アイム・ア・カースドプリズン
魂の単発で光ミリンを引き当て、かき集めた10連でリミフェリを当てる神引き
風姉上はサプればええやろ!!
「加速ぅ! 爆進! 猛追撃ィイ!!」
「クソがっ! 動きが迷わない……脊髄でモノ考えてんのかテメェはァ!!」
あたぼうよ! イアイフィストを抜かせたからには、勝つも負けるも結果次第! 過程なんぞに迷う暇があったら殴る!!
「一般人がプロに食いつくにはこれくらいしねーとな!」
「どの口がほざきやがる!!」
アメリア・サリヴァンは俺やシルヴィアみたいなテンションを上げていくタイプではない、口調こそ粗野だがプレイスタイルは徹底的なまでに冷静だ。流石に心まで読まれてるとはいかないだろうが、この短い時間でこちらの傾向をおおよそ読まれている節すらある。
さらに言えば格ゲーマーとしての経験値が違いすぎる。格ゲーとは要するにぶん殴りあいの喧嘩だ、フルダイブVRで強い奴が必ずしもリアルでも強いとは限らないが、リアルで武術の心得がある奴にはやはりある程度のアドバンテージがある。
では格ゲーの心得がある奴は? んなもんどの格ゲーでも強いに決まっている。
重量級には重量級特有の戦い方があるし、全米二位にして重量級キャラでシルヴィア・ゴールドバーグと渡り合う奴が対重量級に関して不得手である事を望むのはカナヅチの魚を探すより難しいだろう。
「ビーナスファイトを知ってるか?」
「知るかァ!」
「なら初見だ! 降雷轟槌!!」
まぁジャパニーズ・美少女格闘ゲームまで網羅されてたらビビる。
唯一の武装である機鎚を迷いなく投擲、遠心力と運動エネルギーを存分に乗せた一撃は奴に残った片翼のレーザーによって迎撃され、上方へと弾き飛ばされ……良い位置だ、再現協力感謝ってな!!
「脳みそをスパークさせてやるよ!」
「マトモに喰らうかっ!!」
吹き飛ばされ落ちてきた機鎚を前進しながらキャッチ、元ネタではジャンプしてキャッチからの振り下ろしだったが……生憎今の俺はジャンプできないのでな、助走をつけての振り下ろしにさせてもらうぜ。
「せぇい!!」
「ぐぅお!!」
下半身をメインに強化されている上にホバー状態であるマイ・カースドプリズンはハー・カースドプリズンよりも僅かに視点が高い。
ハンマーの末端を握りしめ、全力で振り下ろした一撃は加速も相まって必殺たり得る威力を内包していた。だが「大佐」を取り込んだ奴の右腕が鎚の軌道上に塞がり、ダメージ覚悟の防御によって機鎚を受け止め切る。
「まだ死んでねェぞ!」
「なら今死ね!」
クロスカウンター! だが再び拳同士の激突!! 奴の体力は再びミリ単位にまで追い詰めた、引導を送料無料でプレゼント!!
「抜き打ちだ!!」
「削れろォ!!」
クロスカウンターで用いた右腕ではなく、構え納めていた左手による抜拳。対する相手は全身をひねって翼のレーザーを当てる算段か。良いぜ、ダメージ交換と行こうか!!
身体をひねって翼をこちらに向けるという事は、翼そのものを俺へと近づけるという事。伸ばした右手が焼けるのも構わず、レーザーを放っている最中の機翼を掴む。
そして、引っ張り寄せながら1フレームでも速く届くようにとまっすぐ伸ばした貫手を叩き込む!!
「ぐはっ!!」
その一撃が奴の喉元に突き刺さった瞬間、翼より放たれる光条がピタリと止まる。
僅かな静寂、七割ほどにまで減った己のゲージを視界の端で確認しつつ掴んでいた機翼を手放せば、もう力が入らないのだろう巨体が地に倒れ臥す。
「……いいさ、リアルはテメェなんだろうよ」
バキバキと奴が纏っている「機械群」が剥がれ落ちていく。それはあたかも頭を失った「機械群」の終焉を暗示しているようで、しかして晒された屍は消える寸前であっても闘志の炎を燃やす。あたかもその炎で己を灰にするかのように。
「だが……勝つのは、」
1Pカラーのカースドプリズンの姿が僅かにぶれて、消えた。
「言葉足らずだな、引き継いでやるよ。勝つのは…………俺だ」
いつもの俺は謙虚で慎しみ深いのでこんな風にイキっちゃうのはカースドプリズンというキャラに同調してるからだろう。
だけどまぁ、プロゲーマーって半分タレントみたいなところもあるしこういうファンサービスも普通なんじゃないかな、うん。
「さて………こっからが正念場か」
元より負けるつもりはない、大して何か仕込めるわけでもない……ならばせめてバトルステージを変えるくらいはしないとな。
「ラストバトルだ、盛大な舞台を用意するぜ敗残兵」
WΔらしく盛り上がっていこうぜ?
