17話
私は1人、奥の宮から抜け出して広い皇太子宮を走っていた。
「ここも・・違う」
手近な窓から外を窺ったり、部屋を覗いたりと、色々見て回ってどのくらい時間がたったのだろうか。焦るばかりで何もできない自分が心底もどかしい。
これほどまでに焦ったのは、まだ元の世界に居た時・・・デパートで妹たちと別行動した時に、私を探して大怪我をした甥っ子が救急車で病院に運ばれたときくらいじゃないだろうか。
―――・・これは本気で油断していた。まさか昨日の今日で行動に出られるとは誰も思うまい。
「まさか、皇太子宮の外に出たの?」
一体どのような手段を、どこのどいつが使いやがって・・・失礼。でも、皇太子宮の奥の宮に現在人がいるという事自体、実質的にほとんど知られていない筈なのだ。確かに隠されている為に警備の面では厳重とは言い難いとはいえ、近衛が目を光らせている所から人が1人連れ出されるとは・・・。
マティ兄様から折角手紙を貰って注意を促されていたのに、ヴィーやガルスが手出しできない事は任せてと啖呵を切ってしまったのに・・・。
「早く探さないと」
大勢で動きすぎて、もしかしたら犯人を刺激してしまうかもしれない。いや、ただ彼女が―――私もまだ把握してないけど――― この広い宮で迷子になっているだけの可能性だってある。
だが、彼女に着けていた私の侍女が気絶させられていたことも含め、彼女は連れ去らわれたと言う線が今のところ一番濃厚な線だ。そして彼女を連れ去った人物の目的も分からない今、私に出来る事は彼女を探し出して無事を確かめる事だけ。
「どんな目的だろうと、相手してやろうじゃん」
仄暗い炎が燃え上がりそうな気分だ。一度立ち止まって自分が今いる所と今来た道を頭の中で整理する。そして大きく息を吸い込んでゆっくり深く吐き出してから、一つの決心と共に私はUターンして人目も憚らずまた掛け出した。
今にも心を閉ざしかねない、あの悲しい眼をした幼い姿の女性を探しに。
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「失礼いたします。レフィール嬢・・少しお時間を頂くこと、宜しいでしょうか」
「え?」
マホヤとシェリーをお供に、部屋に閉じ籠ってしまわれているアニス様の元に向かおうと私に割り当てられている部屋から出た時だった。
「貴女は・・」
振り向いた私が目にしたのは、片膝をついて深々と頭を垂れている蒼き肩当てを身に纏った凛々しい女性と、近衛の証の深緑色の中に1本の白ラインがはいったコートを着た2人の女性の姿だった。
「お急ぎの所、大変申し訳なく思います。少しお時間を下さいませんか」
「?・・急ぎの用事はないので大丈夫ですよ。マホヤ用意して」
「はい、お嬢様」
何の用事かは分からないが、態々色騎士の一人でもある彼女がこの隔離された奥の宮に訪れたという事は何かしらに急ぎの事態が起きたことなのだろう。
普段は確かにお気楽主義な私だが、分かりやすい空気はちゃんと読めるぞ。
「ご案内いたしますわ、どうぞこちらへ」
「ありがとうございます」
そうそう、色騎士以外にもきちんと皇国仕えの騎士は居る。ピラミッド式に言えば頂点は総司令官のマティ兄様だが、騎士としてのトップは色騎士のリーダー格の4人。これは最近知った事なんだけど、色騎士の中にも優劣があるらしく、4人の中のリーダー的存在なのは黒騎士のサイラス様。そして、その下にその色騎士部隊と各皇族に仕える近衛リーダーが付くことになっているらしい。
