毒も慣れればスパイス
リンク1のシャドール・ハリファイバーくれ
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もし俺達が石ころと棍棒で殴り合うくらい原始的だったなら、この世の全ては腕っ節と物理的捩伏せで解決するだろう。
だが開拓者なれど現代人、我々は情報というものが持つ価値を正しく認識することができる。だからこそ値千金の情報は時に物理的殴打に勝る威力を発揮する………
「冥響のオルケストラに関するユニークシナリオEXを発生させた、今から【ライブラリ】に売っ払いに行くけどその前に聞きたい?」
「超聞きたいわー」
「わー、話には聞いてたけどマジで変態じゃーん」
「同じクランに属してる私やニーナちゃんの品位まで下がっちゃうよねぇー」
「「ねー」」
「不快:リリエル=217、「Strawberry」所属ユニットとしての任務に戻るべきでは?」
「反論:当機もペンシルちゃんと契約したから独自行動の許可が降りてるもーん」
「おい待て、自然な流れで俺を小馬鹿にした上でそのまま流すな」
否定はできないがせめて何か言わせろ、もうどうしようもないものとして流されるのが一番つらい。
考察クラン【ライブラリ】に立ち寄る前にペンシルゴンのやつに遭遇した、逃げるコマンドを選んでも良かったが傍に征服人形を引き連れているとなれば話しかけざるを得ない。
そしてやはりというか以前サイナから受けたアドバイスをペンシルゴンは実行していたらしく、リリエル=217と名乗る征服人形は何ともあざとい動作でサイナに毒を吐いていた。
「いやぁ、私こういうきゃるんきゃるんなガワの中にドロッとしたジャムみたいな悪意が入ってるジャムパンガール大好物!」
「契約者みたいなミサイル弾頭に言われたくなぁーい!」
うーん、毒入りのシュークリームとジャムパンとかクソみたいなコンビだな。というか……
「なぁジャムパン、お前だってプロトコル「オルケストラ」は知ってんだろ? 話してもいいのか?」
「許可:プロトコル「オルケストラ」はあくまでも条件だから、征服人形が動くのはオルケストラの持ち出し案件だけだよっ」
持ち出し……?
ちら、とプレイヤー二人の視線が交差する。俺程度が考えることを奴が思い至らないとは考えづらいが、仮にも同じクランで向こうは頭を張ってるんだから相談は必要か。
「どうする?」
「こればっかりは隠しても無駄かなー、ニーナちゃん達の態度的に気づくやつは気づくって感じだしさっさと売り払うのが正解だね」
「だよなぁ、つーかもう気づいてる奴がいてもおかしくないレベルだ」
というわけでペンシルニーナ組も引き連れてライブラリの新大陸拠点に殴り込みをかける。どうもエセ魔法少女やその信者はまだログインしていないらしく、仕方ないので【ライブラリ】所属のプレイヤーに話を通す。
何やらシャンフロUIではないウィンドウを操作しているプレイヤーを眺めつつ俺は小声でペンシルゴンへと話しかける。
「あれってVRシステム側のウィンドウだよな、確かリアルと通信する為の……」
「そうそう、メニュー画面のめっちゃ見つけづらいところにあるんだよねアレ……多分インしてないキョージュの携帯端末にメール送ってるんじゃない?」
そりゃスクショ機能とかあるんだからゲーム外に持ち出す機能もあるか……うわ本当だ、メニュー欄の設定のすげー下の方にある。気づいてないプレイヤーも多いんじゃないかこれ。
「……はい、キョージュの方からメールが来ました。「ペンシルゴン君の様子からしてオルケストラのEXシナリオ自発条件はそこまで難しいものではないんだろう」と伝えて欲しい、と」
「文面だけでこっちの手札読み切ってくるのマジ狸親父なんですけど……」
「毟り取る気マンマンかよこいつ」
金って大事ね、最上とは言わないが人生の潤滑油だから欠かすと途端に軋み始める。俺を見ろよ、蠍産業で人生の歯車ドゥルッドゥルだぞ。
「じゃああんた経由でライブラリに伝えておいてくれ、オルケストラのEXシナリオ自発条件は「征服人形と契約した上で神代文明に関する一定以上の情報を持つ」事だ」
「補足:規定ラインに到達する戦闘力も含まれます」
「そういう事は先に言うのがインテリジェンスだぞ」
「欠けた情報を補足する知性こそがインテリジェンスでは?」
成る程、インテリジェンス千日手か……まぁ最初から覚悟はしてたけどコンサート(戦闘)が地味に確定しましたね、はい。
「って事はこれやっぱりオルケストラ自発するなら征服人形と仲良くなってからリヴァイアサン攻略が正解っぽい?」
「肯定:征服人形は契約者を介さないとリヴァイアサンの中には入れないから……出会いの場が無いみたいな?」
「突然の合コン要素か……つーかお前らどうやって知り合ったんだよ」
征服人形って同型が多いから結構な回数、似たような面を見かける。サイナことエルマ型も結構見かけているしその度になんかサイナが人生の勝ち組的ドヤ顔をするので逆説的なレーダーにもなっている。ドヤ顔=近くにエルマ型、みたいな?
