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『悪魔転生』のちに『赤き悪魔女帝』  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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13/57

♰13 冒険者登録と懐妊祝い。

主人公視点→ ●♰●♰●

三人称視点→ ◯♰◯♰◯

   ●♰●♰●



 増援を必要とした魔物の群れの討伐を護衛と済ませたことで、私はジョンが治めている『トレイニン領』で、一目置かれる存在となった。

 よほどの魔法使いだと思われている上に、向上心は強く、ダロンテに剣術を学ぶ姿を感心して眺める領地の騎士団一同。


 『観察眼』と合わさって『学習能力向上』と『身体能力向上』を発揮して、あっという間にダロンテ相手だけでは物足りなくなり、騎士団の騎士団全員を相手に剣の手合わせをして圧勝するには、三週間もかからなかった。



 ふむ。あの悪魔達には剣で勝ってみようかな。『魔法無効化結界』って技もあるしね。結界内では魔法が使えなくなるってやつ。ふふ。

 小娘に剣で鼻っぷしをへし折られるのは屈辱だろうなぁ、ふふん。


「ご機嫌だな? サムがまた美味しいお菓子を作ってくれたのか?」


 悪魔どものプライドを完膚なきまでに潰す悪巧みの笑みだったけど、ジョンにはお菓子に思いを馳せる笑みに見えたらしい。

 恐るべし、好感度高めの美少女悪魔。


「あの植物で調味料作れた?」


 魔物討伐の際に、森の中で見かけた植物がやたら多かったため、何かに使えないかと思って、甘い調味料になるという鑑定結果を伝えて提案してみた。


 なんとか調味料化に成功したので、それを使ってのお菓子作りをしてもらって、試食。

 ザラザラした食感が長所だと思うので、ドーナッツ上にまぶしてふわっとしたドーナッツの食感とシャキシャキする砂糖の食感を楽しむ感じのデザートが完成。領地内で流行らせた。

 カロリーも鑑定の結果、少なめなので女の子にお優しい食材。液状にするのにコツは要るが、プリンやゼリーに混ぜるとまろやかな甘みが際立つ。素晴らしい甘味。


 領地内でも生息が確認出来て、名物になりそうだとのこと。


 『ルビィ砂糖』と名付けられそうになったので、全力阻止しといた。やめて。




「ちょっと領地の外で魔物と戦闘してくるから、ダロンテ貸して」


 ジョンにお願い。


「ダロンテを、か?」


 げんなりした顔のダロンテを、チラ見するジョンは、首を傾げた。


「うん。私は引きこもりの人見知りだから、案内出来る人についてきてもらいたいの」

「何が引きこもりの人見知りですか……誰構わず魅了してるくせに」

特技(スキル)使ってないけど?」

「そうじゃなくて……領民も騎士団も誑し込んでるじゃないですか。毎日出掛ければ誰かしら声をかけられて、おすそ分けをもらってるのに、どこが人見知りなんです?」


 呆れ顔のダロンテの言う通り、稽古名目で連れ回されているダロンテは、私が領民に引き留められて、あれやこれやをおすそ分けされたり、騎士団から差し入れをわけてもらったりする。

 魔力に変換されるだけなのに無限に食べていられる私に、どんどん餌付けをする領民に、私も私で愛嬌を振りまいているのだ。

 『魅了』要らず。てへ。


「そんな! ダロンテがいないと寂しい!」

「茶番はやめてくださいっ!」


 ひしっと腕にしがみついたら、サッと顔色を変えて逃げた。

 つまらん。もっと茶番しようよ。


「はは。すっかりからかわれて、仲がいいな。ダロンテ、『赤き大恩人』の頼みだ。引き受けてくれないか?」


 笑うジョンに真剣に頼まれて、物言いたげなダロンテはしぶしぶ、魔物討伐へついてくることを承諾。



 プチ旅、決行。



 まぁ、ちょっとその辺では、あまり手応えのある対戦はなかった。魔獣より弱いと思うくらいだ。

 経験値を積んでいる気がしない。


 ので、もっと手応えある魔物と戦おうと誘うと。


「それなら冒険者登録をした方がいいんじゃないですか?」

「出来るの? 私」


 悪魔だぞ、私。


「伯爵様の紹介があれば、多分」


 多分なのか。

 そういうことで一度帰宅。

 帰宅とか言っちゃう。魔界に帰る家は、まだないんだもん。




「え? 冒険者に紹介状……? 書いてもいいが……ルビィはちゃんと人間のフリを貫けるのか?」


 ジョンに、めっちゃ心配の目を向けられた。


「大丈夫、隠蔽に気を付けて生活してきたから、ダロンテみたいに野生の勘が鋭くとも隠し通せるさ!」

「誰の野生の勘が鋭いんですか」


 お前だよ、ダロンテ。


 『特性』に『人間擬態』があったので、隠蔽は完璧である。もう角を『姿暗まし』で隠さなくてもいい!


