罪を断つ二つの裁き
私のことは「サプチケ10連でエデンとバレンタインクラリスを当てた超絶騎空士硬梨菜」と呼んでください。
まぁその後の30連ドブった後にガチャチケでサティフィケイト出したけどマグナマンにどうしろってんですかね、古戦場楽しーい!!(血反吐混じりの絶叫)
◇
「あー、コメ欄で「慧きゅん善と悪の弾丸効果間違えてね」との事で……呼び方に物申したいけどとりあえず間違えてすいませんでしたー。あとシルバーさんが戻ってきましたね」
「My negotiate skillはカンストしてるわ!」
「言いくるめかぁ……」
「あの、顔隠しさん結構ヤバい動きしてるんですけど触れたらダメな奴なんですかあれ」
「ん? あー、なんだったっけかな……シェリフかな? ダンス・ガンズ・デュエルってゲームに出てくるキャラの動きを真似ってますね」
画面の中、銃弾と銃そのものが宙を舞い、弾丸と徒手空拳による怒涛の攻勢がテレビ頭の女を押し込んでいた。
それは「普段は二十世紀の骨董品みたいなガラの悪さなのにゲーム中はシルヴィアに匹敵する程の技巧派」と評されたあのアメリア・サリヴァン……もといマスクドハンニャが一方的に押されていると言う今迄にある一名を除いて誰もなし得なかった光景である。
「ダンス・ガンズ・デュエル? あー……待ってくださいどこかで聞いた覚えが…………あ! 思い出しました一昨年くらいに出た格ゲーですよね?」
「そうですね、全キャラ銃火器持ち、っていう中々面白い格ゲーでした。ショットガンキャラの通常攻撃強過ぎて若干アレでしたけど……」
なお余談だがある理由からサンラクと百連戦をした際、勝率七割を維持するために恥も外聞もかなぐり捨てて件のショットガンキャラでサンラクをボコったのはカッツォの心の中に厳重な施錠を施した上で封印されている。
「あ、コメ欄でも知ってる方はいるみたいですねー。そうそう、ガトリングピエロより道化師してる保安官とか言われてましたよねぇ……そうなんですよ、アイツ出来るんですよ。流石に完全コピーは無理とか言ってましたけど、大まかな再現できてる時点で頭おかしいですよねぇ」
「ねぇケイ、顔隠しが今やってるのって実際どういうものなの?」
コメント欄の流れを把握した上での話題振り。現代のプロゲーマーがタレントとゲーマーの複合職と言うべきものである以上、全米一のゲーマーとはタレントとしても一流であると言う事である。
怒涛の勢いで流れていく文章の中から共通の話題を見つけ出し、疑問の代表者として答えを知る者に問う。エンターテイメントとして最高のパスを受け取った慧は視聴者が知りたがっている情報に今繰り広げられている戦いを絡めて解説を始める。
「シェリフの性能紹介は程々にしますけど……まぁいわゆる手数の代償に火力が低いタイプのキャラなんですね。原作だとDPS的にはガトリング使いが堂々のトップでしたけど……ですがシェリフの動きをダストでやった場合ある利点があります」
「利点とは?」
「弾丸のバリエーションよエイト、NPCの弾丸を恐れる理由はなくても、飛んでくる銃弾の取捨選択をしながら戦うなんて私でもちょっと手こずるワ……ちょっとね」
できない、とは言わない辺りに全米一としての、公式戦で黒星をつけられようとも翳らぬ一番星の輝きを感じさせるシルバーマスク。
「そこまでタフではないディスプレイでもNPCの弾丸は無視できるレベルですが、その中にダストの銃が混ざっていると話は変わってきます。ダストはPSYボーグと一緒で銃撃がメインのダメージソースですし、ノックバックもあるので下手に受けるとそこからコンボに繋げられます」
まぁでも、慧は口を開く。
「あの戦法、致命的な弱点があるんですけどね」
◆
「どうしたダスト、アンコールは?」
「五分休憩しても?」
「認めるわけねェだろうが!!」
デスヨネー。
くっ、シェリフ戦法は確かに有効ではあったが、根本的な問題がある。
ダンス・ガンズ・デュエルではリロードモーションの隙こそあったが弾丸は実質無限だった。
だがダストは弾丸を補充するにも殴らなきゃいけない。いくら攻勢に回ったとしても消費と補充が釣り合わないのだ。
ましてNPCから拝借した銃は使い切り、「戦乙女」への牽制も込みで乱射していれば直ぐに弾切れを起こす。
「お前やシルヴィアみてぇなタイプはエンジンがかかると厄介だがなぁ……ダストでやるにはタフネスが足りねぇようだな」
「体力四割でよく言うぜ……あぶねっ!」
やっぱウザイぞこのポンコツブリキ!