「んー? そこはホラ、サイナちゃんの名前を使って釣り出す感じで?」
「契約者酷いんだよ? 「サイナちゃんが通信途絶環境でリリエル=217ちゃんを呼んでるから〜」って当機を誘き出しちゃうんだもの」
無論、サイナがピンチとかそういった事実は存在しない。つまり90%嘘なのだが、どうやら奴は10%の事実をフル活用してお目当の魚を釣り上げたらしい。
「あとはこう……未婚女性を言いくるめる感じで?」
「もう勝ち誇った顔なんてさせないもんねー、べーっ!」
「報告:理性を感じさせない面構えですね、流石はリリエル型と言わざるを得ません」
「カタブツのエルマ型に言われたくないんですけどーっ! っていうかエルマ=317、なんか性格悪くなってない?!」
「はははまさか、インテリジェンス・異常なしですが?」
「そうだぞ俺に似て和を重んじる善良な魂をしてるじゃないか」
「ダメだニーナちゃん、君の友達はもう外道に汚染されているよ」
百歩譲ってもテメーにだけは言われたかねーよ! むしろ詐欺から始めて好感度高めにキープしてるのこえーんだよ! !
「あー、その、情報提供の礼についてですが……」
「ん? あぁこいつに一任するわ」
「ヨロシクネ?」
「セートさんかキョージュじゃなきゃ対処無理っスよこれ……」
哀れ【ライブラリ】プレイヤー、よりにもよってこいつと交渉戦とか合掌ものですわ。最初からぶん殴った方が早く済むって分かってるからこそ余計に虚しいんだよね、うんうん。現代社会に生まれた己を呪え。
「じゃあ俺行くから」
「んぇーい、オルケストラに関しての情報は私を通してねー」
俺が動く、鉛筆に情報が溜め込まれる、泣きを見るのは【ライブラリ】……哀しいねぇ。
ヒラヒラと手を振りつつライブラリの拠点から退出しようとした俺とすれ違うように一人のプレイヤーが前からやってくる。
「……「蛇」の件で」
「……ん」
そしてすれ違う瞬間、スッと差し出された筒状に丸められた羊皮紙を受け取って……いやお前これやりたかっただけだろ知ってんだぞ外でスタンバってたの! いや、まぁノリノリで金を手渡した俺も俺だけどさ。
「それで酒でも買いな……」
「あ、いいねそれっぽい」
おいおい、ロールプレイはせめて最後まで維持してくれぇー
鉛筆は色々と人間の汚い面も知ってるのであざとすぎるし毒舌なリリエルも普通に接する。スルースキルと煽りスキルが高いので上手く付き合える
サンラクとサイナは互いに殴り合ってて、止めようとする奴が割り込んでくると何故か協力プレイで殴りかかってくる奴
外道三人の場合は取り繕うので若干種類が違う