◇
現実世界(拡張済み)は大盛り上がりしていた。
「決まったぁぁ! 1Pカースドプリズン敗れる! リアルカースドプリズンここにありってところでしょうか!」
「Congratulations! アメリアも顔隠しも最高だったワ!」
「あー、スタッフさんここピー音とか入れられます? 無理?」
何故か傍観者のシルバーがエイトとハイタッチをしているのを眺めつつ、慧は今繰り広げられた光景に思考を馳せる。
「凄かったですね、顔隠し側は序盤から仕込んでいた伏線大爆発、ってところでしょうか」
「カメラ裏で何かしてるとは思ってたけど、ニューバージョンのスタイルの用意をしてたのね!」
「そうだね、さっきこっそり調べたらマジで発見されて一日も経ってない特殊形態でした。運がいいというか何というか……」
NPC勢力が三つのうちのどれになるかが決定されるのはキャラクター選択を終えた後だ。つまりゲーム開始時点ではあくまでも三分の一の可能性の一つでしかなかった。
「ディスプレイを早期に潰したのはカメラで隠し場所を悟られるのを阻止するためだったんでしょう、実際長期戦になるほどディスプレイは情報アドバンテージを獲得しますから……」
「ディスプレイが残ってる状態で素材を集めていたら、最悪般若さん側のカースドプリズンに取り込まれる危険性もありますからね」
「「大佐」と「総帥」を取り込んだスタイルがミドル、ロングレンジだったのもあるわね。ああも速攻で近づかれるならアドバンテージなんて無いもの」
とはいえ、リアルタイムでこの番組を視聴する視聴者達の言葉が流れるコメント欄を騒がせるのはそこではないのだが。
「コメ欄もすごい盛り上がりですねー」
「私はあまり詳しくないのでいまいちピンと来なかったんですけど、顔隠しさんが叫んでいた技名ってのは……」
「モータル・ラリアットはデスマ4……Death Match4って作品に出てくるキャラの必殺技ですね。こうラリアットで相手を掴んでぐるっと回転して吹っ飛ばす……カメラワークが特殊なんですごく派手な技です。 降雷轟槌は……まぁちょっと形は違いますけど、ビーナスファイトっていう、まぁ色んな神話の神様を美少女にしたゲームのキャラの必殺技ですね確か」
「えーと……別にカースドプリズンの技ってわけでもないですから、わざわざやる意味はあるんでしょうか?」
「んー……ぶっちゃけない、んですけど……今回に限っては二つメリットがあります。一つはアメリアを混乱させられること」
古今東西のバトルスタイルを瞬間的に再現する、それはつまり戦い方そのものが変則的になるということだ。
「ハンマーを使うにしても投げる、叩くで立ち回りが変わりますからね。あの体力じゃ対応する前に倒されるのはまぁ必然だったのでは?」
「もう一つは何なんですか?」
「成功したらテンションが上がる」
「ええ……?」
「いや大真面目ですよ、コイツ……んン゛っ! シルヴィア・ゴールドバーグとか顔隠しみたいな手合いはテンションが高まるほどパフォーマンスも上がりますから」
「イェーイ、Everybody見てるー?」
「こらこらシルバー、シルヴィア・ゴールドバーグの名前に反応して手を振らない」
これで戦況はほとんどイーブンにまで並んだ。カースドプリズンは体力を三割ほど失っているものの、四脚機動という強みを確保している。対する般若は三番手にしてGH:B……ギャラクシア・ヒーローズ:バースト時代からの持ちキャラであるゼノセルグスを万全の状態でここまで持ち込んできた。
「お二人はどちらが勝つと思われますか?」
「さぁ?」
「さぁ、って……」
「教えてあげるエイト、エキサイティングなバトルの結果は神にだって決められないの。それを決めるのは戦ってる二人だけ、それを知ってるのは未来だけなのよ」
三角の街で繰り広げられる闘いは、いよいよ最終局面へと突き進む。
相対するは呪われし鎧と、異質なる漂着者。そして……敗残の戦乙女。
カスプリミラーマッチ観戦から見るシルバー仮面七変化
・英語ではしゃぐ
・エイトと謎ハイタッチ
・慧の肩をバシバシ叩く
・「分かりみが深い……」と無言で頷く
・「見た? 見た!?」とカメラに向かってゼスチャー
・ガッツポーズ
・思いっきり般若の本名を叫ぶ
こういう事するからファンが増える、ちな全世界規模で視聴者が十万突破しました。もはやワールドワイドアイドル笹倉エイト……!!
ルスモル「んんん??」
鉛筆(視聴&爆笑中)
斎賀姉妹(番組を見てない、そういうとこやぞ)
秋津茜(マスクを被っただけで正体がわからなくなる系純真ガールなので気づかない)
京極(あいつ(くいっ)に頭を射ち抜かれたところ)




