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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 作者:硬梨菜

竜災未だ止まず、狼は吠える

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わるいおおかみ、きれるうさぎ、へんたいねこ

若干修正、素で主人公がエンチャント弾くことを失念していたので
エンチャント:古雷・災から特殊状態:古雷・災に変更

具体的に何が違うかというとエンチャントはステータスの改変で特殊状態は肉体の状態です
「くぁぁ……ふぅ」

欠伸交じりの通学路、夏休みは終わったが、まだ夏は終わってねぇと言わんばかりの入道雲が青空にでん、と鎮座している。

結局、なんだかんだで夜更かししてしまった。まさか早朝から「最近ネフホロにログインしていないのでは?(要約)」とルストからチャットが飛んでくるとは思わなかった。
ガチ廃人クランのノルマか何かかよ、と思いもしたが結局三戦二勝一敗で勝ち越して来た。

「今日なんだっけ……国語? 寝ないよう気をつけないと……」

世界史なら何とかなるが国語はまずい、国語教師の堀川は授業中にポロっと呟いた言葉をそのまんまテストに出すことがあるから油断してはいけないのだ。古文のテストで世界史の問題を出すのは奴くらいのものだ。

「お、おひゃようございますっ!」

「うぉお!?」

なんだなんだ!?

「き、奇遇です、ね?」

「ああ斎賀さん、おはよう」

ビビった……いきなり後ろから声をかけられたものだから思いっきり肩がびくりと震えてしまった。
振り返れば斎賀さんが若干顔を赤くして立っており、どうやら律儀なこにちらと見かけた俺へ声をかけたようだ。

「よ、よければ、その……学校まで、お話ししません、か!?」

「え? いいけど……」

何故だろう、切り出された内容自体は普通なのに、何故か手袋か果たし状を叩きつけられた気分だ。
とは言え何を話すべきか……流石に何度も何度もシャンフロの話をするってのもアレだしなぁ。よし、ここは学生らしく学業的な話題で尺を稼ぐとするか。

「そう言えば斎賀さんって文系? 理系?」

「ええと、一応文系を選んで……ます」

「俺もだ、どうも数学が苦手でさ」

出来ないわけじゃないが、飛び抜けて出来るわけでもなく、いい点取って高評価を得るなら文系科目の方が気持ちやりやすい。

「そ、そうですね! 私も、その……出来なくはないのですが、得意科目的に文系というか………」

おお、今俺すごく高校生っぽくないか? 勉学について語り合ってる、すごく学生っぽいぞ!









「なぁ陽務」

「んぁ?」

極めて学生的なトークで場を繋いで斎賀さんと登校した俺はであったが、やはりというか斎賀さんという高嶺の花(自衛機能有り)と一緒に学校に来ていたという光景は一般的に話題たりうるものであったようだ。

「お前斎賀さんと一緒に登校してたってマジか?」

「ん? 一緒にって言うほど上等なもんでもねーよ、偶然通学路で遭遇して雑談したくらいだ」

陽キャと陰キャの中間、ちょっと陽キャ寄りな友人がゴシップ誌を購読する主婦のような眼光で俺へと詰め寄ってくる。
そいつの言い放った言葉に、クラスの何割かの意識がこちらに向いた気がするが……気のせいかな、リアルで気配読むスキルとか持ってないし。

「お前それ、テストで100点取るより難しいことだって分かってんのか……? てかいっつも外車で送り迎えされてる斎賀さんとどうしてお前が歩いて登校してんだよ」

「俺が知るわけねーだろ、女心を理解するよりアイテムテーブルの乱数要素を読み切る方がまだ分かりやすいっての」

「……お前それ女の子の前で絶対言うなよ?」

恐らく俺の顔には心の底から「俺がそんなこと知るわけないだろうが」という表情が浮かび上がっているのだろう。
その後もやれ電話番号は交換したのかだの夏休みに何かあったかだの根掘り葉掘り聞かれたが、強いて言うならコンビニでエンカウントしたくらいしか心当たりがないのだから痛む腹もない。

そんなに気になるのなら俺じゃなくて斎賀さんの方に聞きに行けと言ってやったのだが、去年こっそり空けたピアス穴に雑菌が入って愉快な福耳になった友人殿曰く「高嶺の花とそこらへんに生えてる毒持ちの雑草じゃ話しかける難易度が違いすぎる」とのことだ。

「誰が有毒の雑草だ雑菌福耳マンめ」

「あーっ、やめろっ! ピアス穴を引っ張るのはやめろっ!」

雑草なのは認めるが、せめてタンポポのように意地でも抜かれぬと言わんばかりのガッツを持つ男になりたいと思う今日この頃。










【裏旅狼の溜まり場】

鉛筆騎士王:オッス旅狼の構成員諸君! みんなのゴッドマーザーペンシルゴン様のありがたいお話だよ!

サンラク:なお明らかに闇討ち前提なメンバーのみの秘密チャットの模様

京極:で、いつ襲撃するの?

