ムカつくことが多すぎたのでぶち壊すことにしました。
物とかの破壊描写の練習ついでにふと思いついたので書いてみました。
むかつく。
むかつくむかつく。
むかつくむかつくむかつく!!
「全部嫌いだ!!」
僕をいじめたあいつが嫌いだ。僕を殴った親父が嫌いだ。僕を避ける母さんが嫌いだ。僕を虐げる皆が嫌いだ!
「だから、全部!」
ぶっ壊す!!
◆ ◆ ◆
言っておくが僕は今まで隠していたことがある。お前等のような普通の人間とは違う、圧倒的な力を、超能力を持っている。
「だーかーらぁ!!」
まずはこのうざったらしいくらいに立ち並んでいる街の高層ビル群を――
「まとめてなぎ倒す!!」
地面を強く蹴って俺は宙に浮かび上がり、右手を前にかざす。
「割れろ!!」
衝撃波が放たれビルにあたると、窓ガラスが一斉に割れる。悲鳴と喚起が割れる様に響き渡り、僕の身体を更に昂らせる。
「砕けろ!!」
地鳴りのような音が腹に響く。それと同時に目の前のビルに大砲で穿ったような巨大な風穴があき、続けざまに穴からひびが広がって崩れ落ち始める。
「あひゃはははははッ! 全部崩してやるよぉ!!」
ゴミクズ共の泣き叫ぶ声が、断末魔が聞こえる。だがそれの聞き心地がたまらない。
正拳突きの要領で両腕を交互に前へと突き出し、次々と巨大な穴をあけていく。だがそれだけでは芸がないので、僕は一つのビルを前にして右手を差し出す。
「潰してやる……ッ!」
右手のひらを徐々に握ると共に、ビルが変形していく。バキバキと鉄骨は折れ、窓が変形しガラスが割れだす。しまいに思いきり握りつぶすと、ビルは細くなった何かへと形を変化し、そのまま倒壊した。
「ゴホッ、ゴホッ……薙ぎ、払うッ!!」
ひとたび左手を振るえば、下から立ち昇る火災の煙が晴れ、そしてその余波でビルが次々となぎ倒される。
「あはははははッ! そろそろ地上ののた打ち回る蛆虫共も気づくかな……?」
一体誰を嫌っていたのか。一体誰を怒らせてしまったのか。
「僕はこの世に生まれ落ちて十五年間、ずっと虐げられてきたんだよ……?」
やれることを必死でやった。相手を気遣ってすごしてきた。なのにお前等は――
「お前等は更に調子こいてずかずかと威張り散らしやがってぇ!!」
地上に降り立てばパニックになっている群衆の姿が。そして僕を見るなり恐れ、怯え、媚びへつらう。
僕から距離を取るが、僕を囲むようにしてそいつ等はそこにいる。
「……どうしたんだ? ん? いつも通りにしてみろよ」
いつも通りに言ってみろよ。「役立たずのお荷物野郎」って。
「そうだよな、お前等はいっつも卑怯だもんな」
僕が弱いと勝手に思い込んで、調子に乗って扱いやがって――
「壁のシミにでもなってろ!!」
地面を強く蹴り、不可視の衝撃波を生み出す。衝撃波は全てを拒絶し、押しやる。
僕を中心にクレーターが出来上がり、衝撃波に押された人間は全て建物の壁に挟まれてブチリと破裂する。
壁際では肉片が飛び散り、建物の一階部分は全て朱色でコーティングされている。
その光景を見て、僕の中の押韻は収まってゆく。
「……少し、すっきりした」
僕はそのまま手足についたほこりを払うと、その場を去っていく。
――気を付けた方がいい。世のなかには、本当の意味で怒らせると怖い奴がいることを。