だ! その名で呼ぶな!!」

「「ルビィって名前なんだぁ!」」


 青い炎の爆裂魔法は避けたらしいジェスとディスは、平然と建物の上から会話して、私の名前に確信を得て、目を輝かせる。

 チッ! 私の名が、無償で知られた! 不快!


「ルビィってぇ、この間、城で問題起こさなかったん? 的外れだった?」


 情報規制でもされているのか、調べていたらしいジェスは混乱したようで怪訝に首を傾げた。


「流石に悪魔の『大公爵』と共闘されたらなぁー」

「仕切り直すかぁ」


 屋上のヘリにしゃがんでいた二人は立ち上がり、退却するようだ。

 彼らも消耗は激しかったようで、新たに参戦した大公爵には敵わないと冷静に見極めたらしい。


「じゃあね、ルビィちゃん!♪」

「また遊ぼ! ルビィ!♪」


 能天気に手を振って消えてしまった。

 同時に私の封印状態も全部解かれたので、ドッと疲れた溜め息を吐く。


「はぁ、助かったよ。ありがとう、水銀」

「その名は捨てたので呼ばないでくださいどういたしまして! ルビィ様にお礼を言われるなど、恐悦至極に存じます!」


 大袈裟な喜び表現はスルーして「え? 何? 前の名前、『水銀』なの?」と、まさかと確認。

 そんなあんまりな名前に、前世の記憶を対価に……。


「だから、その名は捨てたッ……!」


 内臓が痛むような苦痛の表情を歪ませる大公爵。

 なんかごめんて。もう触れないよ。

 名づけは、よく考えましょう。


「あの吸血鬼と知り合い?」

「ええ、まぁ。あの双子吸血鬼が仕える第三王にも勧誘されていましたので」

「面食い女王に? 納得だよ。モテるね」

「私はルビィ様だけのものです」


 面食い女王に勧誘される国宝級の眼福面をキラキラさせんでいい。


「手当てをしましょう」

「もう済んでるよ。戻り早くない? 他国に行ったんじゃ?」

「いえ、ベルゼブブに報告だけして、王都の図書館で調べただけで一度戻ってきたのです。胸騒ぎがしたのでよかったです、戻ってきて」

「まぁ、助かったよ」


 虫の知らせかな。不吉だわぁ。実際ヤバかったけども。


「調べ物はどうだった?」


 植物に関しての資料を漁ったんでしょ?


「結論だけ報告すると、収穫はありませんでした」

「この国にはありそうにないもんね……」

「目星としては、第七王国に先ず足を運ぼうと思います。あそこは、水が多く、魔界で一番、植物がマシにある王国だと言われてますから」


 マシにある王国なんだ……。マシって。


「私は一回、地上に戻って武器調達するよ……吸血鬼どもに奮発した剣を安物だって壊されちゃった」

「おや、購入なさったのですか? お金で?」

「普通はお金で買うよね?」


 もしかして、悪魔はお金で買わない常識でもある?


「いえ。悪魔の階級で例えるなら『侯爵』からは、人間の貴族がひと財産はたかなければ手に入らないような価値ある武器でもないと、すぐにへし折られるかと」


 ……いくらかは知らんが、無理だな。そのお金は用意出来ぬ。


「どうやって手に入れるのさ? 都合よくそんな剣を差し出す奴と『取り引き』でもしろと?」

「おや。『見抜く』に『成長ポイント』を大量投入すると、急所やさらなる弱点を見抜けますし、『取り引き』をしたがっている人間も見抜けるのですよ? 私はそれで乱獲のように手当たり次第、『取り引き』を成立させました」


 666件の『取り引き』を完遂した悪魔……つおい。


「まぁ、だからといって、都合よくは剣を差し出す『取り引き』を持つ人間は見抜けません。しかし、出来上がった剣は手が届かずとも、素材を揃えて作ってもらう剣ならばお安いですよ」

