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『銀閣寺』  作者: ミシマ
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銀閣寺

 それはある朝の出来事であり、しかしながらある意味では真夜中の二時半であり、狂気の最中に私は私を私として私全たる存在を私が知覚したのである。

 問題は。

 なぜでありどうしてでありどういう意味があり存在と言う意義である。

 それは痩せこけた狆よやうな卑近な生き物である私は、宇宙が降りると言うその時刻を持ってして、私を放棄するか、棄却するか、或いは超然として波動に委ねるかを取捨せねばならず、未だに持ってしてそれはやはり渾然と輝ける曙光と言える瞬間であつた。


 だが、これはまだ言えぬ。


 なぜならば。


 純然たる文学上の問題として、やはり美の象徴である銀閣寺は紛れも無く未だに皇國の問題として存在し、またそれはやはり不在であるからであり、オルタナティブな問題を孕んでいるから、とも言える。

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