ティーアス先生にお任せ!
気づけば投稿から一年が経っていた……ここまで拙作を続けるモチベーションを維持できたのも皆様のおかげです。
本当にありがとうございます、これはもう1日1万回感謝の更新しか……しかし頭も手も足りない
あーあ、或る日突然メタグロスに進化できねーかなぁ!!
それはともかくこれからも拙作をよろしくお願い致します!!
「幼女先生、折り入って相談が……」
「……女の子のほうがいい」
聖杯フラーッシュ!
「幼女先生、折り入って相談があるのですが」
「んっ」
まぁ座れや、とでも言わんばかりに隣の席を顎で示した先生のお言葉に従いカウンターに座る。あ、俺……じゃない俺にもアップルパフェひとつくださーい。
「……なに?」
「あぁそうだ。先生、まだ行ったことのない街で発生した依頼をどうにかして受けることは出来ないでしょうか」
「……できるよ?」
「えっマジ?」
「ん、受けることはできる」
あっ、現地には走って向かえと。そっかぁ……うーむ、そう都合よくは行かないか。
パフェの山をスプーンでグリグリと掘り抜いている俺に何かを察したのか、幼女先生はフンスと先輩風を強めながら俺へと助言を与えてくれた。
「……街から街へは、基本的にまっすぐいくけれど、横道を通っていくこともできる、よ?」
「あー、そういえばそんなのもあったっけ……」
基本的に多少の分岐こそあれど真っ直ぐ進むシャンフロのエリア事情ではあるが、地図には表示されない横道があるのだという。
そこにはエリアボスではないものの、素通りをそう簡単に許さない程度には強力なモンスターが配置されているらしい。そうか、そういえばそんなのもあったっけ……つーか水晶巣崖の横道とか通過不可能でしょ、雑魚敵がクソエンカの蠍だぞ。飛べとでも?
「……どこに行きたいの?」
「あー、実は武器を強化するのにちょいとばかし支配軍蜂を狩る必要がありまして」
そう、今の俺は強化期間中なのだ。壊毒という強そうに見えて実際は剣そのものの耐久値が低いせいでろくすっぽ役に立たねぇ、あーでも最近はサイガ-100にトドメを刺すという大役を成し遂げた帝蜂双剣君の強化計画を立てているのだ。
いや、大躍進を遂げた傑剣への憧刃君が便利すぎるってのもあるが。掠っただけでも死ぬ……それこそリュカオーンのような相手に完全回避特化にすれば役割もあるんだろうけど……それならそれで甦機装や兎月でいいじゃん? となってしまうのだ。
ちびちびと強化したりしているのだが、やはりここは思い切って大改造を施そう、という訳だ。
「……マスター、地図」
「畏まりました、少々お待ちを」
カフェ「彷徨う剣」でバーテンダー兼マスターをしているダンディなおじ様は仇討人達の隠れ蓑として殆どの街に存在するカフェ「蛇の林檎」で店主をしている同じ顔をした男達の父親であるらしい。
慇懃さの感じさせない優美な一礼で店の奥に引っ込んだマスターは暫くするとこの大陸の全容を書き込んでいるのだろう巨大な羊皮紙の束を持ってきた。
ばらり、と開かれた大陸地図を広げた先生は小さな指でトントンと羊皮紙を叩きつつ、地図の上を進んでいた指をある一点で止めた。
「ドミネイオン・ホーネットが生息してるのはこの気宇蒼大の……」
「ティーアス様、失礼ながらその条件であればこちらの場所かと……」
数秒ほど沈黙。すすす、と先生の指が「気宇蒼大の天聖地」の一つ前のエリア、「雲上流編の雲海地」に移動する。
「……ここ」
「アッハイ……やっぱりサードレマから鐵遺跡経由で行くのがベターなのか……」
「なんで?」
「はい?」
なんで、ってそりゃ距離的にそれが一番手っ取り早いから、以外にどんな理由が……
「ここから」
そう言って先生は奥古来魂の渓谷を指差し、そのまま地図の上に指を走らせて……
「ここまで」
そして雲上流編の雲海地を指差すと至極あっさりとその言葉を口にする。
「走りぬけたほうが早い」
「えぇ……」
いや、確かにどのエリアも縦長なマップをしているし、神代の鐵遺跡の複雑さを加味すればタイム的には早いかもしれないけど……あーそっかTASだもんな1%でも可能性があればそれは実現可能な手段ですものね。
「……横道には大抵そこを根城や住処にするモンスターがいる、でもそれは番人のように道をふさぐモンスターたちほど人間を敵視してない」
「要するに……うまいことすり抜けて突っ走れ、と」
「そうむずかしいことじゃない」
いやまぁ確かに事前情報があれば……え? 水晶群蠍の長老個体が物理的に立ち塞がる? あの陸上空母みたいなやつじゃねーか却下です先生。
人間はどう足掻いてもRTAが限界なのだから……あ、そう言えば俺がここに来るそもそもの発端になったルティアはどこに行ったんだ?
