塵の如く散れど
五百話ですね……PV一億ですね……累計ニ桁入りですね……なんかボケようと思ったんですけど「ウィングマンを崇めよ」くらいしか思いつかなかったので素直に感謝の言葉を述べます……
皆様のおかげで拙作シャングリラ・フロンティアもここまで来ました、まさか自分の作品に二次創作が出来るとか書き始めた当初は思いもしなかったですし、作者が節操なしに返信するせいで感想欄もちょっとヤバいことになってますが有志の方々によるシャンフロWikiなんてものすら作ってもらい、光栄の至りであります
ここまで書いてようやく半分……だと思うので、読者の皆々様には今後とも生暖かい目で作者が設定を吐き出し続ける様を観察していただければと思います
今後とも、拙作をどうかよろしくお願い致します。そしてこれを読んだ貴方もウィングマンを崇めよ
モザンビーク君はもうどうしようもないからスマートピストルに弟子入りしよ?
◇
「先制! 先制したのは顔隠し! す、凄いですね……! って、あれ?」
興奮するエイトとコメント欄であったが、エイトが顔を向ければそこには難しい顔で画面を睨む二人がいた。
「……ここで超必殺切るか普通? いや確かにあいつ浪漫主義だけど、こんな序盤で超必殺使ってもそこまでテンション上がらないでしょ……なんか狙いがある? シル……バーはどう思う?」
「ディスプレイを優先排除したい理由……つまり強制解析を嫌った理由ってコトよね? でも仮にこれ以上のダメージを嫌ったから、だとしても超必殺を使ってまで? とは思うわ」
どうもプロゲーマー二人……もといプロゲーマー一人と謎のマスクレディはあまりに性急すぎる決着のつけ方に違和感を感じているらしい。
「あ、あーすいません、ちょっと考え込んじゃって……そうですね、簡単に説明すると費用対効果が結構釣り合ってないんですよね、今の」
「と、言いますと?」
「ぶっちゃけますと、真っ向勝負を般若さんが選んだ時点でダイアグラム8:2くらいでダスト有利なんですよ。般若さんも正面から削るんじゃなくて「戦乙女」の誘導でじわじわ削ってましたし、そもそもトップディスプレイの時点で最初からディスプレイは捨て駒なんですよ」
「つまり……時間をかければ普通に勝てていた、という事ですか?」
「そうですね、っていうかダストのゲージ消費技で弾丸をフル装填するゲージ技があるので、そっちを使ってた方がいい気がするんですよねぇ……ミスって超必殺暴発! って訳でもなさそうですし」
画面の先、「戦乙女」からの逃亡を成功させたダストが遭遇した警官を片っ端から殴り倒し、時に市民を「機械群」から助け出しているなんともちぐはぐな光景を披露するダスト。
だが二番手のキャラでリスポーンした般若へと視点が切り替わる寸前、ダストが一見そう珍しいことではない、だが冷静に考えれば奇妙な動きをした事に気付いたものはまだ誰一人として存在しなかった。
◆
気分は犬だな、水面に吠えて骨を落とすつもりはないがせめて骨の存在を失念しない賢い犬でありたいもんだ。
「……臭うな」
厄介な匂いだ、具体的に言うとはち切れんばかりのギャラクシーパワーを鎧の中に詰め込んだ野郎が大暴れしてる気配がする。っつーか思いっきり爆発音するわ。
「一、二、三……まぁこんなもんか、「戦乙女」が離脱してたのは助かったのやら困ったやら……」
プレイヤーの二番手以降のリスポーン地点は「残っているプレイヤーから最も遠い位置」に設定される。本来はリスキル対策なんだろうが、今回に限ってはマジで有り難いシステムだ。
タイマンで勝利したプレイヤーにとってこのほんのわずかなフリータイムはでかいアドバンテージだ、トチ狂って序盤に超必殺ぶっ放した俺のようなプレイヤーにとってはボーナスタイムだな。
「あとは程よく距離を稼ぐだけか……」
いやぁ、途中でバイクに乗った親切なおじさんがいてよかったよかった。どうせ街の外になんぞ出られないんだから避難場所を教えたらバイクを譲ってもらえたぞ! そう言う事にしておけ、なお悪の弾丸が溜まったが特に関係はないだろう。
「アメリカンバイクってやつか? いやまぁ一応分類的には洋ゲーだしなこれ……」
数十分、短くても数分の付き合いだが……この身この命預けたぜ相棒。駆け抜けろ風の如く!!
アクセル全開、待ってろカースドプリズン、かつてリアルカースドプリズンに最も近いと言われたプロゲーマーの実力、見てやるよ!!
……
…………
相棒、ちょっとエンジン止めて、な? この距離でもなんかバレそうな気がしてきた。
「…………?」
数秒前に見たものがイマイチ信じきれず、思わず建物の陰に隠れてしまったが……首を傾げつつもう一度顔だけ出してそれを見る。
ガシャコン、ガシャコン、ガシャコン、プシューッ(下半身が八脚と化したカースドプリズンが大通りを闊歩する音)
バヂヂッ、ドッドッドッドッドッ……(明らかに帯電している右腕のチェーンソーが静かに動き始めている音)
ジャギン、ジャギンッ、ギヂギヂギヂギヂ……(左腕と一体化した巨大ハサミが獲物を求めて開閉する音)
「……何アレ?」
いやマジで何あれ? カースドプリズン? いやまさか、機怪生命体アラクネア・デッドリーアームズとかそう言う感じのボスキャラだろどう見ても。もはや人の形を留めてないぞ……
いや確かに「機械群」はその性質上、カースドプリズンにとっては拡張パーツが脚を生やして歩いてるようなもんだけどさ……それにしたって、えぇ……? あんな殺意に満ち溢れたカスタムある? いや、いやいやいや、臆するな俺、見たところ武装はどれも近距離高火力タイプ、ヒットアンドアウェイならいける……それにダストは中距離タイプ、当たらない武器なぞデッドウェイトと同義!
