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危険物置き場への侵入方法 地下通路にいるのはかわいい男の子?

 エレナは一瞬頭の中が真っ白になって思考がフリーズする。

赤い髪を後ろでアップにした腰元まであるポニーテール。

 チャームポイントの大きめのリボン。

 腰から足元は前垂れと尾垂れの二枚で塞がれて両側を大胆に露出。


 胸元からこぼれおちそうなほどバブリーな胸はジャケットで覆われその上から、白い胸当て一枚で保護されている。


 エレナ本人が目の前に沢山。 一言でいえば、エレナの大群はそこにはできあがっていた。

 その圧巻の光景に思わずその場でしりもちをつく。


「ちょっち……まってくれる?」


 エレナの思考は、一瞬のフリーズから復帰したものの、「待って」 というのが精一杯。

 冷静に物事を捕えるために、原状の確認のために目の前に出現した物の数を数える。


「ひー、ふー、みー、よー…………」

 

 


 「説明が必要でしょうか? 」


 目の前に現れた大量のエレナの一人が口を開く。


 確かに説明が欲しい! 頭が痛くなる状況を説明して欲しい。 


 「私はエレナ……、エレナ=ミラージュクリスティーン」

 感情の無い声で喋り始める。

 「アナタの複製人形、プラムドールです。」



 エレナは、感情の無い無機質な声で説明する。 エレナの説明の中に出てきた、プラムドールという言葉で思考が加速し始める。


 昔話で聴いたことがある。

 プラムドールという人形に触れると、その人形は触れた者の容姿はもちろん、声や思考までも複写されるという、とんでもないアイテムだ。


 作り話の混ざった昔話が今、目の前に現れた。

 思考は段々と追いついて来たものの、何を言葉にして口に出したらいいのかわからず、ちょっとしたパニック状態に陥る。


大量の自分自身に気を取られているエレナだが、背後から迫る大量の殺意にエレナ(本人)は気付く。




 背後から迫るのは中身の無い鎧、アーマーゴーストと呼ばれるモンスター……。

 立ち上がり振り向かなくても、眼前のエレナ(プラムドール)の瞳に映り込む。


いつの間にこんなに沢山のモンスターが出現したのかわからないのだが、今はそんなことは後回し。

 

「総攻撃よ!」 とエレナ(本人) はエレナ(プラムドール)達に声をかけると、目の前には圧巻の光景が広がる。


ふいに現れた鎧武者と一緒に生きた屍をも屠り、即座に事態は収集する。


 まるで、エレナ(プラムドール)軍のファイアーボールによる一斉掃射だったよ。 とは、後のエレナ(本人は語る)


 「ここは、アサルトドアの邪本の世界、出入口に憑依したアサルトドアを倒し、正解のドアをくぐらなければ脱出出来ません」


 と、エレナ(プラムドール)は説明する。


 なるほどなるほど、とエレナは納得し、どこかの誰かがエレナ(本人)に聞かせてくれた話だというのを思いだす。


  この、突然現れたエレナ(プラムドール)達がそれらのことを知っていてもおかしくはない。 思考まで複写されているならば、記憶も複写されているのは当然とばかりに納得。


 この宝物庫の入り口の方角からドス黒い魔力の気配を感じる。

 そう、心臓を鷲掴みにされるような気配。

 殺気と邪心が入り混じる、混沌の闇魔法。

 

 エレナは、この生きた屍と鎧武者が、この気配から呼び寄せられたのだと推測。

 ならば、この気配を放出しているものをなんとかするのが最優先と、エレナ(本人)は大量のエレナ(プラムドール) を引き連れて、夢にまで出てきそうな、エレナの大行進がはじまった。

 

、消し炭になったアーマーゴーストと灰と化し消滅した生きた屍を横目に進軍、床には一斉掃射の名残であろう、燃え跡が残っている。


宝物庫への出入口は、普通の出入口が一つと搬入用の大きな出入口の二つ。この二つは、間を開けて隣り合っている。


 エレナがこの宝物庫への侵入に使ったのは普通の出入口でも搬入用の出入口でもない。

 そう第三の出入口と呼ばれる秘密の地下通路が存在する。


 この秘密の地下通路は、この宝物庫を管理する王族の関係者はもちろん、王様自体も使いたくない。 という存在。


 もっとも、つい最近までこの秘密の地下通路は使われた形跡というのが全くない。

 まるで、この地下通路の存在を忘れ去られてしまっているているのではないか? とエレナは疑っている。

 

 この地下通路が何のために存在するのか?

 それは簡単な話だ。この宝物庫の真下には魔獣が封印されているのだ。


 だれが、何のために捕らえ封印したのかなんて、その理由は知りたくもないし考えたくもない。


 

 あんなのが外に放り出されたらこのゼルダ公国だけじゃなくて、アースキャニオン自体が終焉に向かうのは簡単に想像できる。


 エレナは、秘密の地下通路を通る度に思ったことだ。

 銀製の鎖に両手両脚枷を嵌められ身動きができない状態にされ長くて大きな銀色の釘が打ち込まれ壁に張り付けにされている男のコに姿をした人狼だ。




 初めて見たときには、食べてしまいそうなほど可愛い男の子で、しかもそんな男の子が鎖に繋がれているだけじゃなくて一本の巨大な銀製の釘によって心臓を貫かれ、壁に打ち付けられているのだから助けてあげたくなるのは人としてのサガであるのだろう。


 だけどよくよくみると、人狼の特徴である紅い瞳に、首筋からお尻まで一直線に生えたたてがみと、フサフサモフモフのしっぽはまさしく人狼の証。


それが、伝説の人狼であると知った時にはオシッコちびってしまったなったなんて誰にも言えない秘密だ。


 しかも、どれだけの間、そこに張り付けにされているのかわからないくらいに骨と皮になって衰弱していた。


 1度だけ、取引を持ち掛けられたエレナは、相手が人狼だとわかった瞬間には、無視を決め込み相手にしないようにしている。


 そんな地下通路でいつものように、簡単なやりとりをしての宝物庫への侵入。 この、秘密の地下通路の存在を忘れ去られてしまっているかのようで、地下通路の入り口近辺に見張りも衛兵もいないのだ。


お読みくださる読者様の存在に尊敬と感謝を!

 貴重なお時間をいただきまして、すごく嬉しいです。

 ブクマや評価、感想レビューなどしてくださると励みになります。

 お読みくださる全ての皆様に栄光と希望と祝福がありますように!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 盗みの天才少女を主人公としたファンタジー小説、第6部分まで拝読させていただきました。表現がストレートだったり、エレナの後日談が合間に挿入されたりと、ユニークな作品ですね。前作との相違点とし…
2022/06/13 17:20 退会済み
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