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砕球!! 改稿6回目  作者: 河越横町
14/49

争奪戦、開始!!

更新遅くなってすみません!汗


 チーム鵣憧、選手控室。

 

 猫夢理は手元の《IKUSA》に視線を落としたまま、隣でモデルガンを弄っている守矢笑銃に話し掛ける。


「上妃さん、耀のチームにいたわね」


「せやね~、オペレーターでもやるんとちゃうの?」


「……笑銃。あんた、上妃さんがいること知ってたでしょ?」


「ッ!? い、いやー、うちもびっくりしたわ、ほんまにー」


「…………まあ、別にどうでもいいけど」


 それよりと、猫夢理は《IKUSA》で観ていた少年の話を持ち出す。


「普通の加速なら付いてけそうだけど、もう一段上は無理しないほうがいいわね」


「ねこはともかく、うちは加速されたらとにかくガードやな。極楯ポイントガードしたほうがええのかな?」


「刀もたまに使う銃も威力はないから、膜楯ペイント殻楯シェルでいいでしょ。奥突いるし」


「あー、せやね。極楯したら、空いてるところブスッといかれるかもしれへんな」


「そうそう。あと竜胆ちゃんのことだけど――」


「だぁあ! またここでゲームオーバーっすか」


鎚子てこ……っちゅうか、風歌ふうか地球児あーす作家さくやも!」


 笑銃はゲーム、ファッション誌、謎の儀式、読書に没頭する後輩たちを怒鳴る。


「試合前になにしとんねん! ねこの話――」


「だって、今日の試合、2位は確定じゃないっすか~」


「耀ちゃんのチームいるもんねー」


「いや、今日は耀のチームに蓮剛羽いるんやで……」


「こないだ、無名の選手に負けそうになったってニュースで観たっすよ?」


「相手耀ちゃんじゃなかったけ?」


「あ、耀先輩だったんすか。蓮ジュニアも落ちたっすね~」


「あの者の時代は終わった! 何を恐れることがあろうか!」


「元1位キャラは大概かませですから」


「あかんわこれ……」


 楽観的過ぎる後輩たちに、目を白黒させる笑銃。


「ち、因みに、対蓮の立ち回り方は?」


「そんなのあるんすか? 初耳っすね」


「それより、気になる異性の落とし方が知りた~い」


「対策など無用。己を貫く。その一点のみ!」


「笑銃先輩、データキャラは勝てないのがお約束ですよ?」


「ねこぉ、うちには無理や! 一言ガツンと言ったてやあ!」


「…………別にいいんじゃないの? 適当にやりましょ」


「ねこ……」


 我関せずを貫く猫夢理に、笑銃は寂しそうに眉尻を下げる。


 とそこで、控室内に審判部からのアナウンスが。


「フィールド、遺跡エリア!? 拠点めっちゃ多いところやん!?」


「ほほう、接待試合ってやつっすかね~」


「これ、風歌たち一位取れちゃうんじゃないの!」


「遂に我らの時代がきたか!」


「主人公になるチャンスですよ!」


 後輩たちが盛り上がる中、猫夢理は冷や汗を流しながらぽつりと呟く。


支援手サポーターは覚悟しなさい」




『会場にお集まり頂いた皆さん、お待たせ致しました! 今年も九十九学園新年度の始まりを告げる名物行事、春の新戦力争奪戦がドドンと開幕です! 解説席にはチーム九十九の監督、洲桜慶太郎すおう けいたろうさん、チーム九十九の主将、九十九義経さんにお越し頂きました!』


『……よろ、しく』


『よろしく』


『監督、九十九先輩、見てください! すごい観客数ですよ! それもそのはず、なんとこの会場には10年前、砕球日本代表を初めて世界大会の決勝に導いた蓮蒼羽ましろ あおば選手のご子息、蓮剛羽選手がいますからね』


『まあ、普通に考えてそれだろ。この世代で蓮剛羽を知らないやつなんていないからな』


『……ィツヴォルフ』


『洲桜監督、もっと大きいな声で! はいどうぞ!』


『……エイツヴォルフ』


『なるほど、それもこの集客数の一因でしょうね!』


『蓮とエイツヴォルフ。この組み合わせは10年前の世界大会決勝を思い出すな。親の次はその子ども同士で対決か』


『なにか運命めいたものを感じますね~。お、まだ時間があるみたいです。ではでは、洲桜監督、砕球のルールを簡単に説明してください』


『……むぅ』


『普通に考えて無理でしょ』


『では僭越ながらこのわたしが。砕球は2から4チームによる、得点を競い合うゲームです。点の取り方は至ってシンプル、相手選手を倒すと1人につき1点。相手チームの球を壊したら、今回は6人制なので1個につき2点です!』

 

 観客席に集まった一般客や子どもたちのために、丁寧に解説する実況少女。


『さあ、準備が整ったようですね。今回のスタート方法はランダム、各チームフィールドにバラバラに転送された状態で始まります! それでは皆さん、ご唱和ください! 時間の都合上、試合時間はいつもの半分! たった15分間の濃縮還元バトル、3、2、1――』


『――ブレイクアウトぉおおおおお!』


【だぁあああああ! なんで鎚子てこたちばっかり狙われるっすかぁ!】


【マジありえないんだけどぉ!】


【くぅう、時代は我らを見捨てたか!?】


【これが敵から集中的に狙われる選手の気持ち……忘れないうちにメモしておかないと!】


【しとる場合か、アホぉ!】


 試合開始直後に連続する悲鳴。


 チーム鵣憧の支援手たちは、他の2チームの選手から執拗に追い回されていた。


 オフロードカーを錬成した笑銃は、フィールド各所で襲われる後輩たちを一人ずつ回収していく。


「な、なんで鎚子たちだけ……」


 最初に回収されたチーム鵣憧の支援手、夜舞曲よぶすみ鎚子は、後部座席で荒い呼吸をしながら嘆く。


「そりゃ、落としやすい支援手やしな」


「耀先輩と侍恩先輩だって落としやすいじゃないっすか! しかも耀先輩は球操手フラッグっすよ!?」


「アリスたちからすれば、ひかりたちはいつでも落とせる駒。片やてこたちは序盤で絶対落とさなあかん駒なんや。遺跡エリアやから、なおさらなー」


「それって……」


「あー、ひかりはもう拠点向かってるっぽいなあ」


「鎚子たち、まんまと時間稼ぎに使われたってことっすか!?」


 鎚子は後部座席でベソを掻き始めた。

 

 しかし、泣いている場合ではない。


しょー先輩、後ろ後ろ! 蓮ジュニアが来るっすよ!?」


「いきなり厳しい展開やな……」


 逃げる笑銃たちに、ハンターたちが四方八方から続々と集まりつつあった。


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