積み上げる幸福
【旅狼】
サンラク:どうも、黄金の天秤商会筆頭株主にしてノーアポで訪れてもVIP待遇でもてなされるサンラクです
オイカッツォ:えぇ……
鉛筆騎士王:お友達割引とか出来るかな?
サンラク:誠意が足りない
鉛筆騎士王:おっと過去の恨みかなー? 器がちっちゃいぞサンラク君
サンラク:対価の天秤使い放題なんだよね、俺
鉛筆騎士王:サンラク様ァ! 焼きそばパン買って来ますよ!!
オイカッツォ:チート級アイテムのためなら全力で媚びる女、ペンシルゴン
鉛筆騎士王:いやだってあれちょっと悪用するだけで王国の経済傾けることだってできるんだぜーー?
サンラク:使用法があまりに邪悪すぎる、やはり天誅せねば
京極:そうだね、イベント楽しみだね
モルド:ふとチャットが更新されてたから見に来たら何この会話……
サンラク:シャンフロの話じゃよ
オイカッツォ:三人寄れば!
鉛筆騎士王:文殊の知恵!!
京極:まぜるな危険の間違いじゃないかな?
モルド:るひぉ
サイガ-0:対価の天秤?
サンラク:なんでもいいから生贄に捧げると一時的なステータスポイントや金に換えてくれるナイスなアイテム
鉛筆騎士王:PKロンダリングも簡単にできちゃう!
京極:え、いいなぁそれ
ルスト:モルドの横隔膜が踊り狂ってる、責任を取ってほしい
サンラク:持病のしゃっくりが悪化しましたとでも言っておけばいいんじゃね
サイガ-0:そういえば、具体的に私達は何か行動したほうがいいのでしょうか
鉛筆騎士王:んー?
鉛筆騎士王:あぁ、ノワルリンドの件? それなら今はまだ特に行動を起こさなくてもいいよ
鉛筆騎士王:どちらにせよ現状、ノワルリンドとジークヴルムの決戦が今すぐ起きるってわけでもなさそうだしねぇ
鉛筆騎士王:少なくとも白竜、赤竜、緑竜の正確な座標が特定されない限りはまだ余裕を持って準備できるね
鉛筆騎士王:それに今はどっかのお馬鹿様が討伐したレイドモンスターやライブラリが暴露したクターニッドの件、ちょくちょく噂に出てくる新たな種族……ノワルリンド絶対許さない派が主導で動いたとしても一ヶ月は猶予があるんじゃない?
京極:一ヶ月か……それなら祭りの当日にはそっちに合流できるかな?
オイカッツォ:最初の船が一度そっちに戻るんでしょ? 補給含めて次に新大陸に着くのが三週間くらい後だって聞いたけど
サンラク:余裕だな
京極:んー……あ、そうだ
京極:もしもこの中の誰かが獣人族の集落に辿り着いたらさ、狐の獣人族のところに行ってほしいかな
サンラク:お?
鉛筆騎士王:これは情報秘匿の予感
オイカッツォ:誅する? 天に変わって誅しちゃう?
京極:まぁ僕だって隠しておきたい秘密の一つや二つはあるさ
京極:というかサンラク、君だけにはとやかく言われたくない
鉛筆騎士王:ほら情報を吐くんだよ!
オイカッツォ:我々は非人道的処置も辞さないぞー!
サンラク:くっ、速攻でこっちに銃口向けやがって
ルスト:【悲報】モルド、笑い過ぎで開いてない自動ドアに顔面激突
鉛筆騎士王:本人が大概面白いってズルくない?
オイカッツォ:さすが歩く笑い袋は格が違った
サンラク:表情筋ムッキムキになってそう
モルド:色々酷くない!?
