剣狼相対すは雷火の獣 其の十二
若干修正
厨二文章の即興構築、既存の魔法名を読みが同じ別単語に置換、偽装魔法の詠唱にそれを混ぜることで不意打ちの一撃とする。
スペクリ……今はもうない「禁呪」じゃ割と重要なテクニックだった。頭の中で「雑談中に不意打ちで魔法ぶっ放す感じ」を心がけていれば割と簡単だしな。
「なるほどなぁ! 確かにこいつは便利だなぁオイ!」
これ対人じゃ必須クラスじゃ……いや、魔法対策されまくったら逆にこっちが隙を晒すのか。だがまぁバグと鋏は使いよう、とも言うし活用できればご覧の成果というものだ。
「悪いな! 俺自身は魔法習得数ゼロの完全物理なもんでなぁあ!!」
サイガ-100の硬直が解けるよりも先に、致命的な距離までの肉薄を達成する。
ここで抜刀……は選ばない。サイガ-100のジョブが「勇者」である以上、あの聖剣の食いしばり効果が実際どの程度の確率なのかが不明だ。
これが「稀に」レベルだったら遠慮なく大技を使うが、「稀に(実質五割)」だったりする場合もなきにしもあらずであるため、やるならば徹底的に削り殺す。
「まずは先駆け二連撃ィ!」
壊刀乱魔、戦極武頼、剣舞【紡刃】起動。武器の火力を上げた上で一本の剣として【蒼耀月】を下から上へと振り上げる。
この瞬間、ダーティ・ソードの効果により怯み状態のサイガ-100に対して倍率を増した一撃が叩き込まれ……
「おおおおりゃあっ!!」
「くぅぅっ!」
致命剣術【半月断ち】、文字通り返す刀で傷口をなぞる半月の斬撃。
聖剣が輝き、サイガ-100の身体が黄金のエフェクトに包まれ……食いしばりが発動したか、さぁここからは正真正銘のチキンレースだ。つまづくだけで死にかねない極限状況を楽しもうじゃないか!
「乱数に祈りな!」
「まだだ!!」
フォーミュラドリフト起動、ドリフトというよりやはりスリップなのではと言いたくなる大きな円を描いてサイガ-100の背後へと回り込む。
オーバーフロー状態の機動に追いつけないのか、俺の通った後の地面を従剣が貫いていく。
「そこだっ!!」
「おっ、ととと……まだまだ俺のターンだぜ!」
俺が回り込もうとした地点を読んで放たれる斬撃を回避、だがこの距離を、逃せば二度と手元に手繰ることのできない勝機を掴む手を緩めるつもりはない。
「【迸る電律】!」
「くっ……カラクリはそのマントか!」
「ご明察ぅ!」
スキルを回す、命を削って得た恩恵を湯水の如く使い切りながらなお走る。
元より封雷の撃鉄・災のデメリットで体力なんて無いに等しいのだ、回復したところで速攻半減し続けるのだから「愚者」とのシンクロ率はさらに高まったと言っていいだろう。誰が愚者だこの野郎。
当たったなら儲けもの、当たらなくても向こうの対処を引き出せた。
「一撃! 二撃! 三撃!」
一撃目は避けられた、二撃目は従剣が盾になった、三撃目は炎雷と共にサイガ-100の右肩を穿ち……されど黄金のエフェクトが勇者を死なせはしないとでも言いたげに光り輝く。先ほどとは異なるエフェクトであることが若干気になったが疑念は過去に置いていく。
「しつけぇ……!」
「不屈は……勇者の、特権だろう……っ!?」
もはや技量もへったくれもないただ俺を己から引き離す為だけの従剣乱舞。だが俺は立ち位置を変え、時にサイガ-100自身を盾とすることで距離を離さない。
「チッ……」
命中、聖剣が光る。命中、聖剣が光る。命中、やっぱり聖剣が光る。
だぁぁぁあ! どんだけ発動してんだクソ乱数にも程があるだろ! いやこれ向こうが運がいいのか? それとも俺の乱数運がゴミなのか?
「うるせぇっ! 死ぬまで殴れば死ぬんだよ!」
己を叱咤し、最早いつ途切れてもおかしくはない集中力をかき集める。ガス欠したって突っ走れ、燃えろカフェイン業火の如く!