「いくぜ相棒……いざ尋常に───」
ジャギギギギッ!!!(脚パーツが変形して八つの銃口を展開した音)
「Oops.」
「Most welcomed.」
不味い、あの銃は「機械群」の───
次の瞬間、俺という操縦者が飛び降りたことで制御を失って横滑りに吹き飛ぶバイクが一瞬でスクラップと化して爆散する。
「リロー……どおぁっ!!」
そして爆発の煙幕をブチ抜いた弾幕が俺の全身を撃ち据える。ヤバい、雑魚とはいえ「機械群」の銃を八門喰らうのは、HP……逃げ…………!!
「ぐ、ぉぉぉおおおお!!?」
死ぬ死ぬ死ぬ! だぁあ畜生銃落とした! 拾いに行く前に死ぬ! 射線から外れねば……っ!!
「だぁあ!!」
生き……てる! 死んでない! でも一割切ってる!!
クソ……実装されてから日が浅いコンテンツ限定の形態がどんな攻撃してくるかなんて把握しきれるわけがないとはいえ、迂闊すぎたか。
「銃は……」
ダメだ、流石にもう一度射線上に立つのは自殺行為だ。そもそもこれ以上ダストに出来ることはほぼ無い、ディスプレイを倒した時点で役割のほとんどは果たしていると言っていいが……そうだな、ぐだぐだ時間を稼ぐ意味も薄いが大人しく手を挙げて降参ってのも釈然としない。
割れたビルの窓から中に侵入して、内部を突っ切って逆サイドから外に出る。いいぞ、背後に回った。銃弾は……クソ、悪の方かよ。
だがもう多くは望むまい、ダスト行きまーす!!
「………!!」
「チッ! ビルの中を突っ切ったか!!」
一発、二発……命中。三発、四発目を外して五発目が奴の八脚の一つに装備された砲塔を破壊する。やっぱりな、カースドプリズンの多様性は驚異的だが取り込んだ「外殻」は結構脆い、悪の弾丸でも破壊できる!
だが、
「なんだその気色悪い超信地旋回!」
「正直私もちとビビってる」
ガシャガシャガシャ! と八脚が高速で蠢きその身を反転、七つの照準が雑に俺へと狙いを定める。チッ、ここまでか……だが!
「エリクサーはケチるなちゃんと使えぇぇぇえ!!!」
ラスト一発!!!!
引き金を引き、発砲の衝撃が手首を圧した直後、俺の全身に弾丸が叩き込まれる。
吹き飛ばされる直前、六発目の弾丸が奴の鋏にガードされたのが見えて……ていうかそれ蜘蛛じゃなくて蟹なのか……ていうか上半身と下半身で別の動きできるのか………ていうかやっぱそれボスキャ
「ぐはぁっ!!」
そこでダストの体力はゼロになった。
◆◆
「………どうやらダストがやられたようだな」
だがクソテレビを撃破し、カースドプリズンの魔改造を暴いた勇気は賞賛しよう……いやまぁ引き続き俺ですけど。
首の骨を鳴らしながら手首をスナップさせて杖を軽く振る。
「妖精神拳三千年の流れを汲むTQC……その真髄を骨髄に刻み込んでやる、覚悟しとけよ……?」
レッツ・ティンキー☆
500話記念設定吐き出しコーナー
・ユニークモンスターとはなんぞや
そもそもユニークモンスターとはあくまでもゲーム上の呼称であり、シャンフロ世界では七つの最強種と呼称される。
これはユニークモンスターが単一存在、子を為さずされどただ一つの存在として確立されていると「シャンフロ世界の人類」に定義されているためである。しかし単一増殖するゴルドゥニーネや「ヴォーパルバニー」の祖たるヴァイスアッシュのように必ずしもオンリーワンというわけではない。
メタ視点から正確に定義するならばユニークモンスターとは「神代に縁を持ち、その存在を「力」で示すもの」である。さらに詳しく説明するなら享楽、憎悪、検証、経緯……動機は違えど己の死を是とした上で新人類の挑戦を受けるもの、それがユニークモンスターである。
そのため自らの停止を是とせず、多少暴力的とはいえ「智」を授けるイサナはユニークモンスター足り得ない。
だがもしもイサナが己の死を是とした上で人類の挑戦を求める迷宮と化したのならば、致命的な愛で人類を抱擁する「狂慕」の名を与えられていただろう。
また、一号計画の不良品にして望まれざる先祖返りたるイリステラは兎に導かれ、人と触れ合うことで生への希望を見出した。それ故に彼女から「頽廃」の名は消え去ったのだ。
だがそれとは別に現実世界においてもユニークモンスターの名は特別な意味を持つ。
三幹七枝、ワールド生成、制御、進行及びプレイヤーデータの保存を司る三機のメインサーバー「ジズ」「リヴァイアサン」「ベヒーモス」に対して全MobのAI制御、及び人格データの制御を司る七つのサブサーバーには「ヴァイスアッシュ」「リュカオーン」「ゴルドゥニーネ」「クターニッド」「ジークヴルム」「ウェザエモン」「オルケストラ」の名が付けられている。
これは「シャングリラ・フロンティア」を執筆した継久理 響十郎の設定集にちなんで創世が命名したものである。
───夢破れた「継久理一族」の老人が擦り切れた寵児に語り聞かせた寝物語、少女の世界に彩りを与えたその物語こそがこの世界の起源にして根幹なのだ。




