一人暮らしの裕慈。
「ねぇ、なんで裕慈は今の彼女とまだ付き合っとるの?」
草太は白い壁にもたれながら天井を見上げてポツリと言う。
「は?なんだよ、急に?」
裕慈はパソコンでの作業を止め、少し嫌そうに言った。
そしてベットの上で漫画を読んでいた遊輔も、漫画を閉じ、同じく聞く。
「・・・そう言えばそうだよな。何でまだ付き合ってるんだ?前の彼女と違いすぎる気がするから、すぐに別れると思ってたし。」
「おいおい、勝手に決め付けるなよ。確かに前と比べるとってなるとタイプも何もが違うが、だからってすぐに別れれば良いってもんじゃないだろ。」
裕慈はそう言って椅子をぐるりと回転させ、草太達の方を見て、どうやって説明するか少し考え始めた。
裕慈は、昔付き合っている女の子がいた。
裕慈が好きだったので、裕慈が告り始まった恋愛。相思相愛の恋は付き合ってる期間は長く、彼にとっても彼女にとっても幸せの日々だった。しかし幸せはいつまでも続く事はなく、高校を卒業すると同時に会えない日々が続き、彼女からの愛が無くなった。
別れを切り出された彼は彼女の事がまだ好きだったが、彼女がそれを望むならと別れを受け入れた。
それから彼は、新しい恋を見つけられないまま幾つもの歳月を過ごした。いや、どちらかと言うと、もう恋なんてしないと思ったまま幾つもの歳月を過ごした。
楽しい思い出を思い出す事もなくなり、仕事に熱中する彼。だが、そんな時、突然の転機が起こった。
なんと彼は、1人の女の子に告られたのだ。
男友達の友達であった彼女。ただの知り合い、もしくは友達ぐらいにしか考えてなかった者からの突然の告白。優し過ぎる彼は悩んだ末、その告白を受け入れた。
それが今の彼女だった。そしてその時から最早半年が過ぎようとしている。
そんな状況を知っているからこそ草太達は疑問を持つのだった。
「じゃあまず簡単な質問、彼女の事を思う気持ち、好きって感情の最大値はどちらの時にあった?・・・ってか今の彼女を好きって気持ちはあるの?」
考える裕慈に草太が質問する。
「そりゃぁ一応好きって気持ちはあるさ。それにそんな質問だと、前の時は俺の方が告った訳だし、前の時の方が好きの感情は多いって事になってしまうさ。」
「なんとも曖昧な答えだね。まぁいいや、とりあえず裕慈は相思相愛の関係の幸せを知ってるわけじゃん?今回の様に告られた場合は好きって感情は後から付くものだから、半年も好きの気持ちも少なくただ相手の気持ちに答え続けるのって辛くない?」
それは相思相愛の純愛を求め続ける草太らしい質問だった。その質問に少し目を瞑って悩んだ後、裕慈はゆっくりと整理した言葉を話した。
「確かにまだ大好きって程ではないから相手の気持ちに答え続けるの事はとても辛いさ。・・・けど、だからといって嫌いでもないし、何よりこんな俺を好きでいてくれる彼女の要求を断れるわけがないさ。」
「・・・それもそうだけど、結局もう付き合い始めて半年くらい経つよね?好きって気持ちがいつ生まれるかは分からないけど、半年経ってもまだ生まれないようなら、これからもずっと好きって気持ちが生まれない可能性だってあるんじゃないかな。その理論でいき続けると、好きって気持ちが生まれないまま、いずれ結婚迫られて、それも断れずに結婚する羽目かもしれないよ?」
「うわー・・・俺は無理だわ。好きでもない子と半年、いや1年とか付き合った時点でもう別れる。それだけ付き合っても何も感じないなら、もう好きって感情生まれそうにないし。逆に相手を騙している気分に襲われそうだし。」