カチリ、と俺の頭の中でいくつもの時計の針が同じ数字を指す。遠く離れた崖の果てに蜘蛛の糸のように細い足場がつながった確信。
「ここだっ!!!」
サイガ-100はそれを見た。
明らかに接触によって何らかのデメリットを生じさせるであろう火と雷の魔人、その身が地面に突き立てた濃紺に黄金の芯を持つ大剣を足場に宙に飛翔した様を。
最早それに対しての感情を発露する時間すらもが惜しい。サイガ-100の脳内では泡沫の如く生じる思考が消えゆく前に、電脳なれど明確な五感が感じ取ったものを組み立てていく。
(武器、捨て……上、座標有利、従剣、間に合わない……)
導き出した結論。
従剣を呼び戻し陣を組むにはあまりに遅い。であれば自ら六本の従剣を消し、聖剣ただ一本のみに己の全てを賭ける。
例え上から攻撃を仕掛けられようと、この一撃だけは決して外さないという不退転と決死の複合。
「【従剣劇・独奏!!」
それは剣聖のジョブを獲得すると同時に会得する奥義。使用期間が長い程に威力を上げるその名に違わぬ研鑽の末に到りし飛翔する一刀。
下から上へ、鋒が描く斬撃の軌跡をなぞって直上に燃える炎雷を穿つ。
「至高の一閃】!!」
黄金の斬撃は昇竜の如く、剣聖の意思に応えるは言葉ではなくただ一振り。
理論立てた軌道ではなく、直感に拠る黄金の斬撃はサンラクへと命中し……
すり抜けた。
「なっ……」
「湖面の月に目が眩んだってか?」
トン、と着地の音。
極限の一瞬であったが故に、宙を舞うサンラクが微動だにしない違和感に気づけない。
致命秘奥【ウツロウミカガミ】、対エネミーとしてのヘイトデコイの役割は果たせずとも、敵の目を欺く囮であればご覧の通り。
遮那王憑きによる跳躍の加速、フリットフロートによる上から下へ天地逆転の跳躍……そして「愚者」であるが故のリキャスト短縮で再使用を可能としたフォーミュラドリフトによる「蒼耀月」への帰還。
「大詰めだ」
従剣は無く、剣は上を目指して前に及ばず。
蒼耀に包まれた月、聖剣の輝きとはまた異なる月光の黄金の輝きが疾風を伴い閃光を放つ。
「致命の月蝕」と晴天流奥義一の太刀「疾風」、無尽の蛇をも斬った渾身の抜刀がサイガ-100を斬り裂き、その脇を通り抜けて二人が交差する。
だが、それでも聖剣は耐え切った。
実に五度の食いしばり、本当に偶然の……まさしく奇跡と言うべき発動。
それはサイガ-100が幸運なのか、それともサンラクが不運なのかはシステムのみが知る。
「疾風」は渾身の一刀、故にこそ放てば暫くは動けない。であれば勇者はその身の軌跡に感謝し勝利を得ることができるのか? いいや、それは出来ない。
「……………あ」
本来は勝利を得たはずの一撃。HPを削りきれずとも、サイガ-100自身に刻まれた「敗北の確信」が剣聖とて張り詰め続けていた緊張、集中の糸を断ち切っていた。
「……天気予報だ」
剣を振り抜いた姿勢のまま動けぬサンラクがぽつりと呟く。
「晴れのち武器雨、注意しな」
クソゲーハンターは乱数に期待はすれど信頼はしない。1%でも可能性があるならば、何度だって挑戦する。故にこそ仕込んだ最後の追撃。
「蒼耀月」を手放した一瞬、システムが手放した武器をオブジェクトとして処理した事で一時的に無装備状態となる性質を利用した武装の追加展開。
ウツロウミカガミは二重の囮。本命は疾風、そして後詰に武器の雨。
観客席から見ていた者達はそれを見ていた。跳躍の瞬間、展開した武器を真上に投げるサンラクの姿を。そして物理エンジンに従い真下へと落ちる武器を。
「これ、は………!?」
「いい加減死んでくれよな勇者様」
サイガ-100の目の前を通って地面に突き立った傑剣への憧刃、見当違いの場所に落ちた煌蠍の籠手、そして剣聖であり勇者たるその身の肩に蜂の双剣が突き刺さり……
六度目の奇跡は起きなかった。
帝蜂双剣「よっしゃトドメ刺したぁぁぁあ!!」
Q.要するに何したんだこの可燃性&帯電性はぐれメタル
A.要約すると
・地面に突き刺した「蒼耀月」を足場に遮那王憑きの補正付きで跳躍
・体を捻って体勢を変えながら武器を展開して真上に投擲
・サイガ-100の真上に来た時点でウツロウミカガミ起動、自身が上にいると思わせる兼さらに上に投げた武器の隠蔽
・頭が下を向くよう体勢を変えた状態でフリットフロート、上下反転状態で跳躍して宙返りしながら着地
・着地と同時にフォーミュラドリフトでその場を離脱、完全にサイガ-100の視界から外れながら「蒼耀月」を刺した場所に戻って抜刀体勢
・サイガ-100が大技を使った直後の硬直を狙って「致命の月蝕」&「疾風」コンボ
・倒しきれなかったので上に投げた武器が雨のように降り注いでチェックメイト
ちなみに聖剣の食いしばり発動率は25%くらい、四分の一の確率で発動するきあいのハチマキと考えるとぶっ壊れ具合がわかると思います。まぁゴミが食いしばったところでリュカオーンからすれば大差無いのがモモちゃんの悲しみ
ちなみにリュカオーン(影)を倒す理想編成を作るとしたらSF-Zooのタンク組に協力要請すれば割とイケます、単体としてのタンク最強はジョゼットですが複数人で役割分担して前衛を支え続けるという意味ではSF-Zooのタンク達は最高クラスです
シャンフロでは中途半端に極振りしてもただのゴミですが突き詰めた上でちゃんと考えて極振りすればエセ魔法少女の家内とかSF-Zooタンク組のようにある程度の役割を持つことができます、要するにレベル1から70くらいまでの産廃期間を耐え切った猛者だけがレベル71からの極振りライフを楽しめるのです