オイカッツォ:知らないうちに追加されてた知らない人がクッソ武闘派な件について

サンラク:この中に一人未だにフィフティシアに到達できてない奴がいるってマジ?

オイカッツォ:うっせ、ジョブとかの兼ね合いもあって別ルート選んだだけだし。あとリアルが死ぬほどゴタついてる

鉛筆騎士王:ルストちゃん達はそもそもシャンフロにそこまで興味なさそうだし秋ちゃんは色々光明面(ライトサイド)だからねぇ……

鉛筆騎士王:とりあえずそこの京極ちゃんは阿修羅会時代の知り合いでね、刀一本でなんとかなると信じてる時代錯誤の剣客だよ

京極:ひどいなぁ、否定はしないけど

サンラク:滲み出る外道臭

鉛筆騎士王:まぁ、とりあえず情報屋使って「黒狼」の内情を探らせたんだけどさ、大荒れも大荒れらしくてねぇ

鉛筆騎士王:渦中の人物であるサイガ-0がログインしないから矛先がこっちに向いてるんだよね

京極:ゾクゾクするね

鉛筆騎士王:そんなわけで光明面組にも事態改善まで一先ず潜伏するよう言ってあるんだけど、具体的にどうしましょってワケでして

オイカッツォ:実際黒狼側はこっちに何を要求するつもりなのさ?

鉛筆騎士王:サイガ-0が現れない以上は最低でもリュカオーンとクターニッドの情報は要求してくるだろうし、下手すればウェザエモン関連も難癖付けてきそうだねぇ

サンラク:別に赤の他人の文句に付き合う義理はねーだろ

鉛筆騎士王:あそこも大概末期状態だからねぇ、普通にいい奴もいるけどそれと同じくらい選民的なプレイヤーもいるし

鉛筆騎士王:普段はモ……クランリーダーがそこらへんを纏めてたけど、今回はそのクランリーダーが頭に血が上ってるのがマズイね

鉛筆騎士王:とりあえずライブラリあたりを巻き込んで落とし所を探るつもりではあるけど、場合により実力行使もやむなし、が私の見立て

京極:イイね、刃傷沙汰になったら任せてよ

鉛筆騎士王:ただ、ここで私の素晴らしい計略に待ったをかけた奴がいるんですよ

サンラク:まぁ俺だね

サンラク:ぶっちゃけると、クターニッドの真理書を不特定多数に開示したくない

オイカッツォ:その心は

サンラク:ネタバレされたギミックボスはただの苦行

オイカッツォ:ん? それって……

サンラク:あと単純に情報が持つパワーがやばい

サンラク:ぶっちゃけるとだな

サンラク:深淵のクターニッドは複数回挑戦できる




そう、リュカオーンを倒したことよりもクターニッドを倒したことよりも、何よりもこれがヤバい。

再挑戦可能なユニークモンスター、この情報は新たにユニークモンスターを倒すよりもヤバい情報だ。MMOというゲームでは平等という概念は原則的にあり得ない。
クターニッドを独占する事で得られる利益は計り知れない、下手に組織力のあるクランにこの情報が漏れれば高確率でクターニッドの独占が発生するだろう。

そして今の「黒狼」なら多分それをやる。ペンシルゴンの言うことが事実なら今の「黒狼」は暴走している、二度……いや、三度も出し抜かれた廃人共、それもイキったプレイヤーが主導権を握っているだろう廃人クランであるなら。

まぁそれを抜きにしても攻略情報を頼りに苦戦することなくクターニッドをクリアされるのがムカつく、というのが最大の理由なのだが。
そんなこんなでルスト達にも真理書は誰にも開示しないよう言ってある。

「それを踏まえてどう落とし所をつけるか……まぁ、面倒事は魔王に任せるに限る」

どうせ俺ができることなんて鉄砲玉か(てい)のいいデコイだ。頭脳労働はそれが好きな奴にやらせればいいのさ。

「さて、俺は俺で好きにさせてもらうとしますか……!」

ユニークシナリオEX、秋津茜という後続が現れたものの現状俺ただ一人が持つアドバンテージ。
いい加減お使いを達成しないと親分に怒られちまう。














「ビィラック、出来てるかー?」

「ふんっ!」

「ほああ乙女よ! 背骨は不味い背骨は不味い!」

漫才コンビ、再結成。
今度は何をしたのか、うつ伏せに倒れた喧しい長靴をはいた猫ことアラミースが上からビィラックに踏まれた上で背中にハンマーを振り下ろさんとしている二秒前にバッタリ遭遇してしまった。

「おおっ! 鳥ならざれど鳥なる気配のサンラク! このアラミースが約束の品を持ってきたのだがね!」

「約束……あぁ、アクセサリーか」

あ、そういえばアクセサリー関連でやるべき事も頭からすっぽ抜けていたな。まーたやることが増えてしまった……

「ビィラック、何されたかは知らんけど勘弁してやってくれ」

むっすー、と明らかに不機嫌そうなビィラックは渋々と言った様子でアラミースを踏んづけていた足を離す。何故か踏まれていたアラミースの方が名残惜しげな表情をしていたが、俺もエムルも色々あってスルースキルが鍛えられているので無視。

