④バッドエンド
『すーはー』
「おはよう」
「おはよう」
「今日も寒いね」
『うん。でも空気が澄んで美味しいよ?』
「すーはー」
『すーはー』
『ね!美味しいでしょ?』
「本当だ。でも、美味しいけど寒いね」
「こんな朝から水汲みとか嫌だね」
『ねー』
「でも早く終わらせないと、また婦長に怒られちゃう」
『水汲みもまともに出来ないのですか?貴方たちは』
「似てるー」
『あははは、じゃあいこうか』
「うん」
「はい、桶」
『ありがとう。一人2つとか腕が太くなりそう』
「だよね。これって男の仕事じゃないの?」
『まーまー、仕事は他にもあるから。薪とか割りたい?』
「それは嫌。そっかー、じゃあしょうがないか」
「井戸まで遠いのも不便だよね」
『だねー。旦那様金持ちなんだから、近くに掘ってもらえばいいのに』
「あー。旦那様は自分で水汲みしないから分かんないんじゃない?」
『あれ?あそこ』
「どうしたの?」
『柵が壊れてる』
「あれね、何日も前からそのままらしいよ」
『だめじゃない。ちゃんと直して貰わないと』
「ハンスさんが直すらしいよ」
『あの怠け者か…でも、大丈夫かな?』
「どうしたの?」
『壊れた柵をそのままにしておくと、人喰い熊が入るって…』
「なにそれ怖い」
『おじいさんから聞いたの…』
「やめてよ」
『ごめんごめん。早く終わらそ?』
「急がないとね」
『熊が出る前にね』
「っ…」
「やっと井戸だけど誰もいない」
『やった、一番乗りじゃない』
「…早く終わらそうよ」
『怖がりだなぁ』
「あっ」
『もう、ちゃんと持ってないから釣瓶桶落ちたじゃない!』
「ごめん…」
『もう一回…え?』
「きゃあああああああ」
『…本当に熊』
「あなたのせいよ!あなたがあんな話するから!あなたがなんとかしなさい!私は逃げるから!」
『あ、ダメ、急に動いたら…』
「痛い…助けて…痛い…」
『あ、あ、血が、それに…』
「………」
『ダメ…このままじゃ私も…にげないとでも、無理かも…』
『きゃあああああ、痛い、痛い、痛い、助けて、誰か助け………』
『………』
本作は会話のみの制約を設け、そこから物語がどう崩壊・収束するかを試した実験的短編です。
キャラクターの行動と会話だけで状況を進める構造を意識しています。