「あっ……そうだった」


 うっかりしていた。


「うっかりなルビィ様、可愛らしいです♡」と、バカにされたがスルーしとこう。


「じゃあ、作ってもらおう! 素材を集めからの武器製作で強い武器をゲットだぜ!」

「えっ! 物凄く手伝いたい案件ですね……武器生成イベント……」


 なんか、食いついた。


「アンタには第十三王の動向を見張る案件があるじゃない」

「そ、そうですね。今回は諦めて、植物の件も調べおきます」


 ホロリした素振りで悲しんで、潔く諦めた大公爵。


「でも、素晴らしい度胸ですね。ルビィ様」

「何が?」

「吸血鬼相手に『魅了』を行使なさるとは。あなた様の美しさに『魅了』が専売特許の吸血鬼も『無効化』が出来ても、一度はかかっておりましたね。いやはや、魅力的なルビィ様の『魅了』には誰も敵いませんよ」


 …………吸血鬼って『魅了』が専売特許なの?


【淫魔と吸血鬼が相手を魅了して捕獲する術に長けているため、この種族の専売特許と言われています】


 ……マジかぁー。専売特許相手にやったのかー。

 どうりで本人達も感心するわけだよ。専売特許の特技(スキル)をかけられたんだからな! 余計に気に入られたわ!


「とりあえず、吸血鬼に効果的な武器、手に入れるわ」

「それなら氷点下の環境を好む魔物を素材にした武器がお勧めなので、寒い地域に転移した方がよろしいかと。あの吸血鬼の弱点は、氷でしたしね」


 大公爵も見ていたのか。『鑑定眼』で。

 寒い地域といっても、他国は知らん。が、『氷結の森』という最適な狩場が思いつけた。レベルが合わないなら、他も探そう。

 効果的な氷攻撃が出来る武器。それから特技(スキル)を封じる呪術の対策も必要だ。


「お帰りはこちらの街で? またトラップを仕掛けておきますね」


 『感知』のトラップで私の帰還を知るため、大公爵はまた仕掛けるとのこと。使い方、間違っているが、まぁいいや。




   ●♰●♰●




 地上へ戻ってきた私はひょいひょいと『転移』を繰り返し、遠回りで元キンバリー子爵邸へ。

 そのまま、見回り気分で街を闊歩。


「あら、ルビィちゃん! 久しぶりね! 果物いる?」


 おばちゃんに声をかけられた。喜んで、果物をいただいて、その場でひと齧り。


「久しぶりですねぇ。いつぶりでしたっけ?」


 のほほんと話を合わせつつ、いつぶりかと聞き出す。ざっとひと月ぶりだとのこと。


 数日しか魔界にいなかったはずなのに、地上はひと月も経っているのか。魔界でぐうたら出来ぬ。

 前回の魔界帰還は数時間だったのに、地上は丸一日がガッツリ経ってたんだよね。


 他にも、クッキーやらパンやらをおすそ分けしてもらった。この様子なら、特に問題は起きていないな。


 真っすぐ、キンバリー伯爵邸へ。門番に顔パスで入れてもらえる居候魔法使いルビィ様である。


「ルビィ! 無事帰って来てくれたんだな!」


 執務室からすっ飛んできたジョンに、笑顔で手を上げて振る。


「たっだいまぁ~! ジョン達」

「ルビィ!」

「リリンさんも、ただいまー」

「ルビィったら! 心配したのよ!」


 同じく駆け寄るリリンさんに抱き締められた。身重なので、ちゃんと受け止めておく。

「ごめんね」と、ポンポンと背中を撫でておいた。



 人払いを済ませた談話室で、関係者の大半が集合。


 サムだけは急いで夕食の準備に力を入れるんだとか。あとカリン達は部屋の準備。

 すぐに出かけると言ったのに、今夜だけは泊れと説得されたのでしょうがない。


「王の方は協力者が現れたから、なんとかしようとしているところ。ついさっきのことなんだけど、他国の吸血鬼にまで目を付けられちゃって、武器もへし折られたところだし、調達に戻ってきたんだ」


