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砕球!! 改稿6回目  作者: 河越横町
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作戦会議


 争奪戦前日。


 剛羽たちは寮のリビングで、対戦相手の研究をしていた。


「それじゃあ調べてきたことを教えてくれ。まずチーム鵣憧せきしょうの強みから」


「はい!」


 元気よく返事をした耀は《IKUSA》の画面に視線を落とす。


「やっぱり、ねむりちゃんのチームは、ねむりちゃんとえんじゅちゃんの二人が強力です。ねむりちゃんが崩してえんじゅちゃんが獲る、またはその逆が得点パターンです」


「だな。こいつらが組むとかなり厄介だ」


「あと……なんだっけ、しおん?」


「拠点を取れると勝率がぐっと上がる、です」


「あ、それそれ!」


「まあどこのチームだって拠点取れたら有利だけど、チーム鵣憧に立て籠もられたらまず勝てない。支援手サポーターが四人もいるからな。でも――」


「でも、そこが弱点でもありますよね?」


 耀の鋭い指摘に剛羽は「おっ」と声を洩らす。


 多分気付いてるなと判断し、説明するのを一旦止める。


「ねむりちゃんのチームは、拠点を取れるかどうかで勝率にかなり開きがあるんです」


「支援手が多い分、拠点外での戦闘なら僕たちに分がある」


「なので、ねむりちゃんチームの対策として、拠点が少ないフィールドを選ぼうと思います!」


「確かにそれならチーム鵣憧は抑えられるけど、エイツヴォルフたちはどうする? あいつらからすれば、拠点は少ないほうが助かるぞ。鵣憧たちは勿論、俺たちも落としやすくなるからな」


「あ……う~ん」


 言われてみればそうだと、耀はテーブルに突っ伏す。


「ほら、どうする? 問題点が見つかったぞ」


「蓮さん、わたし、頭がズキズキしてきました……うぅ」


「考えてる証拠だ。さあ、まず何から始める?」


「えっと、相手チームの特徴からです」


「そうだな。エイツヴォルフたちのチームってどんなチームだ?」


「エイツヴォルフ殿を筆頭に序列上位が揃っている」


「つまり、個の力が高いところです!」


 ハイタッチする侍恩と耀。


 何故急にそんなことをし出したのか皆目見当も付かないが、楽しそうで何よりだ。


「弱点は?」


「弱点なんてないですよぉ。皆さん、強くて隙がないです」


 早くもお手上げ状態の耀とは反対に、《IKUSA》の画面を見ていた侍恩はぽつりと呟く。


「強いて言えば、チームに支援手がいないということですかね、耀様?」


 執事の言葉に、耀は首を傾げる。


「それって弱点なの? 支援手がいないってことは、皆戦える選手ってことでしょ?」


「確かにそうですが、拠点を攻めるときは苦労すると思います。支援手がいないので、真正面から罠を突破していかなければなりませんし……ということは、エイツヴォルフ殿のチーム対策に拠点が必要ですね」


「でもでも、そうすると今度はねむりちゃんのチームが……」


 まさしく二律背反。

 

 耀と侍恩は「う~ん」と唸る。


「まず拠点は絶対必要なのですから、そういうフィールドを選ばないといけません」


「ねむりちゃんたちとの競争に勝てばいいのかな?」


「上手く行ったとしても拠点に籠ってるだけじゃ勝てないぞ。鵣憧たちのチームは鵣憧と守矢が点稼いだ後に立て籠もるから勝ってるんだ」


「う、生き残ることばかり考えて点を取ることが頭にありませんでしたね、耀様」


「うん……点を取るかぁ。あ、そう言えば、しおんも助っ人呼ぶって言ってたよね?」


「それです、耀様! 蓮剛羽、助っ人の話はどうなった?」


「二人呼んだ。一人はオペレーターだけど、もう一人はかなり優秀な後輩だ」


「それなら、蓮さんとその後輩さんを攻撃と守備に分けて……完璧じゃないですか!」


「全く完璧じゃないな」


 単純過ぎだと、剛羽は溜息を付く。


「普通に戦ったら、普通に負けるぞ。お前ら、自分が真っ先に落とされる駒ってこと忘れるなよ」


「あう」「うぐ」


 弱い駒から落とす。戦いの基本だ。


「そ、そのときは、蓮さんに守ってもらいます」


「おいおい。俺一人じゃ鵣憧かエイツヴォルフのどっちか抑えるだけで手一杯だぞ。それに守矢と守矢の人形、ラッシュフォード兄妹……キャプテンの二人以外にも手強いのはたくさんいる。助っ人呼んで戦力を増やすのは当然として、どうやって戦うかまで考えないと結果は変わらないぞ」


「もう、こうなったら気合いと根性で!」


「耀様真面目に考えましょう」


「しおんにツッコまれた!? う~ん……でも、どうするの? 相手チームに共通の弱点なんてないんだよ?」


「でも、共通のポイントはある」


 剛羽はにっと意地悪そうな顔を浮かべた。


「どこを選ぶか次第で優先順位は変えられるぞ」


 剛羽の言葉に、耀と侍恩は「ん?」と顔を見合わせた。


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