奈美、お寿司を食べる
渚「あ~...おはよう...ってわああああああああああああ!!!!!!!」
朝起きると...
奈美「(-.-)zzZ」
何も着ていない奈美が俺をガッチリホールドして眠っていた。
渚「おーい...仕事あるから起きてくれよ...」
奈美の頭を揺するがびくともしない。
奈美「うにゅ....」
奈美が身体を擦りつけてマーキングしてくる。
甘い香り(俺の桃のエキス入りシャンプーの匂いだ....)が鼻腔をくすぐる。
レアン「おはようございま~す!
先輩~!
お弁当を用意.......」
どこから侵入したのか...レアンが笑顔でやって来て...硬直した。
渚「ちょっと...助け....」
レアン「.....けしからん。
もっとやれ。」
そう言ってレアンはトコトコといなくなってしまった...。
渚「何かツッコめよおおおおおおおおおおぉっ!!!!!!!」
我が家の休日は朝から俺を疲れさせるらしい....。
*********
渚&奈美「いただきます。」
なんとか立ち直った奈美と朝食を食べる。
今日はレアンの手作り弁当があるため朝食は作らなくてよかった。
美味しそうな卵焼き・ほうれん草のおひたし・秋刀魚の味噌煮などなど...。
うん、上達したね。
後でお礼言わないとな...。
奈美「寿...司?」
奈美は新聞に挟まっていたチラシを眺めているとあるチラシに目が行っている。
渚「それは寿司っていうんだ。
生魚をお酢っていう酸っぱいものとご飯を混ぜたシャリで握ったものだよ。」
奈美「こんな形のお寿司なんて見たことないんですぅ。」
渚「え?奈美の世界にもお寿司が...?」
奈美「はい♪
鮒寿司っていうお寿司をよく食べていました♪」
なるほどな...鮒寿司か...。
渚「今ではこの寿司が定番だからなぁ...」
奈美「そうなんですかぁ...」
奈美は興味津々そうに寿司のチラシを眺めていた。
渚「よぉし!
仕事終わったら寿司食いに行くか!」
奈美「はえ!?いいんですかぁ!?」
奈美は嬉しそうに跳びはねた...。
*********
渚「お客さん!見てくれよ!
このハサミ!
蟹のハサミも切れるしほら!
硬い実の殻も切れるんだ!」
観光客「なるほど~!
これは使える!」
渚「でしょう?
これ!
研石もつけますよ?」
観光客「いいなぁ....よし!
買うか!」
渚「ありがとうございます!」
今日も得意の商売文句が絶好調。
渚「安来鋼だから信用できるんですよ?」
俺は笑顔で商品を渡した。
観光客「あ!そうだ!
ねぇ君?」
渚「なんでしょうか?」
観光客「僕のこれ...修理できるかな?」
観光客の男が見せたのは錆びてボロボロになった包丁だった。
観光客「せめて切れ味だけでも治れば...って思ってるんだけど...」
渚「安来刃物店にお任せください!」
俺は包丁をもらうと伝説の研岩にかけた.....。
*********
渚「お任せしました!
ご覧ください!
ちょっと錆びは残ってしまいましたが錆びは綺麗に取れて使いやすくなりました。
もしよろしければ薄くなった包丁を再錬して元通りにもできますが?」
観光客「いや、このままでいい。
ありがとう...お礼にこれをあげるよ。
僕は苦手だからね...」
男から渡されたのは寿司券5000円分だった...。
*********
渚「ここ、俺が寿司食いに行く時いつもひいきにしてる店な。
って言っても回転寿司だけどな。」
奈美「回転寿司?」
渚「行けば分かるよ。
すみませ~ん!
二名で~!」
俺は店員に声をかけると奈美をボックス席へ連れていった...。
やっぱり奈美が今着てるミニスカ巫女服は目立つなぁ...。
席に座るといつものあいつが接客しに来た。
???「ちーっす!
渚!
今日は連れとかい?」
渚「ああ。
彼女、許嫁。」
???「許嫁!?」
雨野うずら...この回転寿司屋でずっと働いているストリートダンサー。
この回転寿司屋に行くと毎回なぜか彼女が接客してくる。
うずら「いらっしゃい。
うちは他の回転寿司屋と比べたら少し高いがデカイネタがウリなんだ。」
奈美「は...はぁ...」
奈美は若干引き気味に笑った。
*********
奈美「はうぅっ!色んなお寿司がお皿に載って流れてますぅ。」
奈美は回転寿司に興味津々。
渚「手にとってもいいが注意しろよ?」
俺は念を押しておいた。
奈美「はうぅっ...美味しそうなお魚ですぅ...」
奈美はカレイを手にとると手をあわせる。
奈美「いただきま~す!
あむっ!」
美味しそうに咀嚼する奈美だったが.....
奈美「!!!」
奈美、撃沈!!!
見事わさびに引っ掛かり激しく悶絶する。
うずらが気をきかせて緑茶をいれて渡すと奈美は一気に飲み干した...。
渚「だから注意しろって警告したのに。」
笑いながら奈美をからかうと
奈美「わさび...って何ですかぁ...」
と涙目で律儀に尋ねてきた。
渚「ワサビ(山葵)は、アブラナ科ワサビ属の日本原産の食用。独特の強い刺激性のある香味を持っていて、日本原産の香辛料。東欧では自産のセイヨウワサビが伝統的に出回ってる。日本にでも、家庭用練りワサビにはセイヨウワサビを使ったものが多んだ。」
丁寧に解説していると奈美がやっと立ち直った。
奈美「でも...いい香り...」
奈美はわさびを克服したらしい。
*********
奈美と俺は仲良く喋りながらお寿司を食べた。
奈美「神の世界で食べるご馳走より絶対美味しいですよ。」
渚「...奈美。」
奈美「はえ?」
渚「頼んでみるか?
伝説を...」
奈美は真剣な顔になった。
奈美「はい....」
渚「すみませ~ん!
大トロくださ~い!!!!」
*********
注文した大トロが運ばれた時、俺たちはそれを凝視した。
艶のある肉...脂がのったそれは神々しい雰囲気を醸し出していた...。
渚「半分ずつ食べよう。」
奈美「はい。」
俺はマイナイフ(柔らかい肉を斬る程度の切れ味しかない)でスパッと真っ二つにするとそれぞれ口に近づける。
渚「行くぞ。」
奈美「はい...」
俺たちは大トロを口に運んだ...。
奈美「!」
奈美が蕩けた顔で頬を押さえた。
奈美「ふあああぁぁぁぁ.......」
奈美はヘブンに行った...。
奈美「幸せ...。」
*********
渚「また頼むか?」
そう尋ねると奈美は
奈美「私はこれで十分です。
人生の幸せはちょっとずつが大切なんですよ?」
よく分からないが深イ話だな...。
奈美「もうお腹いっぱいです...。」
渚「じゃあ、終わるか。」
俺はおあいそお願いしますと言って代金を払う(券を使ったので払うのは100円で済んだ)と奈美と手を繋いで帰った...。
*********
次の日...
朝起きると奈美が俺の胸の中ですやすや眠っていた。
幸せそうだな...奈美。