「あー、でも実力者と鉢合わせたらマズい?」

「んー、それもどうだろうか。見抜けるほどの実力者なら、迂闊に関わらないと思うんだが……断言は出来ないからな」


 苦笑をするジョン。

 実力者の冒険者と鉢合わせしても、喧嘩を吹っ掛けられないだろうが、万が一吹っ掛けるような荒々しい性格の冒険者がいないとも断言出来ないと言ったところ。


 それでも、今後のために登録だけしておこう、と紹介状を持参して出発。


 先日の魔物討伐の功績を証明している紹介状に合わせた実力を測ってもらい、登録を済ませた。

 F~Aまでが通常のレベルで、逸脱した実力者がS級となるそうだ。

 私は功績と魔法威力から、一気にB級指定された。


 でもBからAの壁が高いと、冒険者ギルドの職員が自慢に語った。

 へぇーと聞き流して、ランク分けした魔物の図鑑を閲覧。


 魔界から、たまに魔獣も地上に出てくるが、それは本当に稀だという。

 地上生まれの魔物よりも強いから厄介なのだと。確かになぁ、魔獣の方が強いって思うよ。その辺の魔物討伐は弱い者いじめにしか思えんのよ。


 特にトラブルもなく、一度帰宅して、お茶を堪能してたら、ふと立ち上がったリリンさんが立ち眩みを起こしたので、支えた。

 勝手に『鑑定眼』が発動して、リリンさんのお腹に【胎児】と表記。



「……妊娠してる?」


「「「「えっ」」」」



 本人も知らない事実を言い当てたため、医者が急いで呼ばれて懐妊が断定。



 祝福ムード一色の伯爵邸。


「ねーねー! リリンさん! 栄養価満点のこの魔物を狩って来るよ! あとお祝いに、ここに生えてる花も摘んでくるね!」


 かくいう私も大はしゃぎ。

 魔物図鑑を見せて、希少で美味な肉として重宝されていている魔物を狩ると宣言。

 ついでに、幻級の花も摘んでくる!


「ルビィ様! その魔物の肉の部位はくれぐれも丁寧に! 周りは切り離してください!」

「そんな花にお目にかかれるんですかい!? 余分にお願いします! 栽培を試みます!!」


 料理長サムも、庭師マイキーも、大興奮である。


「わかった! いってきまーす!」

「え!? 一人でいかれるつもりですか!?」


 ついてくる気満々だったダロンテ。


「ごめん、ダロンテ。ピュッと言って、ひょいって帰って来るよ」


 『転移』で近くまで行っちゃうよ。用事を済ませ次第、『転移』で戻るから、最短!


「気を付けてね! ルビィ!」

「すぐ戻るよ、リリンさん。くれぐれも身体第一ね、ジョンも気を使ってね」


 ふりふりーと手を振って、私は出動した。




   ○♰○♰○



「つくづく、悪魔らしくない子よね……ルビィは」

「それがルビィだからな」


 ルビィを見送ったキンバリー伯爵夫妻は、肩を寄せ合う。ジョンはリリンの肩を抱き、お腹に手を当てた。


 ルビィらしい。

 そう同意して、頷く一同だった。




   ●♰●♰●



「景色が寒い」


 『熱変動耐性』によって、急に暑さや寒さに襲われても体温が対応してくれるので、年中凍てつく湖の前に出ても、特に寒さに苦しまないが、見ているだけで寒い。


 『氷結の森』に相応しい場所だ。


 氷属性の魔石が湖の底に沈んでいるが故に、長年カチカチに凍り付いている湖は真っ白だ。

 どんな魔法攻撃を受けても壊れないんだとか。試しに手を振りかぶって、稲妻を半分の威力で叩き落とす。しかし、手前に落とした箇所はそこそこのクレーターが出来ただけ。


「かったー……伊達じゃないね」


 その硬さに感心してしまう。こうして穴だらけにしても、水が降ればそれがまた凍り付いて元通りになるらしい。火魔法攻撃なんてもってのほか。溶けだす氷が次から次へと凍り付くから終わらないんだと。氷結ループだ。すんごい。


「おっと。獲物が、今ので逃げちゃう」


 雷鳴を轟かせた。凍てつく森によく響いただろう。

 雪はなくとも、霜が付いた木の葉で白っぽい木々。歩けば、足元は草も土もサクサクと鳴る。


 『索敵』からの範囲内で『鑑定眼』。魔物に絞って、標的を見付けた。

 『飛翔』で飛んで行って、降り立つ。


 標的は『冬牛』の異名を持つ牛型の魔物だ。

 その肉は、体温を保つために、しっかりついているとのこと。


「牛鍋の気分♪」


 対峙早々に抜刀。首をひと刎ねで仕留めた。


「さて。『祝福(ギフト)』さん。解体のお時間です」


 『祝福(ギフト)』さんの助言を受けながら、ナイフでしっかり切り取り、中でも希少部位を保存器にしまい、他の部位もすいすい切り取って、『収納』した。しばらく、希少な牛三昧だな。


 作業を終えて、水魔法で手を洗って『清浄』をかけていれば、「ウモオオオ」と雄たけび。


 巨体で突進してきたのは。


「マンモス? デカいな」


 立派な象牙を持つマンモス型の魔物だった。ここにいるって図鑑に書いてあったっけ?


【図鑑には記載されていなかったため、魔界から出てきたと推測】


 ほほーん。魔界出身。

 魔界からの出没の確率は低いと言うが……。魔界出身なら、骨があるよね?


 ペロリと舌なめずりして、上に避けた私は剣を構えようとしたが、マンモス型の魔物が一心不乱に『冬牛』の残骸にかぶりついているので、戦意消失した。


 ……魔界には何もないもんね……。残骸でも、そんながっついちゃって……同情。


 それに私も早く食材を届けないとね。夕食に間に合わなくなる!



 そういうことで、次は広範囲で『鑑定眼』を展開し、特定の花だけに意識を向けた。


 崖縁に見付けた可憐な花。氷のような花びらで煌びやか。

 ルンルン気分で根っこごと採取。帰宅。



 リリンの懐妊祝いを盛大に行った。






本日から【3章開始】連載↓

https://ncode.syosetu.com/n4861ij/

【気付いたら組長の娘に異世界転生していた冷遇お嬢】

略称『冷遇お嬢』です。

天才幼女なお嬢(異世界転生者)×ヤンデレ吸血鬼青年のお世話係の組み合わせです。


こちらもよろしくお願いいたします!


(2023/12/13◯)

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