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オタクですけど、何か?  作者: TAKAHA
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1話


私がこの世界に来て今日で5日が経った。






とりあえず生きている












「ぅん~~~~っ!!よく寝た!!お腹すいた!」



自分がこれほどまでに図太い性格をしているとは・・・うん、再認識した気分ですよ。


初日、最初にやったことは程々の高さがあり上りやすそうな木の上に自分が寝られることができるだけのスペースを作ったことだ。

今の季節 ―――――元の世界の季節は真冬だった――――― 自分の部屋でも私はベッドで寝るのは極稀だ。どこで寝ているのかって?そりゃもちろん炬燵でしょう!寝るというよりは寝落ちしているというのがホントのとこですけども・・。



「さてと。今日はどうしようかなぁ」



寝床にしていた木から降りて、柔軟運動してから暫く湖に沿って歩いていく。

湖を最初に私がいた石から右に少し進んだ湧水の、この湖の源泉ともいうべき浅瀬のきれいな水を飲んで顔も洗う。鞄から出して持ってきたタオルハンカチで顔を拭いて大きく伸びをすると、朝のすがすがしい空気が肺の中にいっぱいに入ってくる。


29歳でとか年齢のことを言えば遇の音も出ないが、基本的に面倒くさいから仕事の時以外はノーメイクなのが幸いして水洗いだけでも意外といける。

ちなみにメイク道具は持ち歩いていなかったので、ない。


唯一あったのはリップ位だ。



「そういや、ブルドウっていう動物がこの森にいる中で結構なお金になるって聞いたなぁ~・・・狩りなんてできるかなぁ」



食事だが、調味料は使う材料がないからそのままで、珈琲や紅茶も淹れるための道具がないから手を付けていない。お菓子はまだ残っているが、主食にしていたパンももう2日前に底をついていた。



もともと大食いなだけあって、ちょっとずつ食べるのは空しいものだ。

丸顔で163cmの身長に対して平均体重より5キロは上・・・だから太っているのだよ!と言う言葉は自覚しているので聞きません。



この5日間で私は大体森の位置と近くの街の偵察を行っていた。こっそりと街をのぞいてみたらやはりと言うべきか異世界だと納得するしかなかった。

人々が話をしている言葉は分かったのだが、書いてある文字に馴染みがなく読めなかった。

最初こそは警戒しながら影から伺っていたのだが、それほど大きくはないのだが活気がって人種も様々いる交易の盛んな街みたいだった。














「よっし!イノシシ的な奴だったらそれほどでかくなけりゃいけるよな。ん~・・木の上から様子見とかすれば逆に襲ってこられても大丈夫だよなぁ?」



街で聞いた情報をもとに、私はその日今まで行かなかった森の奥へと足を踏み入れた。

唯一の難点としてはブーツではなくスニーカーを履いていればよかったというところだろう。


今の私の服は黒の少し大きめのロンTに白っぽいスキニーパンツに膝下の黒のブーツで少しぼさっとした ―――――シャンプーやトリートメントもなく手櫛だと限界ある―――――― ショートヘアはこの世界では騎士見習い(男の子)的な扱いで通った。


坊主といわれて返事をした私も私だけども・・


もちろん服はきちんと洗濯していますとも・・水洗いっていうのは気に入らないけど。


















「おはようございます、姉さん!」



礼儀正しさはどこ行っても共通で通じるものだ。始めこそ見慣れない私に警戒していた町の人々だが、――異世界人だという事を除いて――目が覚めると突然森にいたとか、記憶があいまいでここはどこですか?・・的に困ったように話をしたら同情とともに受け入れられた。


