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砕球!! 改稿6回目  作者: 河越横町
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地元を案内しよう! その2


 蓮家の見学後、剛羽たちは剛羽の地元にある観光名所に足を運んでいた。

 

 菓子屋横丁。


 色鮮やかなガラスが散らばる石畳の道に、駄菓子やだんご、昔ながらの手法で作られる飴菓子・カルメ焼きなどを販売するお店が二〇軒以上連なる、有名な観光スポットだ。


「――んぅ~、運動した後の甘い物ってなんでこんなに美味しいんでしょう! すごく甘いです~!!」


「ふ、さつまいもアイスなどそんな田舎くさいもの――ッ、美味い!」


「さつまいもナメんなよ。うま」


 店先の和傘の立てられた腰掛けに座る剛羽たちは、珍しい食べ物の数々に舌鼓を打つ。


 耀もすっかり元気になって何よりだ。


「あ、それ美味しそう! しおん、わたしのと取り換えっこしよ?」


「…………嫌です」


「え、なんでよ!?」


「食い意地張るなよ、執事だろ? ほら、耀。俺も同じの買ったから」


「え、いいんですか!? ッ……あ」


 喜んだのも束の間、耀は剛羽から差し出された食べかけのアイスを見て顔を真っ赤にし、もじもじと太腿をすり合わせる。


「で、でも、か、間接……き、き……すに」


「ん? 俺は気にしないけど?」


「気にしろ、不埒者が!」


「いや、でも、チームメイトと回し飲みとかするし」


「女子ともするのか!?」


「え、お前らはしないの?」


「さらっと!?」

「素でびっくりされたよ、しおん!?」



 嘘だろおいと顔を見合わせる耀と侍恩。


 そんな二人を見て、剛羽は差し出したアイスを引っ込めた。


「まあ、嫌ならしょうがないな」


「あ……」


 しかし、耀は遠ざかっていくアイスを名残惜しそうに見詰める。


 固執する理由は「食べたい」――それだけではない。


 どこかの執事のように、食い意地を張っているのではない。


「しょうがないですね。耀様、僕のをほんの一口だけ――」


「……それはいい」


「えぇえええええ!?」


 即答した耀は顔を真っ赤にし、目をぐるぐる回し、そしてぱしっと剛羽の右手を両手で包んだ。


「ん? やっぱり食べたいか?」


「はい……あ、朝から……たくさん運動したので……お腹ぺこぺこなんです」


「は……作戦通りだな」


「え?」


 キランと顔の横で星が弾けるのを幻視させるようなドヤ顔の剛羽に、耀はこてんと首を傾げる。


「最初にバッティングセンター行ったのは腹空かせるためだったんだ。そしたらここで美味しく食べられるだろ? まあ、腹空いてなくてもここのは美味しく食べられるけどな」


「すごいです、蓮さん! なんだか、砕球の作戦みたいです!」


「耀様、蓮のはそんな大したものではないですよ。エスコートする者として当然の――」


「もう! しおん、なんでそういうこと言うの!」


「なっ!? いえ、僕は蓮贔屓の展開を引っ繰り返したかっただけで……」


「ほい。全部食べていいぞ」


「ありがとうございます!」


「ちょちょちょちょっと待て、蓮!?」


「しおん、ちょっと静かにして!」


「…………はい」


 叱られた侍恩は今度こそフェードアウト。


 耀は受け取ったアイスを胸の前で抱えるようにして大事そうに持ち、上目遣いで剛羽を見る。


「あの、全部頂くのは気が引けるので一口だけ……あと、もう一つお願いしていいですか?」


「ん?」


「そ、その……あ、あっちを向いててもらえませんか?」


「え、何で?」


「察しろ、この朴念仁!」


「いや、でも、この状況だけで察しろなんて言われても……ッ!?」


 考え込むように鼻と口の間に手を添えた剛羽は、何か閃いたのか屈んだ姿勢から身体を起こす。


 そして、


「なるほど、食べてるとこ見られるのは嫌だよな……なんか分かるよ」



 まあ予想通りと言うか、少女の感情を感知できなかったため一般論を述べる。


「その通りだ、流石だな、勘違いマスター蓮」


「待て待て、何が勘違いなんだよ? 聞き捨てならないな」


「ふ、自分の頭で考えてみるのだな、マッシー」


「ちっ……鳩胸」


「だから休戦協定はどうした!?」


「先に仕掛けてきたのはそっちだろ?」


 と、剛羽と侍恩がやり合っている隙に、あっちを向いた耀がアイスを大事そうに、愛でるように見詰め――


「ちゅぅ……じゅる…………じゅるる、はむ……はむ……んぅ、美味しいです」


 二口、三口くらい食べられそうな時間をかけて味わい、「ふぁ~」と恍惚とした表情を浮かべる。


「嬉しそうで何よりだ」


「はう~、ほっぺた落ちそうです~」


 それから剛羽たちは数一〇〇年前の建造物が残る蔵造りの町並みを見ながら歩き、次いで現れた駅前から伸びる商店街を抜け、ようやく駅に到着した。


 そして、地元最大の駅に付いたところで、


「こうく~ん! 耀ちゃ~ん! 達花く~ん!」


「先輩方、一分も遅刻ですよ」


「お~い!」と頭上で両手を大きく振る金髪碧眼の天使改め優那と、どんと胸を張る勇美の剛羽の幼馴染コンビに出迎えられる。


「あれ、優那先輩!?」

「竜胆勇美もいますね」


「午後から会う約束してたんだ……優那先輩、遅れてすいません。ちょっと楽しみ過ぎちゃって」


「楽しむのは結構ですが、待ち合わせの時間に遅れるなんて感心しませんね。剛羽先輩、時間にルーズな人間というのは他のことにも――」


「まあまあ、りんちゃん。一分くらい。皆乗って乗って~」


「ま、まあ……場の雰囲気を壊すのあれですし、次からは――」


「次からは気を付けるよ、勇美。待たせて悪かったな」


 その後、剛羽たちは上妃家のリムジンに乗せてもらい、上妃家の豪邸で昼食を取り、優那と勇美を加えた五人で休日を楽しむのであった。


構成ミスりました~

二部構成にしないでまとめた方が良かったですね汗

あと、バッセン→アイス→蓮家の順にした方が良かったかなと反省してます

G7以降で改稿します!(←まだやるのかよ!?)

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