「そちらのお二人は初めてお目にかかると思いますが・・?」
「はい、今回の件で特別配属になりました者にございます。若輩者故、なにとぞお容赦を」
自分が先導となり部屋へと案内して振り向くと、リーヴェトゥーネ様に続いて部屋に入ってきた二人の女騎士の姿が目に入って思わず眉をひそめてしまった。普通は扉の前で待つのが常識のはずだが、そう思ってリーヴェトゥーネ様を窺うと、今にでも頭を抱えそうな様子を見せた。
「サブリエと申します」
「ラミネと申します」
多少の濃淡はあるが一般騎士も近衛騎士も制服のカラーは緑色。そして、部隊によって多少のデザインが変わるのは勿論の事、近衛騎士や上位騎士 ――確か団長や副団長等―― になるとラインが入ったり、マントや魔石が支給されると言った一目で見分けがつく仕様になっている。近衛になるとロングコートと言う色騎士と似たデザインになり、そのマントの留め具にはお仕えしている皇族の方のワンポイントが入っているので誰に仕えているのかすぐに分かる。
が、この二人は近衛騎士としても服装でいえばただの底辺騎士だろう。
騎士と言うよりは貴族然とした態度でいるのが解せない。
皇太子宮は特に制限があるわけではないが、この奥の宮は=後宮でもあるため今回の特別処置は理解できる。だけど、蒼騎士の後ろについている2人は皇太子(ヴィンス殿下)の印でもある白馬の紋が見当たらない―――つまり、そういう事なのだろう。
それよりも、蒼騎士でもある彼女がそんな2人を連れて現れたという事は一体何があったと言うのだろうか。
「どうぞお掛け下さい、リーヴェトゥーネ様。蒼騎士でもある貴女が座らぬのならば、私も立ったまま話を聞きます」
「・・・はい、御前失礼いたします」
ちょっとした脅迫だと思うのは理解しているよ。私は例え伝令を伝えに来た騎士と言っても色騎士であって兄様達の同僚の方を立たせて、一人だけ坐っているのは気まずいから嫌なんだよね。
ニコニコと笑いながら向かいのソファーを差して待っていると、リーヴェトゥーネ様は驚きながらも向かいの席に座って、出されたお茶に手を伸ばしてくれた。
「美味しいお茶ですね」
「お口に会いましたか?このお茶は母様のお気に入りのお茶で、私もお気に入りなんです!」
「そのようなお茶を私に・・?」
私が持ち込んだお茶の1つでもある緑茶ベースのフレーバーティー。新茶の爽やかさと茶葉本来の甘さの中に、甘酸っぱい果実を加えた1品です。一口飲んでほっとした様な顔をしたリーヴェトゥーネ様に、私は嬉しさのあまり普通に無邪気に話しかけてしまった。
それでもまぁ、リーヴェトゥーネ様が案外普通に受け答えしてくれたのでそれから少し雑談し、お茶がカップに半分ほどになった時だった。
「レフィール嬢、お人払いを」
少しピリッとした雰囲気を出したリーヴェトゥーネ様が、部屋に控えていたお針子部隊全員にさっと目を走らせてから口を開いた。
「人払いですか・・・何故です?」
言うまでもないだろうが、分かってなくて口にしたわけじゃないからね。敢えて分からないふりをしただけですからね!
私の演技も中々なものか、心底わからないと言うように首を傾げた私にリーヴェトゥーネ様の後ろに控えていた近衛の2人が険しい視線を向けてくる。
―――・・ぅわぁ、こっわっ!
