偉大なる魔法使いinようじょ
むかしむかし、あるところに、とても偉大な魔法使いがいました。
だけどその魔法使いは、その魔法使いの存在を邪魔に思う闇の魔法使いに殺されてしまいました。
闇の魔法使いは、自分よりも魔力が強くて偉大な魔法使いが居る事が許せなかったのです。
しかし魔法使いは、自分が死ぬ瞬間に、とある魔法を使いました。
輪廻転生の魔法です。
今の魔力だけでも、次の自分へと残そうとしたのです。
闇の魔法使いでも、死んでしまった後の魂にまでは干渉出来なかったようでした。
それから百年以上過ぎたある日、一人の女の子が誕生しました。
誰よりも強い魔力を持ったその子は、すくすくと成長し、三歳の誕生日を迎えました。
女の子には姉が居ました。
ぱそこん、すまほ、なんの事か分からないけど、姉の話はとても面白くて、誰も知らないような色々な事を知っている姉が、女の子は大好きでした。
だけどある日、姉が馬車に轢かれそうになったのを見てしまった女の子は、咄嗟に姉を庇って死んでしまいました。
家族は悲しみました。
まだ三歳なのに、どうして、と。
しかし、次の瞬間その女の子は、また、同じ家、同じ父親と母親、同じ姉の元に、誕生しました。
女の子には何が何だか分かりません。
皆を悲しませたと思ったら、笑っている皆がそこに居るのです。
でも、笑っているなら、良かった。
女の子は、また同じ名前をもらって、沢山の人に祝福されました。
そして、またすくすくと育って、三歳になったある日、また、大好きな姉が馬車に轢かれそうになって、女の子は、あの時と同じように、姉を庇って死んでしまいました。
また、皆を悲しませてしまった。
そう思った次の瞬間、また、女の子は同じ家族に囲まれながら、誕生を祝福されていました。
そして、三年が経ち、また姉が馬車に轢かれそうになって、女の子は、あの時と同じように姉を庇って死んでしまいました。
それを何度も何度も、何十回と繰り返して、女の子は気付いたのです。
自分は、同じ事を、同じ時間を繰り返している。
同じ名前、同じ家族、同じ反応。
全部全部、同じでした。
わたしは、いつも三歳で死んでしまう。
それに気付いた時、女の子の頭の中で、何かが弾けました。
沢山の記憶が頭の中に溢れます。
とある偉大な魔法使いとして生きた年月全てが、女の子の頭の中にありました。
三歳の誕生日が来る前に魔法使いとしての記憶を思い出した女の子は、行動を起こしました。
まずは、姉を助けて、自分が死ぬ事を回避する事。
それは魔法を使えばとても簡単でした。
そこからは、知らない事ばかりが起きましたが、魔法使いの記憶が助けてくれました。
村が食糧難に陥った時、森に入って食べ物を採ってきたり、こっそり畑の植物の成長を促進させたり、様々な事をしました。
だけど女の子は、何度も死にそうな目に遭いました。
何故こんなにも死が身近なのかと、探知魔法を使ったり、様々な考察をした結果、闇の魔法使いの存在を思い出しました。
自分よりも強い魔力を持つ者が許せないという、その闇の魔法使いは、幼い内にとわたしを殺したのだろう。
ならば、家族の為に、絶対に死んでなんかやるものか。
女の子は決心しました。
そこからは、女の子は、自分に出来る事を全部やりました。
国中を探知して把握、何処にどんな人物が居るのか、昔自分が住んでいた隠れ家の場所、遺跡、全て調べました。
前世以上の力と知恵と、財力、幼い少女は頑張ってそれらを集めました。
そんな女の子が五歳になったある日、村に一人のお爺さんがやって来ました。
それは、お忍びでやって来たこの国の王様でした。
何をどうしてそうなってしまったのか不明ですが、どうやら道に迷ってしまった様子でした。
女の子は王様だと気付いていましたが、こんな小さな体では疑われる事など無いだろうと、普通の女の子として接しました。
王様は、普通の優しいお爺さんでした。
ありがとうね、そう言って微笑む王様に、女の子は笑顔で、どういたしまして! と返しました。
それから暫くして、女の子の情報網により、国の宰相が、王様に謀反を企てている事を掴みました。
ですが、今の自分では信じてもらう事も、助ける事も難しい。
初めて、この小さな体が恨めしく感じました。
しかも、この国の筆頭魔導師が、あの時の闇の魔法使いだったのです。
肉体こそ違いますが、魂は同じ存在。
常に誰かを犠牲にしながら、今までずっと生長らえ、生まれ変わったわたしの命を狙って来た存在。
女の子は、王様を助ける決心をしました。
その頃、王様は他国に訪問へ行っていて、国には居ませんでした。
そして、王様は常に命を狙われていました。
女の子は気付かれないように王様を助け続けました。
しかし、ようやく城まで帰った王様を待ち受けていたのは、宰相による裏切りでした。
国中から嫌われるように吹聴されていた王様に、居場所はありませんでした。
女の子は、そこでようやく、王様の前に姿を現しました。
このままでは、王様が処刑されてしまうと思ったからです。
闇の魔法使いに、自分の存在がバレてしまう事になりますが、負けるつもりはありませんでした。
女の子は戸惑う王様とその従者を連れて、改造して自分の隠れ家にしていた遺跡へと案内しました。
ここでまた、国を作れば良い
どうせあんな奴がする政治、ろくなもんじゃないから、国民なんてすぐ集まる。
女の子はそう言って、王様をなぐさめました。
そして、その時、外から轟音が響きました。
闇の魔法使いが来た。
そう呟いて、女の子は王様をそのままに、遺跡の装置を起動させ、魔法で城壁を作りました。
そして、とうとう闇の魔法使いとの戦いが、始まる……!
という夢を見たんだ。
………………続きは!?!?(自問自答)