起き上がり、パシパシと身体についた煤を払ったアラミースは俺の前に美しい装飾の施された箱を置いた。

致命兎(ヴォーパルバニー)への友誼と、リュカオーンに認められし勇気に敬意を評し、キャッツェリア最高の宝石匠(ジュエラー)ダルニャータによる「瑠璃天(ラピステラ)の星外套」、そして「封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)」をここに」

「あー、えーと……そうだな、ケット・シー達の王国……そう、キャッツェリアに感謝を。もし何か困ったことがあればヴァッシュの兄貴だけじゃなく、俺にも是非頼ってほしい」

突発的ロールプレイだったが、どうだ? 少なくともアラミースのリアクション的に及第点は確保したか。
キャッツェリアとの繋がりは持って損はないだろうし、ここはこちらからも礼を忘れぬロールプレイが最適だ。ええい、妙なところでギャルゲーなせいで下手に気を抜けないな。

遠慮なくおちょくれるエムルやアラバは貴重な要員なんだなぁ、と再確認したよ。

さて、至急ラビッツのアクセサリー屋に行く必要性が出てきたが、まずは最高クラスのアクセサリーの性能とやらを確認させてもらおうか。





瑠璃天(ラピステラ)星外套(せいがいとう)
「宝石織」の技術によって生み出された夜空を内包する肩甲付きの純白の外套。
純白の外側に対して夜空のごとき漆黒と星の輝きを持つ内側は魔力をストック、コンバートする機能を持っている。
あらかじめこのアクセサリーを対象に「魔法」を使用することで一つまで魔法を設定(セット)することが可能であり、使用者の任意で発動可能。その際外套にチャージされた魔力を使用することで使用者のMPを消費しなくてもよい。
星外套がチャージ可能な魔力量は素材として使用した「ラピステリア星晶体」の等級で決定され、一等級の場合は300までチャージ可能。
空の輝きは誰にも縛られず、しかしてそれを眺める権利は万象に等しく与えられる。



封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)
右手を覆う琥珀の装飾を持つ手袋。右親指の琥珀部分を自身の左胸にぶつけることで琥珀に封じられた効果が発動する。さらに装備者に一定時間「特殊状態:古雷(レビン)(ハザード)」を付与する。
「密封の琥珀」シリーズは琥珀の中に封じ込められた属性の他に封じ込められた物の危険度でクラス分けがされる。クラスは「(クルード)」「(デンシティ)」「(ピュア)」「(ハザード)」「(スペリオル)」の五つに分けられ、その中でも「(ハザード)」級は最上級である「(スペリオル)」をも上回る力を発揮する代わりに使用者にもその牙を剥く。
琥珀の撃鉄(ハンマー)引き金(トリガー)は使い手の意思。

※特殊状態「古雷」……対象は漆黒の雷を纏う。追加効果として「追加ダメージ」「攻撃対象の状態異常抵抗の低下」「蝕電効果」を付与する。
※追加効果「(ハザード)」……効果発動中、自身に「過剰伝達(オーバーフロー)」効果を付与する。「過剰伝達」状態時はプレイヤーのモーション感度が数倍に引き上げられ、全モーションに補正が入る。さらに十秒ごとに判定時の体力総量の50%のダメージを受ける。






あっこれヤバい奴だ。
別に封雷の撃鉄:災を使い続けることで自我が消失し目に映るものすべてを破壊したりはしないです。
毎日「ハザードオン!」を目覚ましにするくらいドツボにハマってますが別に関係はないです………ホントダヨ。
ちなみに星外套も撃鉄もユニークアクセサリーではありません、素材と「宝石匠」が揃っていれば量産可能です。

宝石匠(ジュエラー)
そもアクセサリーとは力を持つマジックアイテムと同義であり、すなわちアクセサリーを作成可能な者とは鍛冶師であり魔術師でもあるということである。そして宝石匠とはその中でも宝石の加工に特に秀でた者のみが名乗ることを許された「匠」の名を持つ職業である。
「宝石織」とは宝石匠の極致とも言える技術であり、宝石の持つ力をそのままに鉱石としての性質を糸へ、布へ、衣へと変じて織ることができる。

「宝石匠」ジョブのプレイヤーもしくはNPCへの師事、一定数値以上のDEX、魔術師関連の職業、アクセサリー作成数、その他もろもろの条件を満たすことで「宝石匠」ジョブを獲得することができるが現状プレイヤーに「宝石匠」を獲得した者はいない。
何故かって? 宝石匠になるための最後の関門「一定以上のレアリティを持つ宝石を用いてアクセサリーを作成する」ために必要な宝石の産地にクソ強袋叩き蠍軍団がいるからさ!! なので安全な(・・・)採掘エリアの発見が新大陸に期待されていたりいなかったり
+注意+
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