エレナ(一号)の解説 アサルトドアは弱い?
第七話
「見ての通り、扉に宿ったあの影はアサルトドアと呼ばれるこの本なのです」
とエレナ(プラムドール) 一号は語りだす。
「この本に閉じ込められた物は脱出するまで、この本の中をさ迷い続けます。 脱出するためには、扉に宿るアサルトドアを倒さなければなりませんが、アサルトドアはモンスターを召喚して来るほかに、即死魔法を使っってきます。」
エレナ(本人) の推測通り、エレナが見た身替わりの人形が弾けたのは、混沌の闇魔法である即死魔法であった。
エレナの隣を歩く、エレナ(プラムドール) 彼女がアサルトドアについて説明しながらエレナとエレナの後方には大量こエレナ、一号を含めて三十号までいると知ったエレナは、考えることを放棄。
ーーーパーンーーー
背後ではガラスが砕けるような音が鳴り響き、プラムドールのエレナが一体、はじけ飛ぶ。
エレナが考えるのをやめた理由は、こうしてアサルトドアの即死魔法の直撃を受けて砕け散っていく自分の姿を見るに堪えなくなった。
というのも理由の一つ。
扉に宿るアサルトドアのに相対。
「どこかから、モンスターを召喚してきて戦わせ、即死魔法を使って来るけど、アサルトドア自体そんなに強くありません、その辺の雑魚程度……」
エレナ(プラムドール) 一号の解説になんとなくの違和感を感じるエレナ(本人) は、そんなことよりも即死魔法を連発してきて、いくら自分ではないといえプラムドールという自分そっくりな者を破壊されるのはいい気はしない。
この戦闘が終わって脱出したら追求してやろうと決めたエレナ(本人)であった。
庫内は相変わらずの静寂と相反するような邪悪な雰囲気と肝を掴まれるような怖ぞけと悪寒
耳に響くのはキーンという耳音。
どこかから誰かに見られているというチクチクとささる視線。
その視線の正体が何物の視線なのかはわからない。
ーーーーパーンッ!ーーー
こんな場所に長くいたら頭がおかしくなりそうだ。
エレナは、相対するアサルトドアをチャッチャと倒して早く脱出しようと思っていた。
ーーーーパーンッ!ーーーー
遠目からみてその姿は暗黒そのもののまがまがしい雰囲気を漂わせていたが、改めて近くまできて思う。
ーーーーーーキモチ悪い。 と…………。
そう感じるのは人として、当然の本能であろう。
アサルトドアに近付いただけで即死魔法の頻度が早くなり、エレナ(本人)の後衛のエレナ (プラムドール
) が次々とはじけ飛ぶ。
ーーーーパーンッ!ーーーー
エレナ(プラムドール) の数は残り十体。
自分と一号を除けば八体になってしまっている。
エレナは意を決して頭上に両手を掲げてファイアーボールを唱えようとする。
少し前のエレナの大部隊によるファイアーボールの一斉掃射が懐かしい。
ここまで一緒に居た仲間だ、例えアイテムとはいえ僅かな時間でほとんどがはじけ飛んしまった。
そのことに関して、エレナ(本人) も無神経に、アイテムだから……と。わりきれるものではない。
いろんな感情を込めて、頭上の手の平の上に生成した特大のファイアーボールを解き放つ。
ーーーードカーン!ーーーー
入口の扉に宿っていたアサルトドアに命中し、扉がジュワーっと燃えるような音を立て、黒煙がたちのぼる。
エレナ(プラムドール)一号曰くそんなに強くないとはいっていたが、エレナ(本人) の感情のこもったファイアーボールはその日1番の火球だった。
内心、扉に宿ったアサルトドアを含めて周囲の壁ごとやってしまったのではないか? と思う威力に、エレナは、内心焦りを感じた。
ここが、アサルトドアの本の世界であるからなのだろう。黒煙が晴れ渡り、正面の扉を観察すると、エレナの期待通りにはいかず、そこには宝物庫内の綺麗な入口
が佇んでいた。
エレナ(プラムドール)一号がその件に関してどう思ったのかは定かではない。
もっとも、エレナ(プラムドール) 一号はアイテムなので、エレナ(本人)のやったことや心情を推し量ったりはしないのである。
堅牢な作りの宝物庫の取手を握り、引き開ける。
扉を引き開けたその先には外の光景というものは存在せず、一寸先はなにも見えない混沌の闇。
エレナ(本人は) 隣にいるエレナ(プラムドール)一号の顔を覗き込む。
健康的な肌に、やや高い鼻に大きくてパッチりとした瞳に蠱惑的な唇。
まるで、自分を写す鏡のようにエレナ(本人)の顔がそこにあり、瞬きをしている。
エレナ(本人) は、ほんの僅かな時間、エレナ(プラムドール) 一号を覗き込む。
こうみえてもエレナは、泥棒であり犯罪者だ。
人の顔をみれば、大体の感情はわかる。
…………でたらめを言ってるわけでも嘘をついてるわけでもない様子だ。
エレナ(本人) はエレナ(一号) を含む十人一緒で扉をくぐる。
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