可愛そうな子で全く気にしない!どう思われても何事にも第一は自分の命だ。

どんなに愛想よくしようとも、他人とは十分に距離を取ります。えぇ、テニスコートを縦にしたくらいの距離はとりますとも。



「あらあらマコトじゃないかい!昨日はどうしたんだい?」

「姉さん達が言ってたじゃん?あの森にご馳走になる動物いるって!」

「え・・言ったけど、まさかブルドウを相手にしてきたってのかい?!」



怪我は無いかい?!といささか青い顔をして私に駆け寄って頭に肩に腕にと触りながら視線を走らせる姉さん ―――――名前を聞いたが、人の顔と名前を覚えるのが苦手な為忘れた――――― は怪我がない事を確認するとほぅっと息を吐いた。


この世界はみんな背が高いのか、少し見上げないといけないお姉さんの身長は私よりも5センチくらいは上だろう。



「確かに言ったけどねぇ・・危ない事はするんじゃないよ!」

「ははっ!うん、ごめんなさい。でも、自分は手持ちの金ないから少しでも稼ぎたくって」

「だから前金で雇ってあげるって言っているだろう?」

「色々教えて貰ってるのに、そこまで迷惑かけられないよ(文字の読み書きできないし・・)」



街の門をくぐって中央へ行く道の途中にある商店街的なお店の通り。

その1つが店の前に屋台みたいなのがあって、朝はそこでテイクアウトできるようなものを売り、昼から夜にかけて食堂というお店がある。


豪快に笑い喋り方が少しおば様と呼びたくなるが、柔らかなウェーブかかったオレンジ色の髪を無造作に一つに纏めて愛嬌のある深い蒼い瞳のどう見ても自分より年下に見えるお姉さんはこの街で一番私のことを気にかけてくれる優しい人だ。


余談としてはこの世界は美男美女率がとても高いらしく、右見ても左見ても見目の良い若い人たちが多い。

もちろん子供やお年寄りもいるけれども、何というのか・・なんか違和感があるような見慣れない景色だといつみても思う。



「う~ん・・そのブルドウの見た目がよくわかんないから何とも言えないけど、獲物を3匹取ってきたよ!良ければ買って欲しいなぁ~なんて!」

「「「は?!」」」

「さすがにここまで持って来れなかったから街外れに置いてあるんだ!買ってもいいって人いたら見に来てほしいんだけど・・ダメかなぁ?」



周りを見ながら無邪気を装って答えると、お姉さんの店の周りに店を構えているお兄さん方まで反応を示した。

私のその言葉に十人十色というか様々な反応が返ってきたのはいうまでもなかろう。



この世界には予想通りというかなんというか魔法が存在した。そして、魔獣もいれば獣人や精霊なんてのもいるらしい。街に普通にいるので獣人は見たことがある・・超かっこいい獣人もいれば、かわいい獣人もいる。


時折、何の獣人か聞きたくなる人もいる・・。


で、そんなわけで森の奥で試したところ使えたんですよ。何って、魔法が。異世界人である自分にこの世界の常識が通じる云々は置いといて、魔力が高くない人でも魔石を持っていると使えるって話なわけで、その魔石が私の世界でいうパワーストーンと同じみたいだね。

しかも、私が持っているパワーストーンは加工もされていてこの世界でいえば最上級品。売ったら相当高価だとは思うけど、1つ売って追剥ぎ等に会いたくないし生きていくため今はまだ隠しておこうと思う。

ピアスは見えてるけど、騎士なら見習いでもこのくらいは持っているものらしいのでそこはスルーだろう。

この話を聞いたのが街に出てきた3日前。ちょっとずつ迷惑にならないように独学で練習してみたら意外とすんなり出来て拍子抜け。




練習すればするほど正確に出来る魔法は、時間がたつほどまさに頭に浮かべた通りに出てくる。

これはあれだ、小説書くためとか、薄い本を作ろうとか・・私の想像力が結構高かったおかげかもしれない。ナイス、自分!!




