原因は魂の形が似てるが波長が僅かにズレているため
軽率に名前募集したら割烹にも感想欄にも大量の名前が羅列されて素で焦る奴がいるらしい
やはり……掲示板回を書けと天が囁いている……のか……
まぁ、ヴァッシュとエンカウントする最短の手段は招待クエストをクリアする事だ。そう伝えるとイムロンは瞬く間にコロシアムへと走り去っていった……なんか途中で拾い上げられていた貴族風衣装の兎がイムロン担当の奴なのかな?
まぁそれはそれ、俺は俺。自分の用件を済ませよう。そう考えてヴァッシュがいるだろう兎御殿の玉座の間に向かった俺が見たものは……
「ニ、ニャァア……」
招き猫みたいな横幅のある白いケット・シーと、アラミースの上位互換みたいな威圧感のある三毛のケット・シーに挟まれた虎柄のケット・シーがヴァッシュに視線を向けられて震えている、という妙に愛嬌のある緊迫した光景だった。
「………」
なんだか無機物フェイスでこの中に混ざるのもアレなので正眼の鳥面にマスク・チェンジ、単純に興味があるので「あ、お構いなく」と言った雰囲気を出しながら傍聴に回り───
「残念ですが貴方も関係者です」
「マジで?」
困ったように耳を掻いていたエードワードの一言で強制的にアニマル裁判の現場に投入されてしまった……あっ、エムルてめー逃げやがったな!
「と、とと、鳥の人……!!」
「ん? そうです鳥の人です。初対面だよな?」
「お初にお目にかかる鳥の人、我輩はトレーヴィル……キャッツェリア「長靴騎士団」団長トレーヴィルである。そしてこちらがキャッツェリア国王ニャイ十三世であらせられる」
「よろしくニャ」
なんて基本に忠実な語尾……っ! くそッ、その王冠とかどう見ても小判じゃねーかよ……っ! リアクションしたら負けか? 負けだよなぁ。
「───そして、此奴はキャッツェリア最高の「宝石匠」だったダルニャータという者だ」
ダルニャータ……ダルニャータ……あぁ思い出した、封雷の撃鉄・災や瑠璃天の星外套を作った奴だ。
「……で、そいつがなんでこんな状態に?」
少なくともパーティーをしに来たって雰囲気ではない、どちらかと言うと小指を詰めるかコンクリに詰められる五分前のような……
「おう、サンラクよう。おめぇさんが預けたってぇ宝石をぉ、そいつぁガメてたってぇ話だぁぜ?」
「宝石ぃ?」
あー、そういや大量に預けてた割に送られてきたアクセサリーは少なかったからなぁ。まぁガメてるだろうなとは思ってたが………
「いや、それに関しちゃこう、暗黙の了解的な感じで手付けのチップ的な感じに渡したような……」
だがどうやら、単純なネコババでは済まない話であるらしい。
問題の発端となったのはこのトラ猫ダルニャータが私的にネコババしていた宝石の一つ、その存在がキャッツェリアで発覚した事だった。
「それがこれニャ」
「……?」
ただのローエンアンヴァ琥珀晶だと思うが……?
「この琥珀の中には極めて力ある属性が封じ込められているニャ、極上の一品ニャ」
「そ、そうか」
普通に考えればケット・シーの語尾が「ニャ」なのは何もおかしくない筈なのに、アラミースもトレーヴィルもダルニャータすらも普通に話すから逆に違和感しか感じねぇ……っ!
「鳥の人は我らケット・シーが宝石をこよなく愛することを知った上で手付として多くの宝石を贈ってくれたニャ。であれば此奴がすべきは最高の一品を作り上げること、極上の一粒を己の懐に入れるなど鳥の人の、ひいてはヴァイスアッシュ殿の面子を潰すに等しいニャ」
「そ、そうか……そうか?」
いやいやいや、確かに最高レアをガメられてたって事に何も思わないわけじゃないけどさぁ。でも代わりに送られてきた二つのアクセサリーが鬼性能レベルで有能だからね? この二つがなかったら乗り越えられなかった局面両手で数えきれないからね? 特に封雷の撃鉄・災な、あれマジ神、天才の所業だよマジで。
体力ギリギリのラインを反復横跳びする事で効果を発揮するスキル「死線上足踏」とのシナジーが鬼みたいに良いからな。
だが言葉に出せない、なぜなら俺は日本人だから。
なんかもう裁判を行う上で通すべき過程を三段階くらい飛ばして死刑の種類を吟味しているかのような雰囲気の中で「いや君の作った作品良かったよ!」と言うだけの度胸を捻出できないのだ。
というかヴァッシュの態度的にこれ……
と、
「オウオウオウ、"粋"な事言うじゃねぇか猫の旦那よう。そうさ、為政者って奴ァ決める処でブッ込んでくもんだ」
何やら壮絶に濃厚なキャラを内包した聴きなれぬ声が響く。
「"シャバ造"って奴ァ、ブッ壊すにしろブッ直すにしろ、まずは叩かねぇと始まらねぇ……旦那なりの"決着"の付け方……しかと見せてもらうゼ」
なんだこの、なんだこの特濃キャラクターは! ポンパドール! ポンパドールが凄い! 赤毛のポンパドール! なにその……何!? お前、お前ェ……!
ヴァッシュ、エムル、(不本意だが客観的評価的に)俺、トレーヴィル、ニャイ十三世、ダルニャータという面白キャラ空間の中において"ブッチギリ"にキャラが濃ゆいぞこの兎!!
なんだっけ? あの学生ズボンに風船でも詰めてんのかみたいな膨らみ方したバクダンみたいな名前の……梵天? そんな神々しい名前だったっけ……なんかそんなズボンにロングコートみたいな学ラン風衣装、そして剣のように肩に載せるどう見ても角材にしか見えないアレは……二十世紀後期における即席兵装として定義されるゲバルト・コイレ!?
「イーヴェルおにーちゃんですわ!」
「イーヴェル……「E」か」
なんだっけか、傭兵としてラビッツと同盟を結んだ「国」を渡り歩いてるとかなんとか。シークルゥのプー太郎な部分に悪影響を受けたんじゃーとビィラックがボヤいてたが……いやこいつの個性は割と一点モノだぞ。
その「国」ってのがどうにも引っかかるが……だがこれだけは分かっている。
なんらかの「制約」を抱えているエードワードからシークルゥまでの上三匹を除けば、単純な物理戦闘力においてこのイーヴェルこそが最強であると。
「………フッ」
今この瞬間、俺の中で何か火花が散った。
ええと? 確かエムルが言っていた「シャレ抜きで怖いからその角度で見ないで欲しいですわ」のアングルは……
「───サンラクだ、今この状況に介入させてもらおうか」
「───あァ゛?」
今この場においてラビッツという同じ陣営に属する俺とイーヴェルが殴り合う方法は二種類。
後先考えずにブン殴る? 小指だけじゃ済まなくなりそうなので論外。
であれば、イーヴェルの主張に対して反論する事。ケジメという名の崖から片足が飛び出したダルニャータを守る、それこそが何となく見ててイラっとするこいつと何となく決着を付ける冴えた方法……!!
覚悟しろゲバ棒兎、今宵のハシビロコウは猛禽と化す……!!
※なお、キャッツェリアケジメ事件からイーヴェル登場までマジで突発的に生えてきた設定の模様




