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RuiN-花の咲く音-  作者: みづき
四部
18/21

4

先生はいつも庭の真ん中に立っていた。長いときは数時間も。そんな先生を見て、ダズ兄さんがサプライズ作ったのだ。


「先生、こっち来て!」

「ダズ兄さんが呼んでる!」

「にーにすごいんだよー」


下の子達に手を引かれて歩いていく先生の後ろをついていく。あの時の僕はまだ話すことに慣れておらず、先生の後ろを勝手に付いて回っていた。


「わ、そんなに引っ張らないで。ちゃんと付いていきますよ」


何事かと進む先生はそれを目にした瞬間キラキラと輝いた。揶揄なんかではなく本当に先生の周りが明るくなり、光がキラキラと舞っていたのだ。


誰に言っても信じて貰えず「そんな訳ないじゃん。先生が魔法使いだったらありえるけど」とナーナに言われた。

それからは誰にも言っていなかったが、どうしてかエルに話してしまっていた。



「へぇー、先生は本当に魔法使いかもしれないな。だってオレに触ってくれた時も暖かくて体の痛みが消えたから」


茶化すわけでもなく信じてくれた。


「オレも先生のキラキラ見てみたいな」


そう言ったエルの笑顔もキラキラして見えた。


「今度、二人で先生に何かプレゼントしよう!」

「それ、良いな!」

「明日二人で街に行こうぜ!何か良いものあるかも」


エルの手を引っ張り走り出す。

先生に明日、街に降りていいか聞いてみよう。

エルにも何か買ってやろう。細身でガリガリだから美味しい食べ物でも食べさせてやろう。


「あ、アラン」

「ナーナ」

「こら、姉さんつけろ馬鹿」


玄関から丁度ナーナが出てきた。


「掃除は終わったから、先生のとこに行ってきな」

「うん」

「んで、そっちがエルね」

「あぁ、こいつがエル。エル、これナーナ」

「これって何だ馬鹿。エル、私はナーナ、よろしくね」

「うわ、ナーナが笑ったー」

「私だって笑うわよ!ねぇ、この子…」


ナーナが怪訝な顔で僕のとなりを指差した。

そういえば、さっきからエルの声がしていない。


「エル?」


隣を見てみるとエルがナーナの顔をボーッと見ていた。


「エル、大丈夫?」


ナーナが心配そうにエルの顔を覗き混むと、彼の顔は一瞬で赤くなった。


「おい、エル!!」

「はっ!」


強く肩を揺すってやるとやっと僕の声に気付いた。


「あ、あの!オレ、エ、エ、エルエルでぇす!」

「クスクス、エルエルって」

「はぁ?!大丈夫かよ、エル。ナーナのババァだぞ」


「アランは可愛げがないよね、本当」


わざとらしく僕に溜め息をついたナーナは「よろしくね、早く先生の所に行ってきな」と僕の頭に軽く手をのせてから庭の方に歩いていった。


エルが羨ましそうにこちらを見ていたが無視した。

僕も最初はナーナを好きだった、らしいが、僕には覚えがない。彼女と過ごすうちに本当の姉のように思えてきて、その好きは形を変えた。


こいつもすぐにナーナの凶悪さに気付いて打ち砕かれるだろう。


僕の頭を見つめ、触ってこようとしたエルをかわして先生の所へ走った。


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