「・・では逆に、私はその後ろにいる近衛を信用していないと―――言ったらどうします?」
フンと視線は私の方が遥かに下だが見下すように言うと、虚を突かれたのかリーヴェトゥーネ様はキョトンとした顔をし、控えの近衛2人はさらに苛立たしげな雰囲気になった。
「さすが、あの方々の妹様ですね。―――席を外せ」
呟くようにそう言い、リーヴェトゥーネ様の瞳はとても楽しそうに、そして頼もしき仲間を歓迎するかのような光が宿っているように思う。
私に視線を向けたまま背後に控える2人へ命令を出した。
「ですがっ」
「何度も言わせるな」
「は、はい」
「・・失礼いたします」
リーヴェトゥーネ様の言葉に反論でもしようとしたのか、近衛を名乗っているはずの2人は冷めた瞳と一際低い声のリーヴェトゥーネ様の威圧に開きかけた口を堅く結び、赤かった顔を青くして渋々ながら踵を返した。
そして、軽蔑したような表情を隠しもしないマホヤが開けていたドアから苛々した態度のまま出て行った。
「う~ん?騎士じゃないですよね?彼女たちはただの成り上がりですか?」
「お恥ずかしい話ですが・・」
なんかこんなバカ騎士が出てくる小説をどこか、いや元居た世界で色々読み漁っていた小説の中で昔読んだ気がするが―――・・まぁそこは置いておこう。
実際いるもんなんだなぁと呆れた様な顔をした私を見たリーヴェトゥーネ様は、少し恥ずかしいと言うよりは憤りを見せるような顔をして眉間のあたりを押さえていた。
「兄君方のレフィール嬢の評価とはずいぶん違いますね。少々侮っておりましたこと、お詫びいたします」
「いえいえ。甘やかされるまま流されてますし、実際頭は悪いので・・。でも、あの兄様達の態度だったらしょうがないですよ。まぁ一応、元の世界では成人して・・・え~っと、結構いい年でしたしね。その割には子供っぽいとは自覚してますよ」
この世界で成人の年齢である60歳など、元々の世界では普通に考えて孫がいたって不思議じゃなく、最近でいえば至極当たり前の年だ。もっと一族的に結婚が早ければひ孫だっているかもしれない・・・実際に私の実家はそんな感じだったので。
「ふふ、実母も妹も結婚したのが早かったですしね~。元の世界の私の曾祖母は90歳で玄孫までいましたよ・・・激動を生き抜かれ、長生きされた方です」
少しの懐かしさと共にカラカラと笑いながらそう告げれば、リーヴェトゥーネ様も驚愕に目を見開いたのち何かを思ったのか、ふっと表情を緩めた。
「そうでした・・“お客人”だった、ですね」
「えぇ、ここまでよくして頂いていても・・・ちょっとホームシックに、元の家族を思って寂しくなりますよ。たまに」
少し冷めてしまったお茶を入れ直して、ガルスに頼んで取り寄せて貰ったチーズケーキに私が手を伸ばすと、リーヴェトゥーネ様もおずおずとそれに手を伸ばしてくれた。
「お口に合いました?」
自分も食べつつちらりと正面を向けば、リーヴェトゥーネ様は美しい所作でチーズケーキを食べていた。始めこそ恐る恐る口に運ばれていたが、すぐに気に入って頂けたのかペロッと食べ終えた所で話しかけた。
「あ、あぁ。美味しかった・・初めて食べたがこれは?」
「ガルスの、シャルトルーズ領の新しい名産ですよ。そこに、レジンのソースをかけたものです」
「なるほど、これが噂のチーズケーキですか。レジンソースというモノも合いますね」
因みに、この世界にはチーズケーキと言う名ではなかったがスフレタイプのケーキが存在していた。そこを私がガルスの領に滞在中にレアチーズケーキを広めてみた所、今では呼び方自体が変わった事にはちょっとびっくり。
「あの、フォル兄様が呼んでいらしたようにトゥーネ様とお呼びしてもよろしいですか?」
「フォルと同じならトゥーネと呼び捨てで良い、レフィール嬢」
「では私もレフィーでいいです。肩っ苦しいのは嫌いなんで・・では、トゥーネさんとお呼びします」
さすがに呼び捨てにはできないですよと、素に戻ってそう許可をとってみるとトゥーネさんはそう少し嬉しそうに頷いてくれた。勿論先ほどまではあの近衛騎士が来たために私は頑張って令嬢然とした態度で笑みを顔に張り付けて頑張っていましたよ。
すでに私が異世界人と言うのは知っているけれど、きちんと説明したうえで・・・・え~っと、前のオリエントの森での事を謝ったら物凄く驚かれたが、何か色々納得したような顔をしていた。
「この者達は信用できるのか?」
「兄様に聞いていると思いますが、私付きのここにいる侍女たちは忠義を誓ってくれてますよ―――そこまでしなくていいって言ったのに」
私は呆れと何とも言えない気持ちのままそう吐き出してちらりと視線を向けると、リーシャを始め、皆がとてもいい笑顔でスカートの裾をまくりあげてトゥーネさんが見えやすいように片足を出した。
「これは・・すごい」
足を出したりするのははしたない事だが、それすら気にならないかのように、トゥーネさんの顔は驚愕一色だ。
リーシャ達の足、そこには侯爵家の家紋と私の名前。そして、その命を懸けての忠誠の証の最上位でもある―――血を混ぜて作られた黒に近い紅色の魔石が埋め込まれている。
―――くぅぅ・・・みんなの綺麗な脚にあんなもの埋め込みたくなかったのにぃ!!
