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異世界の神子は、逆ハーを望まない  作者: 一花八華
第一部
7/32

セシル視点【嫌いだから】

【セシル視点です。飛ばして読んでいただいても話は繋がります。】







 僕は、人間が嫌いだ。特に女は。五月蝿くて、煩わしくて。笑っていても、腹の底で何を考えてるのかわからない。関わりたくない。目にも入れたくない。そんな存在だ。



 だから、神子の護衛になった時、すごく嫌だった。

なんで僕が、こんな女の護衛なんかしなきゃいけないんだって。


  魔力の潤沢を意味する黒髪黒目。 魔力が涌き出てるというだけで 自分じゃ何もできない。魔力が溢れでる程あるのに、使い道を知らないそんな無能な女の護衛。


 何も知らない神子。異世界の女。異世界からきたというだけで、僕の欲しいモノを持つ人間。


 僕は、日に日に枯渇していく魔力に焦燥し、怯えているというのに……


 ──悔しい。


 守ってもらうのが 当たり前。っとか思ってるんだろ? ヴォルフの奴にちやほやされて、勘違いでもすればいい。軽薄な男に持て囃され、神子だのなんだの崇められる。そういうの好きなんだろ?女って


 あいつに遊ばれて、傷付いて、泣いてる顔を嘲るのも愉しそうだ。なんだったら、慰めてやってもいい。心では、笑ってやるけどね。


 馬鹿な奴だって、笑ってやるんだ。僕はその為に此処にいる。






 ──そう思ってたのに。


挿絵(By みてみん)






 どんな酷い言葉を投げつけても、変わらずに接してくる。

 傷ついたりしないんだろか?

 傷つくのが怖くないんだろか?


 神子だからって、心根が聖女ってわけじゃないだろ?なんでも許せるのか?それともただの馬鹿なのか?


 ─って思ったら、ヴォルフに酷い言葉を投げつけてて笑った。僕にも思うまま言い返してくるし。もっとお淑やかに猫でも被ればいいのに。顔悪くないのに……馬鹿だな。


 裏表のない奴。そこは、隠すべきなんじゃないの?女としてちやほやされたくないの?ー変な奴。ってそう思った。そう思ったら、いつの間にか目が離せなくなってた。



 湖では、ブーツを脱いで 足を晒してた。


 いやいや!それ ヴォルフいたら 襲われるぞ!?普段あんなに 警戒してるくせに、どうしてそういう所が無防備なわけ!?馬鹿なの?


 慌ててそう指摘したら、ありがとうって。言われた。笑顔で。


 なんだよ。ほんと、こいつ 知らない事多すぎじゃない?そう思って呆れた。僕が見てやらなきゃなって……でも……違う。知らないんじゃなくて、知る事ができなかったんだ。って気付いた。その意味に気付いて苦い痛みが胸を走った。


 コイツは……強制的に召喚されて、わけのわからないまま旅にだされて……何も教えられないまま……神子をやらされてる。


 それなのに、「がんばらなきゃね!」って笑う神子。


 あんた ほんとに馬鹿だろ。


 足だって、それ 周りに気を遣って 隠してたんだよね。


 ーほんと馬鹿。


 そんなに酷い状態で、まともに歩けるわけないじゃん。逆に迷惑。迷惑だよ。痛み抱えて、我慢して、周り気遣って笑ってるだなんて知ったら……ほっとけるわけないじゃん。


  節約してたけど……魔法……使うなら

 今だよね。


 こいつの足、こんな状態のままにしてられないし。別にこいつの為じゃないけど、治さないと……旅の邪魔になるし。だから、仕方ない。迷惑だから治すだけ。そうやって魔法を使った。そんな僕に神子は……


「セシル君。ありがとう」


 そう言って綺麗に笑った。


 初めて、しっかりと見た。こいつの瞳。


 黒曜石のように、キラキラと角度を変えて煌めいて。 吸い込まれるように 深く綺麗だった。



 あー。

 ほんとにやだな。

 胸がざわざわする。


 だから、女なんて嫌なのに。

 ほんとムカつく。








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