 サクッと事情を説明。


「きゅ、吸血鬼ですか……? 悪魔王に引き続き、とんでもない魔物と問題が起きてしまったようですね」


 顔色を変えるダロンテ。


「でも協力者がいるのは朗報だな。魔界では孤立無援だったルビィに味方がいるんだ。どんな魔物だ?」


 ジョンは安堵した顔だ。だが、どんな魔物かと問われると答えに困る。


「……へんたい……」

「え? 何? 変態って言ったか?」

「特殊な性癖をゴホン、趣味をお持ちの、上位階級の悪魔」

「待て? 特殊な性癖って言わなかったか? 大丈夫か? 大丈夫なのか!?」

「私のメンタルは、今のところ大丈夫だ」

「大丈夫なのか!?」


 遠い目を明後日の方角に向けてしまう。大丈夫だ、今のところ大丈夫だ……。


「え、ええと。趣味はともかく、上位階級の悪魔となると、強力な味方ですよね」


 胡乱気な目をしつつも、ダロンテは味方なら大丈夫だと無理矢理言い聞かせている。


「うん、一度名前を捨ててる魔物で、私から名前を欲しがってるんだよね」

「な!? 弱体化のデメリットしかない名捨てを!? 変態な魔物だ……!」

「そこは触れてやるな……」


 誰もが黒歴史を持つのだから……。


「そいつと他国に移れるかどうか模索中だけど、吸血鬼がちょっかいかけてきたから、とりあえず倒す前提で、武器が欲しいんだ」

「ルビィは、何故また目を付けられたんだ?」

「きっかけは進化だよ。仲間の悪魔が進化の波動に気付いて話を聞いたから興味本位で来たんだって。『魅了』にかかるくらい私を気に入っているけど、『無効化』されるから無意味なんだよね」

「え!? 『魅了』!? 吸血鬼相手に!?」

「すごいな! 『魅了』が専売特許の吸血鬼まで魅了するなんて! それはすごいことじゃないか、ルビィ!」

「いや、実質『魅了』は通用していないからね」


 すごくないよ。専売特許だからこそ、即『無効化』を可能にするのだろうけれど、意味ないよね、全然。


「それ、もうルビィの魅力で仲間に出来ないの?」と、リリンさんは小首を傾げた。


「そんなキョトリ顔で言われても……他国の、しかも面食い女王の配下なんだって。王でもない私が引き抜けるわけないでしょ」


 大公爵はともかく、吸血鬼二人に旨味がないじゃないか。


「愛は、理屈じゃないのよ」


 キリッ、なリリンさん。


「ごめん、リリン。その吸血鬼は双子みたいだし、二人揃って私をお持ち帰りして食べたがっていたから、愛にしないでほしい」


 情報が足りなかったよね。愛にしないで。そういうことじゃないんだ。変態双子吸血鬼なんだよ。


「ルビィは変態、ゴホン、変な魔物に好かれやすいんだな」


 誰が変態魔物に好かれやすい体質じゃ。


「そんな体質なわけがないと思いたい。そうだ、マイキー。植物なんだけど、もう三分の一は死んじゃったよ。その変態じゃなくて協力関係にある悪魔に調べてもらっているところだけど、原因の解明や対策に開発はまたあとでにするよ」と、報告。




