試合開始!!
【こ、コマンドポストより各隊に通達。敵本隊の拠点への進軍を確認。数は15、球操手の方もいらっしゃいます】
インカムに届いたオペレーターの索敵報告に、各小隊長が応答する。
間もなく、襲撃ポイントに到着した隊員たちは眼下の獲物を視界に収める。
相手チームは球操手と呼ばれるポジションの選手を囲み、周囲を警戒しながら、峡谷の先にある砦に向かって移動していた。
【15って、フルパーティーやん!! 的が多くて~嬉しいなぁ~♪】
【拠点取りたい相手をリンチ……いつかの惨劇を思い出すっすね】
【あれは酷かったわね】
【こちら蓮。お前ら、あんま無駄話すんなよ】
蓮と名乗った部隊長を務める少年は、チームメイトたちの会話に割り込み、走りながら行軍している敵チームを見下ろす。
敵の進軍妨害及び、拠点奪取。
それが今から決行される作戦だ。
フィールドに点在する攻め難く守り易いエリア――拠点をどちらが取るかで、試合内容は大きく変わる。
【優那先輩がデカイのかました後、蓮隊と鵣憧隊の二個小隊で突貫する。楯上隊は優那先輩の護衛と周囲警戒。守矢、背中取れたらガンガン撃て】
各隊員が応じたのを確認してから、部隊長の少年は腰の剣帯から小刀を引き抜く。
息を潜め、腰を落とし、得物を握り直して敵を睨む。
そして一つ大きく息を吐いてから――
【総員、戦闘開始!】
間もなく、試合が動き出した。
登場人物
蓮剛羽
本作の主人公。
お父さんが元砕球のプロ選手……というテンプレ設定とか言うのやめよう!
クールキャラですが年上の女性に頭が上がらず、幼馴染の優那先輩の前ではたじたじ……そこが可愛い!←
作者的には優那に可愛がられてる剛羽がすごく可愛いんです。
男ですけどヒロインですね。主人公兼ヒロイン!
「一応クール系のつもりで書いてる」と、「めっちゃ書き難い」と、前作の後書きでも書きましたが、何度も改稿を重ねるうちにすごく書きやすいキャラになりました。
もう剛羽以外の主人公だなんて考えられない!(それは作家としてまずい!)