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「ロゼ、起きて。行くわよ。」
うとうととしてしまっていたロゼをゆすり起こす。
眠そうに目をこすっている。本当ならゆっくりと寝かせてあげたいが、そうもいっていられない。
「シリー、ごめんなさい。私だけ…。」
「いいえ、いいのよ。ほら、急がないと。」
「うん」
扉をゆっくりと開ける。だいぶ古いので油断すると大きな音が鳴ってしまう。
少しだけ開けて、隙間から外の様子を伺う。
外には誰もいないみたいだ。気まぐれに見張りを置かれるがそれもいない。もし居たとしても準備してあったこの木の棒で殴るつもりだ。
「外には誰もいないみたい。このまま抜け出しましょう」
「分かった。シリー、慎重にね」
「えぇ」
もう少し開けなければ通れない。力を加減しつつ慎重に、ゆっくりと開けていく。
ギィ
「ぁっ!」
「大丈夫!そんなに大きい音じゃない。」
「けど、誰か起きちゃうかも」
「…急ぎましょう。」
本当はこの先も物音を立てぬようにゆっくりと進む予定だった。けれど、いつ誰が来るか分からないこの状況では悪手だ。
周囲を警戒しつつ近くの茂みの入る。ここから村を出るにはひとつしかない門を通らなければならない。
ここは外からの訪問を拒むように、それとも内から抜け出せないようにここは高い壁に囲まれている。
門に辿り着くまでには木に姿を隠してもらえる。
問題はそのあとだ。門を開けるのは容易い。けれど、やはり音が響く。私達が出るのが先か、捕まるのが先か、時間の勝負になる。
「門番は一人みたいだよ」
「運が良かったわ。」
「私がやってるく。シリーは少し休んでて」
力のある私は門を開ける役割、村人の制圧はロゼに任せてある。
ロゼは足音もたてずに門番の背後に迫る。一人くらいなら大男でも敵わないだろう。