  ●♰●♰●




 一晩しっかり休んだ私は、朝に出発。

 サムからもらったドーナッツをもぎゅもぎゅしつつ、冒険者ギルドと鍛冶屋で武器の相談。氷属性の武器と吸血鬼の呪術対策。


 優先すべきは、武器。

 マンモス型の象牙がいいと言われたので、私はポンッと思い出す。

 『氷結の森』にマンモス、いたじゃん。そいつ狩ってこよう~。


 鍛冶屋のおっちゃんに言ったら、呆れた顔で「そういうのは、ちゃんとその場で倒すべきだぞ。倒せるならな。冒険者のルールだぞ」と叱られた。

 そういえばそうだった。てへぺろっ☆


 魔界から来たであろう魔物は倒せるなら倒しておくべき。それが冒険者登録の際に聞いたルールだ。


 そっと口止めのドーナッツをおすそ分けして『氷結の森』へ、『転移』で降り立った。


 相も変わらず、涼しい光景である。まぁ涼しいで留まらないであろう気温のはずだけどね。


 さてと、あのマンモス魔物を探そう。でも『索敵』をしようとしたが……。


「ウモォオオ!!」と、遠くで例の雄たけびが上がった。


 なんだ、手間が省けた。

 でもぉ……。


 ドォンと爆音が響いているし「ガルウウ」だの「アオウン」だの、他の魔物の唸りや咆哮まで聞こえる。

 戦っているのか? 先を越されては困るな。


 そういうことで『飛翔』で、そこですっ飛んでいく。


「あれは……前に見た狼型の魔物?」


【その通りです】と、矢印までつけて、戦闘を繰り広げている大きな大きな白い狼を示す『祝福(ギフト)』さん。


 『千年狼』という種族名の狼型の魔物が一匹。

 狼は一匹ではなく、群れで狩りをしているように見えるが、マンモスの魔物と激戦して、辺りはボコボコで氷柱がザクザクと生えているめちゃくちゃな戦場と化している。


 多勢なのに、狼群れの方が疲弊しているような気がした。マンモスの魔物も、ボコスコと大地を割ったり破壊したり、力技に押されてダメージも大きいようだ。


 横取りは、マナー違反よねぇ……。

 でも待っているわけにもいかないし、あとから象牙だけくれというのも厚かましいし、終わったあとに満身創痍のどちらかを仕留めるのも気が引ける……ので今から参戦だぁー!


 狙いを定めて、狼とマンモスの間に爆撃を落とす。


「悪いけど! マンモスを仕留めたいから、横取りさせてもらうね!」


 狼の群れに向かって声を上げた私は、新しく手に入れたばかりの剣を抜刀。

 四方から備えた雷の玉から雷撃を放って痺れさせたところを、首を一振りで落とす。

 あの雷撃を受けても、まだ動けそうだった。丈夫だな。狼の群れが手こずるわけだ。


 見てみれば、じとっと見据えてくる狼一同。息切れでハァハァしているが、仕掛けては来ない。


「ごめんね? 割って入って。私が欲しいのは象牙だけから、お肉は食べる?」


 戦意も感じられないから、暢気に話しかけると、前に会った狼はコクリと頷いた。


「じゃあそういうことで」ということで、解体用のナイフを取り出して、象牙をいそいそと切り取る。

 本体の方はザックリと氷魔法で引き裂いては、がぶがぶと咀嚼する狼達。

 食欲旺盛だな。いっぱい動いたから、いっぱい食べたいもんね。


「あ。ポーションいる?」と前に会った『千年狼』が胸を真っ赤にしていたので、怪我を治すために見せた。

 そのまま近付いて、バシャッとかけて治療。

 あ、ポーション、ストック買っておかないとな。


 すると、引きちぎったお肉を氷漬けにしたものを一つ、『千年狼』が差し出してきた。


「あれ? 分けてくれるの? ありがとう」


 ニコリ、と笑って見せると、後ろでもふもふの尻尾が揺れた。


「もらっておくね。じゃあ、急いでるから」と、くるっと踵を返して『転移』する。



 お肉のお土産が出来たので、象牙を鍛冶屋に渡してから、キンバリー伯爵邸に持っていき、調理してもらった。

 マンモス肉、うまうまっ!



 


予定通り、19日の今日まで更新しました!

出来たら、年末中にまたちょこちょこ更新すると思うのですが、なかったらないです。←


いいね、ブクマ、ポイントの数を励みに、また書き溜めて更新準備しますね!

ありがとうございました!


2023/12/19⭐︎

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