因みにあれは、忠誠を誓った主に逆らった場合は魔石の力が発動してその命を取られるというモノ。魔石の赤が濃ければ濃い程、主に忠誠を誓った証。一種の呪いであるから私は本気でこれが怖い。
「元々異世界人であって、この世界への忠誠など無いと言われればそうかもしれないけれど。私は私を引き取ってくれた父と母に、鬱陶しいほどの愛情を注いでくれる兄様達が忠義を誓っている皇族・王族に、反旗を翻そうなどとは思わないよ?理不尽な命令には抵抗はするかもしれないけど・・・」
これは私の正直な気持ち。それに、あのお優しく神々しい陛下に傅きこそすれ陥れようなどと言う気持ちは起きないし、元々チキンだから人が傷ついたりするようなことや法律に逆らうようなことは怖いと言うのもある。
「私の根本はただのバカなので、もしも私が知らずに皇国の皇族の方々の命にかかわるような命令をした場合は、その命令事態無効。私の命を守るよりも、陛下を始めとした皇族の命を守ることは最重要な命令です。勿論この契約はリヒトおじ様立会いの下で行いました」
「わかった」
驚きに目を見開いていたトゥーネさんも、私の真剣さと控えているリーシャ達の真剣そのものの顔に微かに笑みを浮かべて頷いた。
「この手紙を読み、理解したのちに隠滅して欲しい。その上で手を貸してほしい」
「・・・・・これは・・事実なのですか?」
特に何も考えずに渡された手紙を手にし、その手紙の最初の数行読んだだけでも思わず眉間に皺が寄った。
「噂だけなら前々から・・・我らを持ってしても裏を取るのに時間がかかってしまったのだ」
そのまま書いてある文字を追って目を通せば、そこに書かれていることに思わず眉間に寄った皺が深くなる。取りあえず私なんかが出来るかどうかは不安だが、これも一重に僅かでも信頼を得ている事だろう。
「どこまでの事態になるか、ですよね?」
「そうだな。取り越し苦労であればいいのだが・・な」
手紙をリーシャ達にも目を通すように言って渡し、皆が読み終わって手元に戻ってきた際に炎の魔石の力を使って塵も残さず燃やしてやった。
「う~・・ん・・誰が適任?」
真剣な顔で私を見ているトゥーネさんに一つ頷いてから、私はマホヤに顔を向けた。
彼女はとても頭がよく、兄様達もマホヤの頭の回転の良さには一目を置いていたからだ。
「リーシャには若旦那様の元に行って頂くべきと思います。エルマをお嬢様の側に残し、私とシシーが蒼騎士様の元に、シェリーとリズをアニス様の元に送ります。お側を離れますこと、ご容赦願います」
マホヤの言葉にトゥーネさんを見ると大丈夫そうなので、私も頷きみんなに指示をだしトゥーネさんと別れた―――――――――と、言うのが昨日の午前中の事だった。
ほとんど使われていない皇太子宮の奥の宮には現在侍女たちも含め、極僅かの者しかおらず、それを承知の上で私は巻きスカート風に仕立てていたスカートを手に持って走っていた。学生時代からの癖で、スカートをはく際にはショートパンツを履いているので問題はない。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・はぁぁ・・やべ、最近運動不足・・はぁ」
皇太子宮と王城をつなぐ回廊近くまで来たことを確認し、私は呼吸を整えて手にしていた巻きスカートを腰に巻きつけて飾りベルトを巻きなおす。
