竜よ、竜よ! 其の十五
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PN:サンラク
LV:99 Extend
JOB:傭兵(二刀流使い)
1,000マーニ
HP(体力):80
MP(魔力):50
STM (スタミナ):100
STR(筋力):100
DEX(器用):100
AGI(敏捷):100
TEC(技量):80
VIT(耐久力):1(5320)
LUC(幸運):129
スキル
・縷々閃舞
・一念岩穿
・フォーミュラ・ドリフトLv.1
・瞬刻視界
・アガートラムLv.1
・トライアルトラバースLv.1
・遮那王憑き
・グラビティゼロLv.1
・フリットフロート
・月狼の誇り
・致命秘奥【ウツロウミカガミ】
・バーンアウトLv.1
・ライオットアクセルLv.1
・血戦主義
・レテ・バニッシャー
・ダーティ・ソードLv.1
・壊刀乱魔
・致命剣術【半月断ち】参式
・戦極武頼Lv.1
・剣舞【紡刃】
・パーシスタンド
・メロスティック・フット
装備
右:アラドヴァル・リビルド
左:冥王の鏡盾
頭:正眼の鳥面(VIT+20)
胴:リュカオーンの刻傷
腰:ラケダイモン・ガードル(VIT+5300)
足:リュカオーンの刻傷
アクセサリー:格納鍵インベントリア
アクセサリー:封雷の撃鉄・災
アクセサリー:瑠璃晶の星外套
アクセサリー:小鬼人形(体力リジェネ微量)
アクセサリー:骨体人形(スタミナ回復速度微増)
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VRゲームカテゴリのくせに100話くらいこのステータスでほぼ固定していた小説があるらしい
真ん中に立たなきゃいけないのに土台からズレてんの設計ミスですよね?
「えーと、とりあえず真ん中に立って……なんだっけか、そのまま動かないんだっけ?」
あっ、なんかイベントが起きそうな気配! はいここで決めポーズ!!
「………ふっ」
「ほあああ……サンラクサン、初めて見るものでも動かすことができるんですわ?」
「いや、偶然ポーズ決めたら起動しただけ」
ずこーっ、とひっくり返るエムルを他所に内向きに反り返った「爪」の先端から発せられた光線が俺へと照射される。
レーザー、と言うとあのクソッタレの尻尾頭が放つ眼光を思い出すが、流石にプレイヤー用の施設にそんな初見殺しは搭載されていなかったらしい。
「だ、大丈夫なんですわ!?」
「決めポーズなら完璧だが」
「心配するのは頭の方でしたわ!?」
ぬかしおる。
土曜日の夜を全力で楽しむポーズで四方八方より光線を浴びる姿は全方向からスナイパーに狙われているようで若干心がざわざわするのだが、傾いた円盤による俺と言う存在の精査は次の段階へと進むようだ。
『───二号計画素体を確認』
『───肉体精査開始』
「……成る程、どちらにせよここで二号計画については言及されるのか」
プレイヤーが二号、ってんなら一号は誰なんだろうな? 明確に開拓者とは別であると定義されつつも、クターニッドからは開拓者と同様に褒美を授ける対象とされる者達がいるわけだが……うん、十中八九NPC、それも人間かそれに近い存在だよな?
『───精査中………』
『───生体マナ制御器官「封臓」確認』
『───蓄積マナ粒子、規定数値超過を確認』
『───プログラム「Extend」承認、実行を開始します』
「お、お、お?」
「ま、回り始めたですわ……」
俺が、じゃないぞ。円盤の外周に設置された「爪」が、だ。どうやらこの円盤、外周と内側で別々のパーツになっているようで、外縁に設置された「爪」が段々と回転速度を上げていく。
円盤上の至る場所にシステムウィンドウのようなホログラムが展開され、何やら文字列が高速で流れていく。どうでもいいけど英語ですね、はい。
「ち、力が漲……とかは特にないな」
文字列が流れていくのを眺めているだけで特に……どうしたエムル、そんなヤバそうなものを見る目でこっちを見て。
「サンラクサン! サンラクサン!」
「なんだよ」
「いやいやいや! 燃えてるですわ!!」
「何がだよ」
「サンラクサンがですわーっ!!」
HAHAHA何をバカな……
「うわ本当に燃えてる!」
足が! 足の先が……っていうか手の先も! 嘘だろこんな初見殺しが……お、おのれディープスローター! あと京ティメット! お前らどっちも天誅だ……ってあれ、これ。
「……別にHPが減ってるわけじゃないのか」
なんだ、なら気にすることないか。
「手羽先ともみじ」
「………?」
くっ、流石にこのネタは拾ってくれないのか……外道二人辺りなら爆笑必至のネタなんだが。
『───蓄積粒子開放』
『───それに伴い素体の肉体改変開始』
『───error. 肉体に何らかの阻害因子を確認』
『─────』
『───精査完了、肉体改変に問題はなしと判断。改変作業を再開』
『───残り三十秒……』
ちょっと待て、今肉体改変つったか? 肉体改変つったか!? その前にも色々不吉な事言ってましたよね!?
「目が覚めたら虎になってました、とか無いだろうな……」
別に俺は詩人になりたいとかそんな野望はないぞ。
現れては消えるシステムウィンドウ(仮)がその発生量をどんどんと増していき、回転する「爪」から放たれる光線はダメージのない発火で炎上する俺の身体の至る場所へと照射される。
そして、鎖が砕け散るようなエフェクトと共に……ホログラムのウィンドウが全て砕け散った。
『───肉体改変完了』
『───マナ粒子適合リミッター解除』
『────』
『──』
『』
『───あなたの開拓に幸あらん事を』
………終わった、のか?
