あなたの為のオーケストラ 其の十六
腰、喉、鼻
これなんだと思う?
これね、作者がGW終盤にヤっちまった部位
喉ガラガラぁ! 腰いてぇ! 花粉症ァ!!!
昨日はいい試合だった……飛び入り参加のロングスナッパー金晶独蠍のワンマンプレーに乱闘が勃発し、俺がタッチダウンしたわけだが……いい汗かけたよ。
小銭稼ぎと経験値稼ぎ、ヴォーパル魂を同時に稼げる蠍はやはり狩場として最強だな……自衛目的で刻傷を恐れず突っ込んでくるところとかポイント高いわ。
「いやー、久し振りに行き詰まった感じだったよ」
「そう……なんですね。あの、えと、私の方は……ぼちぼち、ですかね?」
墓地墓地? いったい何人屠って……いやあんまり面白くないな、お蔵入りした奥で朽ち果てろクソギャグ。
基本的にシャンフロにファストトラベルは存在しない、ディプスロが運送業で小銭を稼げるくらいには転移魔法によるファストトラベルは需要がある事からも分かるが、転移魔法の習得は相当の難易度なのだろう。
だからこそネームドヴォーパルバニーというアドバンテージは相当なものだ。鬼に金棒、廃人にファストトラベル、一体サイガ-0というプレイヤーが今どうなっているのか……ふふふ、レベルキャップを解放しただけで見た目がアレだ。知るのが怖くなってくる。
「…………」
「どうかした斎賀さん?」
「そのあのですね!」
「お、おう」
「陽務君は、その……進学は、どこに決めてるとか教えていただけ、たりは………」
「進路? 来鷹の経済学部」
「……そう、ですよね」
武田氏イチオシの大学だし成績的にも射程圏内なので進路は割とあっさり決めたんだよなー。武田氏の友人がいるとか偏差値の割に気楽な大学だとか色々聞いてるけど「変なのばかり集まるからサンラク氏にも居心地が良いで御座るよ!」と謎の太鼓判を押されている………一般的一般人たる俺に進める言葉じゃないだろうと思いつつも、明日の天気を当てるような気軽さで大企業の株価暴落を言い当てたお人なので信じない理由もないというものだ。
「斎賀さんは?」
「奇遇ですね、私も来鷹なんですよ」
「へ、へぇ」
何今の、一瞬ロボットか何かかと……いや、俺とした事が! ゲーム廃人にリアルの将来を聞くのは一種のタブーじゃないか。いや向こうから聞いてきたとはいえ、廃人の目から生命力が消えるのは当然の事ではないか。
「で、でも来鷹って東京の方だし斎賀さんも一人暮らしの予定だったり?」
「そうで……すね、そう、なると、思い…マス」
「でも家賃とかの兼ね合いもあるしルームシェアとかの方が安上がりだって話も聞くから、俺はそっち方面も視野に入れてるかなー」
他県から通う、もありといえばありだが我が生活リズム的に朝の登校には余裕を作っておかないとやばいきがする……あれ、大学って必ずしも朝から授業があるわけじゃないんだっけ? なら問題ないのか?
「ルームシェア…………ルームシェェァァア?」
なに今のコークスクリューみたいな捻りの入ったビブラート。
「え? うん、まぁ、はい」
何故かその単語に動きを止めた斎賀さんの身体が小刻みに揺れ始め……い、いつもの発作ですか斎賀さん!?
「ちょ、鼻血出てるんだが!?」
「軽傷ですので問題ないです鼻血といっても鼻を通う血管は毛細血管ですから迅速な止血などの対処を行えば全く問題ないわけでむしろ超活性的な作用が働く事でより強い毛細血管が」
「いや社会的に致命傷なのでは!?」
ここは戦場でも病院でもないから鼻から血を出して登校してる女子高生は異端異物異常のすべてに該当するのでは!?
「大丈夫です決して将来設計の仮設定義がもたらすシミュレーションがねじれ曲がったとかそういうあれではなく……ちょっと失礼、します」
なにやら顔を背けて電柱の陰にしゃがみ込んだ斎賀さんはゴソゴソとハンカチを……多分、顔に当てた?
