第十七章16 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】91/【芳一】の第9班の展開(【フィクション・レジェンド三部作/フィクション・レジェンド・ノベル(虚構伝説小説)編】)9
【芳一/聞虚無】が【刀型】、
【美耶魅】が【両刃剣型】、
【サーバド】が【小太刀型】、
の【異能武具】をそれぞれ手にした瞬間に、辺りが急に暗くなった。
昼間だった光景が、まるで深夜の様な状況になっている。
【芳一/聞虚無】が、
『来ますわよ・・・』
とつぶやくと、それに呼応するかの様によたよたと犬らしき獣が出て来た。
【美耶魅】が、
『何あれっ?』
とつぶやくと、【芳一/聞虚無】は、
『わたくしから行かせていただきますわ。
手出し無用に願います』
と言って前に出た。
【芳一/聞虚無】が近づくと、犬の様な獣の身体が急に膨張し膨れあがった。
そして四足歩行だった犬?は、二足歩行の禍々しい姿の鬼の様な姿になった。
近くで見ていた『道化』は、
『腕を信用しない訳では無いのですけどね・・・
最初だから様子を見させていただきます。
貴女方の実力をね。
それが最初の敵になります。
【犬】の中に【寄生鬼】が寄生して、鬼の姿になったのがあれです。
異能を1つ持っているはずですよ。
そして貴女方の【異能武具】にも異能が1つ付与されている。
どう戦うかは貴女方次第です。
貴女方の実力・・・試させていただきますよ』
と言った。
【芳一/聞虚無】は、
『残念ですわ・・・』
とつぶやいた。
【道化】が、
『どういう事でしょう?』
と聞くと、【芳一/聞虚無】は、
『あの程度の相手では実力を示すには値しません』
と言いながら、刀をチンっとならした。
【道化】が、
『ほう・・・』
とうなった。
【芳一/聞虚無】は、
『もう、斬ってしまいましたので』
と言った。
それと同時に、【犬】の【鬼化】した【寄生鬼】は真っ二つに斬り裂かれ、【犬】は元の犬種、【ミニチュアシュナウザー】の様になって、【芳一/聞虚無】に懐いてきた。
漫画やアニメで表現される天才剣士も真っ青の凄腕の抜刀術だった。
異能を一切使わず、【異能】の力を持っている【刀】そのものだけで敵を正確に斬り裂いたのは見事な腕だと言える。
【主人格】よりましな程度だと言っていたのは謙遜と言ってよいだろう。
結局、【犬型の寄生鬼】がどんな【異能】を持っていたか解らなかったし、【芳一/聞虚無】が所持している【刀】に付与された異能も今の戦いでは一切解らなかった。
【芳一/聞虚無】は、
『次はもう少しましな敵をご用意くださいね』
と言った。
【道化】は、
『そうした方が良さそうだね。
今のままでは少なくとも君の相手にはならない』
と賞賛したのだった。