聞き返す草太の言葉を聞き、ベットの上でゴロンと仰向けにひっくり返った遊輔も言う。
「・・・まぁ確かにそうなるのかも知れない。だがそれは『恋愛』をどう捕らえているかで変わってくるんじゃないか?ちなみに草太や遊輔は『好き』って感情がどこまであれば『好き』になるんだ?」
少し納得しながらも、また質問をする裕慈。その質問には草太は胸を張って、遊輔は考えながらそれぞれ答えた。
「僕なら相手の為なら例え火の中水の中って位、命をかけてでも守りたいって思えたら『好き』になったと思ってるよ。」
「俺は体ばっかだから『好き』って感情は分からんけど、多分・・・体以外の事をしてても楽しいって感じれた時、体目的以外でも遊びたいって感じれる子がいたら、『好き』なんじゃないかなって思うぜ。」
お互い違う答え。裕慈はそれを聞いて諭すように言った。
「な、2人の答えは違うだろ?けど、それでも2人とも間違ってないし、正解だとも思うぞ。恋愛って結局はどこの時点で恋愛がなりたっているかは人それぞれだ。俺の場合だと相手からの思いは強いが、俺からの思いは弱い。それは相手の『好き』って気持ちに優しさで返しているだけにも見える。けどそこは捕らえ方の違いで、相手の気持ちに答えれる時点で恋愛は成り立っている物だと俺は思う。確かに彼女が『ただ今会いたいから来てよっ』って言われても、忙しい時間を割いていくのは正直面倒くさい。けどそこは、前回彼女にやって嫌われてしまった部分でもあるから、どうやってでも行く。それで相手が喜ぶ事も知っているからな。だから俺の中では『好き』ってのは相手を喜ばせてあげたくなったら生まれている物じゃないかな、と思う。」
裕慈の語りを聞いて、草太は遊輔のほうにそっと近づいていく。
裕慈は1つテンポをおいて話を続けた。
「つまり、『好き』って感情に囚われ過ぎるのもいけないって事だ。前回と比べてって話を持ち出したらきりがないし、人が違うんだから恋愛としての形も違うのが当たり前だと思ってるんだよ、俺は。」
それを聞き、草太は小声で遊輔に言った。
草「(ねぇ、裕慈は優し過ぎるくらい優しいから、その理論だと全ての女の子に対して好きだって事にならない?)」
遊「(確かにな。ってか器の大きさの違いを見せ付けられた気がするんだが、気のせいか?)」
草「(僕らの器は小さいって事?)」
遊「(やめろ、ハッキリ言うな。恋愛が器の大きさで決まる、なんて認めたくない。)」
「・・・おーい、他人の部屋のベットの上で、その持ち主の悪口をこそこそ言うのは勘弁してくれないか?」
それを見かねて裕慈が大きな声で言った。
「いや、違う違う、お前の事を褒めてたんだよ、なぁ草太?」
「そうそう、悪口なんてねぇ・・。言うわけないよ。(汗)」
挙動不審な動作をしながら、遊輔と草太が答える。
それをジーっと見ながら、ふーーーんっと見透かしたように言うと裕慈はまぁいいかと、椅子を回転させてまた作業に戻った。
それを見てまた小さく話し始める2人。
草「(裕慈さぁ、絶対もっと別の良い子探した方ががいいと思うんだけど。)」
遊「(あぁ、なんか勿体ないよな。)」
草「(普通にこれだけの器持ってれば、もっと良い子落として幸せ掴めると思うのに、何でそこで満足できるんだろうね。)」
遊「(それこそが器の違いなんだろうな。)」
草「(・・・違いないね。)」
2人はこそこそ話を終えると深く溜息をついた。
このシリーズ?はこれにて終了です。
色々書きたい事とかもありましたが、ゴタゴタしてしまったのでやめます。
ぶっちゃけ自己満足に書きたい事を書き並べただけとなってしまいましたね・・・。
・・すみません。