「ふぷしゅっ」
「?」
「………はい、もう大丈夫…です」
「!?」
鼻血が……止まっている……!?
「ウチの……ちょっとした、止血術…です」
斎賀家すげぇ。
俺の中で「伊賀」「甲賀」「斎賀」説が俄然現実味を帯びてきた今日の一幕……
◆
そんなわけで俺は今、ラビッツに来ています。
なんか秋津茜が最上位の隠し職業になっていたり、イムロンがビィラックにぶん殴られていたりやかましいが俺は俺でやる事がある。
「兄貴、巨人族との友誼を結び……古い約束について聞きやした」
「だろうなぁ……」
「んで、巨人族の長より……古い、言伝が」
「……」
今から俺が言う言葉を知っているのか、そうでないのか……主にヴァッシュの子供と違ってこの推定ユニークボスは常時アルカイックスマイルみたいなところがある。
どこまで承知しているのか、していないのかを現状から推し量るのは難しい。未来に訪れる開拓者に向けたメッセージを残してる時点で大体知ってるんじゃねーのと言いたいが、この手のお使いクエストで裏を考え出しても仕方がない。
「死せど、離れど……とのことで」
「……ハッ、そうかよぅ」
沈黙。
くゆる紫煙が薄く広がって消えて……そうしてようやく、ヴァッシュは口を開いた。
「そいつぁ……くだらねぇ、言葉遊びってやつよう。集まって、盃掲げてよう……」
「………」
人の過去に口を出したところでどこまでいっても俺は無関係でしかない。黙して語らず、ただ聞くに徹するのがベター……
「湿っぽくしちまったな、覚えておくこたねぇよ」
「いえ……」
「そんなことよりもよぅ、サンラク……おめぇさん、随分と手間ぁ取ってるようじゃねぇか……」
何を、と聞き直す必要もあるまい。
「お恥ずかしながら………」
「俺等ぁよう、おめぇさんの道を無理に歪めるつもりぁねぇ。そして、あいつらの意思を削ぐつもりもねぇ……」
ただ、と煙管の先端が俺へと向けられ、火皿から溢れた灰が火の赤を僅かに輝かせて虚空に消える。
「ただ聞いてるだけじゃあ、オルケストラは越えられねぇぜ」
「一応飛んで跳ねての大立ち回りはしてるんですがね」
「カカカ……呑まれてるようじゃあ、霧は晴れねぇもんだぜぇ?」
うーむ、解読班。オルケストラ関連の言葉なのか、単純に激励イベントなのか……だがオルケストラはシンプルだ、シンプル故にやれる事に心当たりが少ない。
戦闘する前に音楽プレーヤーに何か仕込むとか? いや、それはそれでやったらアウトな気配がしてならないし……だが何故ヴァッシュ側から未クリアのオルケストラユニークに関してアドバイスとも取れる言葉が出る?
「………」
悩む俺に愉悦でも見出したのか、楽しげに口の端を歪めた白灰の兎は火皿から流れる煙で何かを描くようにゆらゆらと動かしながら……俺へと告げた。
「風を斬り、渦に道を見出した時によう……俺等ぁん所に来な」
「……?」
「そん時ゃあ、俺等ぁもちぃっとばかし力を貸してやるよ」
ひゅんっ! と上から下に振り下ろされた煙管がくゆる煙を一刀に断ち切る。
真っ二つに割れた煙がどこからか吹いた風に吹き流され、俺の頬を撫でていく。
何故かそれは、ざらついた舌に頬を舐められたようにも思えて…………背筋を走った寒気は、果たして何が原因だろう。
大学教授がエタノールに烏龍茶混ぜて曽祖父から受け継いだゲバ棒を教鞭に授業をするぞ来鷹大学!
機械工学拗らせたせいで八代くらい前から超リアルなメイドロボを作ってるサークルがあるぞ来鷹大学!
歴代校長の写真がほぼ全て変顔だぞ来鷹大学!
大体頭のネジが何本か緩んでるか外れてる奴しかいないぞ来鷹大学!
そんな魔境で主人公とヒロインちゃんは生きていけるのか!!
多分余裕で適応する
※なおキョージュやセートのいる大学ではないしペンシルゴン達の通った大学でもない
例のシャンフロ運営三人の母校なだけ