「……このほうが一番速いのに……ルティアはバカンス」
「バカンス?」
「そう、何日かふねの旅」
へぇー、中々に優雅な事してるなあの人……タイミング的に俺と戦った直後に準備しなきゃ間に合わなそうな感じがするが。というか何日も船旅……んんー?
「……いや、考えないでおこう」
場合により、この情報は爆弾になりかねない危険性を内包している。いやそもそも仇討人のジョブチェンジ条件自体爆弾なんだけども、頭領の話を噛み砕いて考察した限り、一定以下のカルマ値を保持した状態で賞金狩人相手に実力を見せるとかそんな感じだろう。
だがこの条件、下手に明かすと着せ替え隊の活動に響きかねないんだよなぁ……サバイバアルが知り合いだった以上、俺の行動が引き金で奴の楽しみ方を歪めたくはない。
「そうだ先生、可愛い服を見つけたんですが私服にどっすか?」
イェーイ、はいチーズ。ふふふ、今この瞬間俺の女子力は際限なく高まっていると言っていいだろう……!
鮭頭だけど。
なんだかとても懐かしさを感じる神代の鐵遺跡。今となってはあのザリガニ野郎も鰻も等しく逃走するだろうからあのレベリングスポットにもう用はない。つまり最短を最速で行けばいいという事だ、シンプルで大変よろしい。
「ただなぁ……」
単純に木が生えまくってる樹海エリアや、ぶっちゃけほぼ一本道な死火山エリアと違ってこのエリアは元が人工物ということもあってかどちらかといえば迷路やダンジョンに近いマップだ。
まぁ要するに真っ直ぐ直線に進む、というのは無理なわけで。しかも所々が崩落してたり例の浮遊板があったり……しゃーない、変に横着せず真っ直ぐ進むか。
「神代製のモンスターだと「呪い」系の雑魚避けが効かないの地味にウザいな……ええい鬱陶しい」
俺の事を恐れる素振りすら見せないドローンを傑剣への憧刃で粉砕しつつ、曲がり角を曲がって……こっち行き止まりだったか、逆方向に進む。
「よっ、ほっ」
おや、天然の吹き抜けと化した亀裂の下の方にプレイヤーの集団。まぁこのエリア、ただ次の街に進むだけなら最上層を真っ直ぐ進むだけでいいんだが下の階層の方がアイテムや素材的にうま味が多いらしいし。お陰で俺は楽々ソロで攻略できてるわけだが……あ、タンクが足を踏み外した。御愁傷様です。
おっと空中足場にいる時に襲って来るんじゃねーよハイキックで撃墜!
「やっぱレベル帯が低いからあんまりワクワクしない……」
俺の場合ヴォーパル魂パラメータに響いて来るから割と切実な問題なんだよなぁ、まぁ素材稼ぎ兼鉱石稼ぎ兼ヴォーパル魂稼ぎを同時進行できる神スポット行けばいいんだけど、流石に何度も通い詰めるのもそれはそれで面倒くさい。
やはりタイムアタック風味で速度を競った方がモチベーション上がりそうだな。それとも危険な横突っ切りルート……いや、水晶巣崖は死を前提として突撃するなら慣れたもんだが生還を条件にすると難易度爆上がりするからやっぱり無理だな。
初々しいとあるパーティのタンク「シャンフロすごいなぁ、グラフィックすごいなぁ……ん?」
上からこちらを覗き込む謎の鮭頭「……………」
初々しいとあるパーティのタンク「ひぇっ(SANc失敗)」
上からこちらを覗き込む神話生物「御愁傷様です」
ちなみに水晶巣崖の横道にいる例の蠍は基本的に動かないので踏んづけても素通りできるにはできますがそれはそれとして蠍が大量に沸きますし、蠍の幼体を攻撃した瞬間に起動するのでどちらにせよ難易度が高すぎる地獄絵図です
なお幼女先生は普通に行き来してる模様、如何にクソMobとてシステムの暴力には勝てないのです
・支配軍蜂
水晶群蠍と似た響きのモンスターだが別にそこまで強くはない。群で他モンスターを襲って捕獲、半殺しと餌付けを繰り返して自身のコミュニティーに取り込んでしまうというなかなかに恐ろしい生態を持っている天然物のテイマー……だが、深海にはもっと恐ろしい鮟鱇がいるのでやっぱりそこまで恐ろしくもない。




