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いきなりラスボスとか聞いてないんですけど!?

泣きじゃくった、これほどまでかというくらい。

何も考えないで無心になってただ泣いた。

笑われてもよかった、何をそんなに泣いてるんだと、泣き虫だと。

それでもいい、だって大切なものが全部、ぜーんぶ崩れたんだ。

残ってるものは自分だけ、そんな状況で泣かないほうがおかしいんだ。

だから恥じることは無い、そう思って泣いた。


わんわんと、最後の方は声が枯れていて声にならない声だった。


そして一通り泣いたあと、ある意味後悔した。

だって、見ず知らずの悪魔かも人間かもしれない何かのまえでわんわん泣いたんだ。

泣くことじたいは恥じることではないと思うのだけど、見ず知らずの以下略の前で泣くなんて!

羞恥プレイですか、ああ、そうですかコノヤロー状態だ。


自分で勝手に安心して勝手に泣き喚いたくせによく言うと思うのだけれども、それでもやっぱり、ね?

恥ずかしいものは恥ずかしいんだよコノヤロー!!


あまりの恥ずかしさに顔に熱が集まるのがわかる。

きっと私の顔は今赤面状態だろう。

こんな顔を見られるのもあれだし、相手の顔を見るほどの勇気も今はないので私はとりあえず正座をしながら俯いている。ごめんなさい、チキンで、へたれなんです!


じいっと膝の上に置いた拳を見ていると不意に声がかけられた。


「……あー、泣き止んだか?」


すいません、見苦しいものをみせてました。

何時間泣いたんでしょうね。


返事をしよう、そう思い口を開くが声が…


で な い !


OHHHHHHH NOOOOOO!?


どーしてだ!?何故?話せない!

え、泣きすぎて声枯れすぎてでないとか?え?


どんだけ泣いたの私いいいいいい!


いや、此処は気合で出すべきでしょう。


頑張って口をパクパクさせるもやはり声はでない。


「……声……でねーのか?」


そうです!そうなんです!の意味をこめて思いっきり首を立てにふる。

そりゃ、これでもかってぐらいにぶんぶんと。

そして唖然、目の前に居たのはこれでもかってくらいの


イ ケ メ ン きたこれええええ!


やべえ、そう思いながら首をぶんぶんと振り続ける、痛いわ。


「あー、わかったからもう首ふらなくていいから。どうすっか…」


本当、どうしましょう。

だって私人間です、こんな魔界みたいなところにいたらきっと三秒でぎゃああす!状態になります。

だって私、弱い、何も知らないわからない、独りだと死んじゃう。

今の頼りは、この人だけなんだ。


「とりあえず、魔城行くか……おい、もう大丈夫か。よし、俺の後ろについてこい」


こくり、一回だけ首を立てに振るとイケメンさんは満足そうに微笑んだ。

何だコレ、イケメンすぎるわ!目の保養じゃね?やっべ、さっきまでのシリアスぶち壊し!

それほどまでにその人はイケメンだった。


「おーい、早くしろー……」


いけない!あまりにもイケメンすぎて見ほれてたわ!

我にかえった私は急いでイケメンさんの後を追う。

そこで違和感、私足速えええええええ!


イケメンさんはかなりのスピードで走ってる。

だが私もひけをとらないほどのスピードで走ってる。


やべえ、私カオス!とか思っているとイケメンさんがぴたりととまった。

そのせいで私はイケメンさんの背中に顔面強打。

鼻がひりひりする、痛いよ、イケメンさん!


「ついたぞ」


イケメンさんはそう一言いうと魔城とか呼んでる場所に入ってく。

雰囲気があれだ、いかにも魔王いますよ!みたいな場所。

どうしようか、人間がいましたっていう報告でもされちゃうんだろうか?

いやいや、それだったらわざわざ連れてこないで殺すよな…


うーんうーんと独りで唸りながらイケメンさんについていくと、玉座みたいなものがある場所に着きました。これラスボスパターンじゃね?だって、玉座がある。幸い魔王様らしき人物はそこに座っていない、どうやら不在のようだひゃっふいい!


そう思ってたのも束の間。


イケメンさんが玉座のほうへ歩き出す。

ちょ、イケメンさんなにしてんの?


歩き出したと思ったらイケメンさんは玉座によいしょと座った。


ちょ、おま、待て。


え?え?え?


驚愕の表情でイケメンさんをじっと見ていると、

イケメンさんもその視線に気付いたのかニヤリ、微笑むと一声。


「自己紹介がまだだったな……俺の名前は魔王―サタン―。魔界を支配してる」


ああ、まじですか、あれですかあれ?


死亡フラグキタコレ。


いきなりラスボスなんて、聞いてない!


(もう、あの、帰らせてください、いや、まじで)

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