その隣に
これが最終話です!
一回戦でアリスを下した剛羽たちチーム神動は、そのまま破竹の勢いで新人戦を制した。
それから数日後のある日。
「蓮さ~ん!」
教室の入り口で足踏みする耀が、とびっきりの笑顔を咲かせながら手を振る。
「放課後ですよ! 練習行きましょう!」
「おう」
剛羽が席から立ち上がると、待ちきれないとばかりに耀が廊下に飛び出して駆けていく。
「耀様!? 廊下を走るのは危険です! 誰かとぶつかりでもしたら……」
「大丈夫大丈夫~、避けるの得意だも~ん」
耀と侍恩の背中を、廊下に出た剛羽は眩しそうに見詰めた。
「あ、ま、マシロくん……」
名前を呼ばれた剛羽が振り返ると、そこにはアリスが。
「ひ、ヒカリ、最近どうデスの? け、怪我とかしてマセんわよね?」
「ああ、元気過ぎるぐらいだよ」
「そ、そうデスか、それはよかったデスわ。オホホホ……」
笑っているつもりだろうが、苦笑いなのは明らかだ。
まあ、耀本人のためとはいえ、彼女を退学させようとしていた手前、この状況は居心地が悪いはずだ。が、
「なあ、エイツヴォルフ。耀、多分気にしてないと思うぞ」
「ハ、ハイ? 一体何のことやら……」
とぼけるアリスに見かねた剛羽は、軽い調子で呟く。
「耀は結果を出して無事学校に残ることができた。それでいいじゃん」
「…………」
王女は小さくなっていく耀にちらりと目をやる。
「あの子、本当に楽しそうな顔をしていマシたわ。ワタクシ、間違ったことをしていたんデスのね」
アリスは自虐的な笑みを浮かべる。
「そんなことないと思うぞ。耀のためになると思ってやったんだろ?」
もし、耀が王族の隠し子だと世間に知れ渡ったら……蓮ジュニア以上にたいへんな運命が待っているだろう。
「安心してくれ。なにがあっても、俺は耀の味方だよ」
勿論、何も無いに越したことはないが。
「だからさ、アリスも力貸してくれないか? 今度は耀の隣に立つ形でさ」
「え?」
アリスはぱちぱちと目を瞬かせる。
そんな王女に、剛羽はにっと笑い掛ける。
「仲間は一人でも多いほうが、あいつも喜ぶよ」
「ッ…………はい。はい……!!」
神動耀。
実の妹のような少女。
その隣に立とうと、アリスはその瞳を涙で濡らしながら静かに、強く誓うのであった。
〈完〉
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!
次はG7かG8か……ナンバリングがどうなるかは不明ですが笑
次回作も読んでくださると嬉しいです! ではでは!