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久遠の僕と永遠なる君 6話

本文の「…!!」の後に挿絵が入っています。

pixivやXに飛んでいただけると閲覧できます。

 先生と僕が出会って一年が経とうとしていた。あたりは雪で真っ白になっていた。気温も下がって寒くなっているのだろうが、僕たちは魔法で体温維持ができるので、実際は寒さをあまり感じていなかった。あれから先生は笑うことや悲しむことだとかを覚えていった。一通りの感情はもうわかっていて、なんなら楽しんでいるらしい。今までの氷の様に冷たかった表情はすっかり溶けてしまったみたいだ。先生の柔らかい表情は優しい声ともよくあっていて、僕も暖かい気持ちになる。僕は先生に出会った時以上の幸せを感じていた。僕の求めていた"これ以上"が自分の手の中にあるような、そんな気がした。

 ところが最近、先生の様子が少し、いやかなりおかしい。僕と先生は確かにすごく仲良くなっているはずなのに、先生が急に僕を避けだしたんだ。僕は悲しくなった。ここまで来て、ここまでしてどうして避けられてしまうのか。僕はこんなにも先生のことが好きなのに…いや、先生も僕のことが好きなはずなのに、まるで嫌われてるみたいだ。僕はそれが悲しくて堪らなかった。僕は最初の時と同じ様に、思い切って先生に聞くことにした。「先生、最近僕のこと避けてませんか?どうして…?」先生は「あっ…、あのそんなことはない…と思いますよ?」と、少し焦るような素振りをみせながら言った。

 明らかに以前とは全然対応が違う。何かを恐れている様にも見える。僕は先生に触れようと近づいた。先生は僕が縮めた分だけ、さりげなく、だけど確実に僕から距離を取った。つまり先生は僕との距離を一定以上に保とうとしている。何で?僕はそんな先生の行動に少し苛立ち、一気に距離を詰めた。すると、先生は「すみません!!!」と声を張り上げたと同時に、僕を突き飛ばしてまた距離を取った。

 僕は涙が出そうになった。どうして?そんなに嫌われるようなことをした記憶もないのに。先生に突き飛ばされて僕の髪は少し乱れていた。乱れた僕の前髪の隙間から先生の姿が見えた。「…!!」僕は思わず息を呑んだ。髪の隙間から見えた先生が、先生の顔が真っ赤になっていたからだ。僕は確信した。先生は僕のこと嫌いになんてなってなかったんだ。僕の勘違いだったんだ。そして、大きな誤算でもあった。忽ち、僕の顔も赤くなっていった。僕と先生はきっと今、同じ気持ちになっている。同じ…気持ち。嬉しさと恥ずかしさ、そして僕も知らない感情。僕はこの感情の名前が知りたくなってしまった。僕は先生に「先生、僕も先生と同じ気持ちみたいなんです。けど、僕はこんな気分になったことがなくてわからないんです。ねぇ?先生ならわかりますよね?僕のこの気持ち、教えてください」と言ってしまった。先生はまだ感情を覚えて日が浅い。なのに、僕は先生にまた教えを求めてしまった。流石に厳しいか?と思っていたが先生は「わ、わかりました。私と一緒にゆっくり学んでいきましょう…」と言ってくれた。これは拒絶ではなく、許容であった。僕と先生はこの日を境に何かが変わってしまった。

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