まさか施設に励まされるとは思わなかったが……今は、まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。
「くくく……」
「サ、サンラクサン?」
「ふふふ……あーっはっはっはっはっ!!!」
「サンラクサンがおかしくなっちゃったですわぁぁ!」
奴め、ディープスローターめ! 成る程成る程、これは確かにモチベーションに転換できる! くくく、こんなものを見せつけられて黙ってバックレる事なんざ出来るわけがねぇよなぁ!?
「エムル、戦線復帰の準備を整えておけ」
「え、あ、は、はいなっ?」
くくくくく……新生サンラクの性能テスト、レイドモンスターが相手なら不足はない。
断言しよう、この勝負……俺の勝ちだ。
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炎を、風を、雷を、水を、土を。
最上位職業「賢者」に到達したプレイヤーにとっては最早魔法の習得とはMPの多寡以外の障害はなく、「魔導書さえ入手すれば」如何なる魔法であれど習得ができる。
さらに使い捨て魔術媒体を含めれば実質全ての魔法を扱える、と言っても過言ではない。
それ即ち現在のディープスローターがあらゆる魔法を行使している理由であり、たった一人でトットリ・ザ・シマーネと森人族の戦線を維持して見せている理由の半分である。
(右、森人族二人援護)
(後方のトットリにヘイト)
(「傷だらけ」にヘイト誘導)
(適切な手段……)
(【予約詠唱】で事前に【外付けの求心】)
(【四元素の輝撃】)
(フォーミュラドリフトによる接近)
その技術をディープスローターは並列同時処理と名付けている。
シャングリラ・フロンティアというゲームにおいて、原則的に一プレイヤーが複数のスキルや魔法を同時に発動する事は「不可能」という結論がプレイヤー達によって出されている。
そもそも大前提として魔法はどれだけ詠唱を省略したとしても魔法名だけは唱えなければならない。そしてスキルなどの思考に反応するシステムであっても、思考と身体の行動を分ける事を意図的に行う事は難しい。
だがそれは「システム的な不可能として」立証されたわけではなく、故にこそディープスローターはその技術を確立した、確立できてしまった。
思考の分割、及び分割した思考の同時運用。
ディープスローターというプレイヤーの高すぎる「フルダイブ適正」の極致とも言える一人複数役とでも言うべき技術は、戦場で繰り広げられる光景からコンピュータの如く効率的な対処を割り出す。
そしてあらかじめ発動する事で時間差で別の魔法を発動する【予約詠唱】、要するに「システムが認識できるだけの思考力で発動をイメージすればいい」という暴論でスキルを脳裏に思い浮かべながら、口では別の魔法を唱える。
その結果こそ、「二つの魔法及びスキルの完全同時発動」という曲芸と呼ぶにしてもあまりに異質なマルチタスクである。
「【四元素の輝撃】!」
フォーミュラドリフトの効果によって貪る大赤依の股下を潜り抜けながら、周囲のヘイトを全て「傷だらけ」に押し付けつつ、その処理が完了する前に四色の光が混じった閃光で貪る大赤依の腹を穿つ。
そうして貪る大赤依の全ての頭が「傷だらけ」に注意を向けた事で辛くも死を逃れた二人の森人族の若者達の前に盾の如く立つ。
「やぁ森人族達、下手に死なれるとトットリ君が萎えちゃうかもしれないからね」
「あ、有難い……」
ディープスローターにとって、NPCなどグラフィックとシステム的数字が多少異なるだけのMobにしか過ぎない。
だからそれがどんな顔をしてどんな声を出していようが意に介することなく下ネタで返すつもりだった。
「し、しかし……あの変な鳥頭の男はどこに行ったのだ?」
「ま、まさかあいつ怖気付いて逃げたのでは……がっ!?」
一閃。
致命傷にならないだけの、しかし既に瀕死の森人族達を「九割殺す」だけの加減がされた魔力剣の一振りが二人の森人族を切り裂く。
そして「なんで」と目で訴える森人族の首をその細い手で掴むと、見た目からは想像もできないほどの膂力で締め上げる。
「んー……只の文字列風情にキレるのも大人気ないけど、サ」
笑顔、首から下の行動とは完全に切り離された不自然な程の笑み。
ともすればコラージュと言われた方がしっくり来るような笑顔を浮かべたディープスローターは静かに告げる。
「文字列風情が彼を語るなよ、君らよりも私の方がもっとずっと彼を理解している……サンラクくんは逃げたりしないさ、絶対に、ねぇ……」
「た、たすけ……」
「ひ、ぃ……ころ、しゃ……」
ニッコリと笑うディープスローターの笑顔は静止画のように変わらない。
カルマ値は蓄積するもののプレイヤーがトドメを刺しさえしなければPNが赤に染まることはない。
そして、この場でヘイト管理の八割を掌握しているディープスローターがその気になれば、この二人を合法的に抹殺することも……
「───っ」
「……ぁ」
トットリはこの場を見ておらず、他の森人族も同様。であるからこそ、締め上げられた若者二人だけがディープスローターの「変化」を見ていた。
「あはぁ……それだよサンラクくぅん……私は君のそれが見たかったんだぁ……!」
無機質な笑顔から、蕩けるような笑顔への変化。森人族の若者二人のデータストレージに「恐怖」が深く記録され……
「やっぱり、私の理解者は君だけだよサンラクくぅん」
そしてそれは戻ってきた。
ディプスロさんはサンラクガチ勢
ヒロインちゃんは陽務楽郎ガチ勢
ちなみにエクステンド処理中主人公が燃えたのは蓄積経験値がめっちゃ多いという演出、100姉さんとかならさらに燃える