呼吸を整えて、スカートがさすがに少しは崩れてしまったけど、見られない事はないし大丈夫だろうと出来る範囲で確認し、良しと気合を入れて柱の陰から扉に近寄った。
「ウェ・・ご令嬢様?如何なさいました」
それにすぐさま気が付いたのは、最上位クラスと思しき色騎士所属の証の白3本と紅1本のラインの入った深緑の制服にマントを付けた男性騎士と、白いラインが2本の男性騎士。
まだちょっと心臓がうるさかったけど、令嬢たる笑みを張り付けて騎士様に近寄る。
「お勤めご苦労様です。おに・・宰相のマティアス様の御耳に入れたい事がございます。至急に」
「畏まりました」
少しの焦りが出てしまったが、それで何かを察してくれたのか二人の騎士様は互いに顔を合わせて頷き合うと一人は『御前、失礼いたします』と敬礼をしたのちその場を去り、もう一人が恭しく扉を開けてくれた。
「決して、ご無理はなさいませんように」
「・・・はい。ありがとうございます」
よくよく見ればこの騎士も先ほどの騎士も私が顔を覚えるほどは会ったことがある。騎士様が敢えて“ウェルナール侯爵”令嬢と呼ばなかったことに対し、兄様達が私に過保護なのも、どこに目があり耳があるか分からぬ中で私もそれに倣って答えた。
騎士様の真摯なその態度に私も頷き前を見据えると、最敬礼を持ってその場から送り出してくれた。
「呼び出しと言えば皇宮の外れ・迷路のような庭園の中・東屋・池のほとり・・・いやだ、どれもこれも点在してる。あっ、魔法がある事視野に入れてなかった」
王城に位置する大した許可なく入れる庭園は2つ。1つは、3つある城門の2つ目にある本当に誰でも入れる中城門にある庭園。もう1つは城内にもつながっている爵位持ちなら無条件で入れる大庭園がある。
さすがに大庭園と名がついている為にその広大な中を探そうとすれば、私の様な子供の足で1日あって足りるかどうかと、少しの絶望と言う名の焦りがよぎった時だった。
昨日のことも思い出しつつも、読み漁っていた事のある小説の内容を色々と思い出しながらそれでも忙しなく視線を目具させつつ歩いていると、視界の端の方に不自然な色彩を見つけて立ち止まった。
「これはこれは・・・嫌な光景」
運がいいのか悪いのか、王城の眼と鼻の先に位置する庭園の背の高い生け垣の近く、10数名は居るだろう色とりどりの“美しいご令嬢”達が明らかに1人の幼い少女を取り囲んでいるというモノだ。
現在私がいるのは皇太子宮近くのあまり目立たない渡り廊下で、皇宮の正面からなら隠れていただろうが、ここからだと良く見えるどころではない。バカみたいに丸見えだ。
『グリアフォールの前国王派の貴族がアニス嬢に危害を加えようとしているらしい。我らの不手際だが、国の中に“寵妃”と呼ばれていた側室と繋がっていた者がいるらしいのだ』
『なんで今更・・』
『憶測としては様々だ。あの“寵妃”の友人が仕掛けた仇討か、シドラニア皇室とこれ以上の繋がりを絶ちたいがためか・・―――――』
トゥーネさんの言葉が脳裏によみがえった。私には何が目的かは知らないけれど、もはや終わったはずの問題を蒸し返そうとする貴族がいる事が腹立たしく、自分の顔が嫌悪で歪むのがわかったが、それでも心の奥から湧き上がる嫌悪感と怒りが抑えられなかった。




