表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の神子は、逆ハーを望まない  作者: 一花八華
第一部
3/32

2



 冷たい床の感触に目が覚める。

 見回すと其処は、何処かの神殿らしき場所。魔方陣のような幾何学模様が、私の足下に描かれている。


(ナニコレ? 何かの撮影?)


 床に座り込む私の周りを、外国人のコスプレ集団が囲っている。 それにしても本格的だな。魔術師に騎士。それに一際目立つ、赤に金の装飾の衣装の男性。

立派な髭を蓄えて、まるで王様みたい。


「おおっ。召喚は成功したようだな」


「陛下。そのようで」


 陛下?王様?それにしても頭が痛い。じんじんと痺れて思考回路が繋がらない。


「神子よ……そなたがくるのを待ち望んでおったぞ」


 頭がぼんやりする。それって私に言ってるの?


「……神子? 私は美琴なんだけど……人違いです」


「何か知らないけど、私を巻き込まないでくれますか? 撮影とかそういうの興味ないから……」


 なんだか、此処にいちゃダメな予感がする。逃げなきゃ。でも、身体に力が入らない。


「いやいや。ガッツリ巻き込ませていただきますぞ。何しろ貴女様は神子で、この世界を唯一救える存在ですからな」


 野太い声で、お髭のおじさんがそう告げる。


 世界を救う?

 だれが?

 どうやって?


 それに答えてくれる人は、誰もいなかった。




◇◇◇



「神子殿、頭の方は大丈夫か?」


 護衛の一人が、声をかけてくる。


「ええ。残念な事に頭は正常なようです」


 混乱から覚めた私は今、城下をとぼとぼと歩いている……右を見ても左を見ても、見覚えのない風景。中世ヨーロッパ風? いや、まるでファンタジーのような街並み……此処は間違いなく異世界だ。


 なりきり集団は、本物だった。言語が通じたのは、神子として召喚されたかららしい。この世界を救へと召喚された。そうして戸惑う私は、拒否する間もなく魔王城へ行け! と旅に出され今に至る。


 ー神子専用衣装に着替えさせられて。


 これ、どう見てもウェディングドレスにしか見えない。


 純白ひらひらドレス……こんな格好で魔王討伐


 悪目立ちして仕方ないよね。大丈夫なの?これで歩いてたら、魔王の配下とかに見つかるよ?ーっと護衛の一人に告げるが、決まりだから問題無い。と返された。


 問題あるでしょ!どーみても!これ、旅する格好じゃないよ! こんなので戦えないよ!? いや、戦う気もないけどね!?


 ーこの旅は、色々とおかしい。衣装もそうだけれど、護衛も変!


 護衛に付いたのは、騎士が二人に魔術師一人。

たった四人(そのうちの一人は、名だけの神子の私)で魔王討伐。


 ーここで私は問いたい。


 本気で討伐する気あるのかと。


 少数精鋭?

 まさか! このパーティで、やっていけるとでも?


 ガタイはいいが、寡黙で近寄りずらい 堅物騎士。

 スキンシップが多く、ちゃらい眼帯隻眼の色男。

 フードを目深に被り、口を開けば罵詈雑言を浴びせてくる少年魔術師。


 みんなイケメンだけれど、#イケメン__顔__#で魔王を倒せますかー?


 答えは、NOー!


 そんな面子で、魔王討伐できるわけがない!


「はぁ。この世界に、私何も愛着ないのに……」


 この世界の事は、この世界の人間が救うべきじゃないの?


 神様……私、一体どうなるんでしょうか?









主人公。混乱すると口調に敬語が混ざります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