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砕球!! 改稿6回目  作者: 河越横町
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アナタには邪魔されてばかりデスわ


 城付近の雑木林にて。


「後のことは考えなくていいで! 撃って撃って撃ちまくるんや!」


 笑銃と人形四体は景気よく緑弾をぶっ放し、バギーごと閑花たちに突撃する。


 対する閑花、リデル、アリス親衛隊三名は恐ろしいほどの機動力を見せるバギーを銃火器にて迎撃。激しい銃撃戦で繰り広げられる。


「車輪を狙ってください!」


「めんどくさ~い!!」


「壊せませんわ!?」「こっちにいらっしゃいますわ!?」「回避ですわ~!?」


 笑銃たちに振り回される閑花たちだったが、閑花の大砲がバギーの近くに着弾。


 バギーの右車輪が衝撃で浮き上がり、横転しかけた拍子に笑銃たちが投げ出される。


 その隙を見逃してくれるほど、チームエイツヴォルフは甘くない。


「ミックぅううううう!?」


 宙を泳いでいるところに銃撃を集められ、人形一体が爆発。


「ギャレット!?」


 笑銃たちが地面に着地してから、斬り込んできたリデルにもう一体落とされる。


 殻楯で閑花たちの銃撃から身を守っていた笑銃は残った人形二体を集合させ、自分の殻楯と人形たちの殻楯を合体させ防御力を引き上げる。が、


「面済!」


 リデルにゼロ距離からミサイルをぶち込まれて殻楯に亀裂が入り、続いて撃ち込まれた閑花たちの大砲で完全に破壊される。


 しかし、笑銃に撤退する気は全くない。


 攻城能力が高い閑花を倒すのはチームのとって大きなメリットだ……それに――


「突ぅ……撃やぁ!!」


 笑銃は人形二体を盾にしながら、閑花たちに決死の特攻を仕掛ける。


 まずマイヤーズが倒れ、そして最後の人形イェーガーも木っ端微塵に吹き飛ばされる。


 これで笑銃は盾を全て失ったが、閑花たちまであと数メートル。


(ッ……この間合いなら刺せる!!)


 と、思った瞬間、背後から一閃。


 笑銃は心臓部に致命傷を負ってしまう。


「マモ、あたしがいること忘れてない?」


「ほんま、上手くいかへんわ……」


 戦死する直前、笑銃は千切れかけた腕で何かを口元に運ぶ。


 鎚子てこから渡された卵状のそれのピンを引き抜く。


「手榴弾!?」

「え、マジ!?」

「「「ですわ!?」」」


 至近距離からの、相手を巻きこむ捨て身の爆発。


 ――チームエイツヴォルフ、2得点(内訳:敵選手1人撃破=2点×1)計5点


 しかし、その爆発は閑花たちを退場させるまでには至らなかった。


「っあ……皆、さん……無事ですか?」


「ク」「クレイジー」「ですわ」


 極楯で致命傷を避けた閑花たちは膝を付く。


 そんな満身創痍の彼女たちに届いたのは、


「うわ、やばいやばい!!」


 敵襲の知らせだった。


「笑銃、お膳立てありがとね!」「ナイスアシスト……!!」


 もの凄い速度で駆け上がってきた猫夢理と剛羽が、防御する余力すらない閑花たちを呑み込む。


 ――チーム神動、4得点(内訳:敵選手4人撃破=1点×4)計8点


 笑銃の強引な仕掛けは剛羽たちに獲らせるのが狙いだったのだ。


「あたし一人になっちゃったじゃん……」


 極楯で身を守ったリデルは、剛羽たちの前に仕方なく立ち塞がる。


 間もなく、そんな彼女に朗報が届いた。


 剛羽たちを追っていたアリス親衛隊が追い付いてきたのだ。


「ったく、さっきから鬱陶しいわね」


 閑花たちを仕留めた猫夢理は、後方から射撃してくるアリス親衛隊たちをちらりと見る。


「あんた、先に行ってなさいよ。ここはあたしに任せなさい」


 こくりと頷き、先を急ぐ剛羽の背中に、猫夢理は彼女なりのエールを送る。


「負けたら承知しないんだからね!」


「任せろ!」


 剛羽はぐっと拳を上げて応えた。





「あなや!?」「マジありえな~い!?」「これが瞬殺され――!?」「ジーザス!?」


 ――チームエイツヴォルフ6得点(内訳:敵選手4人撃破=2点×2+1点×2)計11点


 城内、謁見の間で四人の断末魔が上がる。


 撃破されたのはチーム神動の鎚子、風歌、作家、地球児だ。そして撃破したのは――


「エイツヴォルフさん……」


 たった一人残された耀は、攻め入ってきたアリスと対峙する。


 アリスの背後には犬球が浮かんでいた。ここで決着を付けるつもりだ。


「シンドウさん、約束は覚えてマスわね? もしこの大会で結果を出せないようデシたら――退学デスわ」


 アリスが黄金の槍を連射し、耀を攻め立てる。が、一方的な攻勢はすぐに終わった。


 不意の反撃によって。


「ッ……アナタには邪魔されてばかりデスわ、マシロくん」


 アリスは予め用意しておいた《心力》無効化の盾で剛羽の小刀を粉々にする。


 争奪戦のときとは違い、アリスは万全の準備をして剛羽の到着を待っていた。


 もう剛羽の得意な形、近接戦には持ち込ませない。


 しかし、剛羽もまた争奪戦のときとは違う……今は一人じゃない。


 剛羽には耀がいる!


「行くぞ、耀!」


「はい!」


 最終決戦が始まった。


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