第十七章18 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】93/【芳一】の第9班の展開(【フィクション・レジェンド三部作/フィクション・レジェンド・ノベル(虚構伝説小説)編】)11
最後は、【サーバド】の腕試しだ。
彼女は【芳一/聞虚無】に【小太刀】の方が良いと言ったのと最初に【鬼退治】を提案した手前、グダグダで無様な戦いは見せられない。
だが、彼女は代々、【覇王/オーバーロード】となる器の存在が【覇王/オーバーロード】になる前から仕えてきた由緒ある【執事メイド】の一族の存在である。
全てのジャンルでサポートが出来るオールラウンダーでもある。
不得意分野は基本的に存在しない。
つまり、護身術や殺陣などもやっていると言う事になる。
【芳一/聞虚無】の様な超神技は無理でもそれなりの実力はある。
そんな彼女に近づいてきたのは、一見すると、ウサギの様な姿をしているが、これも醜く歪んだ姿となっている。
【寄生鬼】に寄生される前はちゃんとしたウサギなのだろうが、現状はシルエットがかろうじてウサギに見えるだけでウサギとは似ても似つかない容姿をしている。
【サーバド】が近づくと、それは更に醜く変形し、二足歩行の鬼になった。
ウサギの長い耳はそのまま角に変化し、異様に長い角を持つ鬼の様な姿になった。
【サーバド】は、
「お嬢様と比べたら拙い児戯に過ぎませんが・・・
参ります・・・
【小太刀一刀流蜃気楼の舞】」
とつぶやくと、残像をたくさん残し分身の術の様に【サーバド】が何人にも見えたかと思うと、水面に映った姿が、投げられた小石で歪む様に次々と歪み、それと同時に小太刀の連撃で、【ウサギ型の寄生鬼】をめった刺ししてみせた。
そして、三度、何の異能も見せる事なく、決着が付いた。
それを見た【道化】は、
『若干腕に疑問が残る者(【美耶魅】の事)も居ますが、貴女方の戦闘力の高さは理解しました。
やはり、【寄生鬼】のレベルを少なくとも十五、六段階は引き上げた方が良さそうですね。
このままでは本当に勝負にならない。
異能を使う必要が全くない。
これでは面白味がありません。
なのでレベルを格段に引き上げさせていただきますけど、よろしいですよね?
元々貴女方の目的は【寄生鬼】と戦うのが目的なのですから』
と言った。
【芳一/聞虚無】は、
『かまいませんよ。
と、言うよりそうしてください。
このままでは来た意味がありませんので。
それなりに苦戦させていただきませんと面白くありません』
と言った。
【道化】は、
『ではメンバーを総入れ替えしますので、次からはこうは行かないと思いますので覚悟しておいてください。
ではごきげんよう』
と言って消えた。
【芳一/聞虚無】は、
『じゃあ、お茶にでもしましょうか』
と和やかムードだった。
【道化】の言葉を意にも介していない様子だった。