そんなこんなで何とか引きずってきた――相当重かったが魔法で多少軽くできた――まるでヒグマの様な巨大イノシシみたいなの1匹と、やたらと角が立派な奈良の鹿みたいなの2匹が置いてある町はずれまで皆を引き連れてきた。



自慢なのは普通の女どもよりある力。仕事で鍛えた腕力マジ半端ねぇな!



いやぁ・・こいつらと対峙した時は本気で死ぬかと思ったし怖かった。

まぁ、まだちょっと自分で殺すことは怖かったので、気絶してもらっている感じかな。



無遠慮に背後から襲撃して、雷撃をくらわしたけど。






「え~っと、あぁ居たいた。あそこにある3匹!一応まだ生きてるよ、新鮮な方がいいと思って!」



あれがブルドウってやつ?と、聞くとついてきてくれた姉さんを始め街の人たち総勢15人は口をあんぐりとあけてぴくぴくと痙攣している3匹を見ている。

固まってしまった姉さんたちをどうしたらいいかと思っていたけど、暫くして気が付いた面々はまるで築地市場の競りのごとく競い合って高値で購入してくださいました。


この世界のお金は紙幣ではないらしく、すべて硬貨もしくは魔石。

詳しくはわからないけど、競りの感じを聞いた限りは銅貨100枚位が半銀貨1枚・半銀貨2枚で銀貨一枚・銀貨30枚位で半金貨1枚・半金貨2枚で金貨1枚といったところだろうか?魔石に関してはピンキリらしいので私には良く分からないが、ピアスについている石ひとつで金貨5枚はいけるらしいから持っている石全部売れば一生遊んで暮らせるかもしれない。



―――――元値は一万程なのに・・・すげぇな!!―――――



ちなみに言えば3匹売ったところで金貨2枚と半金貨1枚半銀貨7枚と銅貨67枚手に入れた。

















宿がないかと聞いてみたところ、何件かある中で一番セキュリティのよさそうな宿を見つけた。

その宿の一番安い部屋が一泊朝食付で銅貨10枚とのことだったのでその日から私の寝床はきちんとベッドになった。



やっぱいいよね!屋根があるところって!!



しばらく泊まりたいって言ったら、宿の主人の栗色の髪と眼鏡の素敵な兄さん ――――――子供さんが成人しているって言っていたから程々の年だろうが、若く見える―――――― が快くとてもいい部屋を貸してくれた。

一泊食事つきで銅貨57枚 ――――――実際は一泊半銀貨―――――― する部屋に通されてビビったけど、たまに獲物を下ろしてくれればいいと仰いました。意外とちゃっかりしている兄さんでびっくりした。



高価な獲物の時は逆にお金払ってくれるらしい。



勿論速攻で契約しましたとも!ご主人のカイさんと奥さんのミーヤさんはものすんごく好意的で、お互い親指立てて黒い笑みを浮かべましたとも!!




腹黒と見た!




あのイノシシみたいなのがブルドウで間違いないそうで、死んでいても高値で取引されるらしいが生きたままだとその3倍以上はするそうだ。何故かと聞いたら、生き胆が薬になるらしい。

もちろん肉は美味しく毛皮も使え、牙は武器に加工できる万能な動物らしい。まるで陸のクジラじゃんか。


鹿の様なのはカルガというみたいで一般的に食べられるみたいだが、野生のカルガの毛皮や角のほうが飼育されたものより高価に取引されるらしい。

角は装飾品になるそうで、飼育よりは野生のほうが食べているものや厳しい環境の元質の良い角が取れるらしい。



今回はブルドウだけで金貨2枚と半銀貨1枚と銅貨50枚の価格が付いた。

あれはまだ若い種らしく本当に大型のブルドウを生きたままとらえると金貨20枚はくだらないらしい・・・










やばい、もはや奴は金にしか見えなくなってきた。




はい、サブタイトルをつけるとしたら『野生児光臨』ですね。

あえてサブタイトルつけなかったのは・・自分の頭が足りなくて毎回考えられないと思ったからです。

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