やはり全米二位は伊達じゃないってことか……今の攻防、単純に殴り合っているだけではなく「戦乙女」のヘイトを如何に相手へと押し付けるかの攻防もまた同時並行で繰り広げられていた。
結果から言えば、そっちでは俺が一歩後ろにいると認めざるを得ない。結果的にこちらの体力も五割ちょい、こちらの弾事情も加味すれば差し引き俺不利と言わざるを得ない。
どうする? 俺は目先の利益の為に血を流せる人間か? 最終的に勝てるとも限らない、そもそも色々とごちゃ混ぜになり過ぎてプロットなんて粋がってもその実はガタガタの即興台本だ。
そんな状態で、分の悪い賭けにベットする覚悟が俺にあるのか?
「あるさ」
「あ?」
超必殺、発動。
「塵は塵に!!」
そういう分の悪い賭けってのを浪漫って言うんだ、初めてゲームに触れた日からそいつは俺の大好物だ!!
ダストの超必殺は分類的にはカースドプリズンの「脱獄」に近い。ミーティアスのような行動的必殺ではなく状態的な必殺技ということだ。
「塵は塵に」はダストがギャラクシアレーベル世界における地獄の最高権力者ヘルゼブルより授かった必殺必滅の弾丸の名前である。
銃に装填された弾丸が一時的に消失し、二丁に一発ずつ装填された弾丸は二発命中させることを条件とした大ダメージを与える超必殺だ。
「序盤で超必殺を切ったか……!!」
「その体力なら消し飛ばせるだろ……!」
「やれるもんならやってみなァ!!」
超必殺によって生成される弾丸は二十秒発砲せずにいると消滅する、リミット二十秒! 奴に二発叩き込め!!
「いざ尋常に死ね……!」
参考にさせてもらうぜレイドボスさん!
銃口を突きつければ、向こうは回避を選択せざるを得ない。回避に動いた隙を狙って距離を詰めて回し蹴りを叩き込む、だが浅い。カウンターでクソテレビの腰に吊るされたスピーカーからダメージ判定を持つ大音量のノイズが俺の右半身を叩く。
「く、ぉ……っ!!」
左の銃を発砲。真っ直ぐに飛んだ灰色の弾丸は攻撃直後のクソテレビに吸い込まれるように飛翔し、右大腿に命中する。
「クソがっ!!」
「まずは一発ゥ!!」
焦るな、まだ十秒以上ある。「戦乙女」が槍を構えて俺へと突っ込んでくる。邪魔くせえ、すっこんでろポンコツが!!
「塵は塵に」を撃ち終えた左の銃を投げつける、ダメージは狙ってない。シャンフロシステム流用なら……ネームドNPC、目で追ってくれると信じてたぜ。
「二足歩行の欠陥!!」
一本制御不可になるだけで五割のバランスを喪失するクソみたいな安定への脆弱性を突いた足払いキーック!!
「残り十秒ぉ!!」
クソテレビ………だぁあクソがっ! やっぱり逃走してやがる! 百点満点の行動をどうも! だったらこうするまでだ!!
俺は銃を構え、集中力を研ぎすまし……撃つ。
僅かな沈黙を揺らす発砲の残響。クソテレビは己の身体に衝撃がないことを認識し、俺の方へと振り向き───
「よう、どこ狙っ「天誅」ガッ……!?」
誰も全弾撃ち尽くしたなんて言ってねーよ。
最後に残した隠し弾を撃ち切ったNPC警官の銃を投げ捨て、幕末クイックドロー……通称「重ね二弾式天誅」の構えから放たれた「塵は塵に」を顔面で受け止めた。
「審判の刻だ、神に祈るか? 悪魔に縋るか? 塵は塵に、お前の答えは一つだけだ……ってな」
条件達成、クソテレビに食い込んだ二発の弾丸が光を放ち………
膨れ上がった光は柱の如く立ち登り、光の十字架を生み出して弾けた。
・幕末式クイックドロー
基本的に刀剣性能では新撰組サイドには敵わないため、維新サイドで生み出された銃撃テクニック。
ありとあらゆる手段で弾丸を叩き込む事に特化しており、残弾数を誤魔化すために様々な方法を用いる。レイドボスさんが俺たちの勇者を蜂の巣にした際に用いられた「最速で手持ちの銃とインベントリ内の銃を入れ替えて残弾数を誤魔化す」取り替えテクニックなどが有名。
他にも「あらかじめ大量の銃器を隠した場所に誘導して蜂の巣天誅」「花火屋からパチってきた火薬を団子屋に仕込んで特定プレイヤーを爆殺天誅」などが存在する。
因みに団子屋天誅したプレイヤーは一週間花火と団子の串が降り注ぐ悪天候に悩まされた