……………………
…………
……
…
「なんということだ……」
厳重に封がされた強化プラスチック製デリバリーボックス。
明らかに日本語ではない文字が並ぶ中、俺の苗字とTakedaの名前が、例のブツが遂に届いてしまった事を示している。
そして、視線を横に向ければそこにはつい先先ほどロックロールで見かけ、なんとなく購入したとあるゲームのパッケージ版。
さらに横へと視線を向ければ、そこにはまたしても日本語とは違う梱包で包まれた箱。
中を確かめたところ所謂「一度使用したら二度と使えない」タイプのメモリーキューブが入っていた。
「レクイエム・フォー・アーミーズ、ギャラクシア・ヒーローズ:カオス、そして風雲プレジ伝……」
なんてこった、ゲームとゲームとゲーム……だだ被りじゃねーか。
とりあえず状況を整理だ、まずレクイエム・フォー・アーミーズは俺自身が購入したものだ。GGCで匿名出場する際にコスプレしたキャラクター、顔のない傭兵ジャックが出てくるゲームがこれだ。
コスプレまでしたんだからせめてプレイしてみようと買ったわけだが……まぁいい。
次に風雲プレジ伝。案の定ジンバブエから最速便だった、さすがは武田さん。俺も将来はかくありたいものだ……マジリスペクト。
そもそも武田さんこと武田インゲン氏は外道二人とはちょっと違うタイプのクソゲーフレンドだ。あの二人とは一緒にプレイする間柄だが、武田さんとはどちらかといえば互いに見つけたクソゲーをレビューし合うような関係だ。
まぁ向こうのクソゲー歴はフルダイブVR以前、モニターにゲームを映していたようなレトロな時代からの古強者だ。一度写真を送ってもらったことがあるが、別荘まるまる一つをクソゲーの為に建てるあたりなんというかもう格が違う。
女児用からR-18まで、ありとあらゆるクソゲーを取り揃える武田氏は俺の憧れ、目指すべき到達点だ。
俺が学業を疎かにしないのもリアル社会的強者っぽい武田氏が俺にとっての完成形であるからに他ならない。
そんな武田氏と去年くらいに盛り上がった幻のクソゲー風雲プレジ伝を後回しにすることなどあり得ない。
「とりあえずメールして……てかジンバブエの時差ってどれくらいなんだ」
お礼のメールに対する返信で知ったが、今は東欧にいるらしい。フットワークが軽すぎる……あと添付された写真に映ってた建物から何の気なしに撮影場所を逆算したら世界的に有名な企業の本社ビルだった。しかも高さ的に最上階付近。
「うん、深く考えないようにしよう!!」
やっぱ武田氏はすげーや!! 俺も将来はクソゲー御殿を建てられるような人間になりたいぜ。
そして最後にこれだよこれ。
なんか途中に某プロゲーミングチームが挟まってるけど、送り主ギャラクシアレーベルってGH:Cの開発元じゃねーか。
なんだろう……圧が凄い。やるよね? みたいな、いや単純に俺の被害妄想の割合が多いんだろうが、じわじわと外堀が埋められていくような焦りを感じる。
日本人のサガと言うべきか、ここまでもらって知らんぷりしていいのかという不安が……よし、見なかったことにしよう! 未来の俺がなんとかしてくれる、自分を信じろあいきゃんどぅーいっと。
とりあえずカッツォに自身のスレッドの最新版のURL送りつけて……っと。
「積みゲーをそのままにするのは俺のプライドに関わる」
やってやろうじゃねーか、明日普通に学校だけどやるしかないだろ完徹!!
よしチャートを組み立てるぞ、とりあえずシャンフロとGH:Cは後回しだ。
シャンフロもしばらく暇になるしここらでたまには別ゲーと洒落込んでもいいだろう。
となればキャンペーンシナリオだけで済ませられるレクイエム・フォー・アーミーズを今日中にクリアし、エナドリをキメつつ風雲プレジ伝を開始する───!
完璧だ。
………
……
…
「あ、陽務君おはようござ……ど、どうしたんですか!?」
「……いや、うん。エモーショナルな感動がね」
「は、はぁ……」
ジャック、かっこいいキャラだった……
ただ良ストーリーを表現する為にキャンペーンシナリオのくせに内容量が多いのだけは頂けないな……眠い。
経済で全てが支配された未来……傭兵はナンバーとコードで管理され、人としての尊厳など戦場の泥よりも容易く踏み躙られる。
主人公はとある企業に所属する傭兵、人の欲望渦巻くレアメタルタンカーへと派遣された主人公は世界を巻き込む陰謀に否応なく関わることになる……
名を失った傭兵、顔すら失えどなお己を叫ぶ傭兵、生贄として捧げられた企業の令嬢、人としての尊厳を失った処刑部隊……だれもが何かを失っていく。終わりなき戦いの中に、
誰でもないお前の「名」を刻め。
レクイエム・フォー・アーミーズ、それは傭兵達への鎮魂歌。
終盤、第一ステージとして登場したレアメタルタンカーが再登場して企業の戦艦に特攻を仕掛けつつジャックが最期に核と一緒に海底に沈む感じ。




