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邪神ちゃんはもふもふ天使  作者: 未羊


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第81話 邪神ちゃんと食堂の拡張

 いろいろ考えた結果、持ち帰り用の商品は串焼きとピザという事に決まった。ピザは元々8等分を一人分として売っていたので、それを持ち帰り用に転用した形だ。飲み物はミルクと果汁。果汁もリンゴとオレンジの二種類がある。

 食堂の改装は、その分のスペースを増設する事になった。なにせ、入口から厨房までが遠いし、食堂の両脇には道はなく別の建物が建っている。ただ、隙間は大きく取ってあったので、そこへ建物を増築した感じとなった。店内の客と交錯せずに料理を運ぶためのスペースである。ちなみに、この分厨房のスペースも広がり、そこに果汁搾りの設備を移す事となった。これで忙しい厨房とも交錯せずに済む。液体を床にこぼすといろいろと大変だから、そこは考慮された形である。

 ちなみにこの増設は営業を続けたまま行われた。完成したら営業時間後に壁を壊して繋げたのである。ちなみにこの持ち帰りのために新たに人を増やした。会計に一人、厨房に二人である。フェリスメルの村には料理に興味を持っている人間が多かったので、意外と早くあっさり人は決まった。

「これで明日からは、増設部分で持ち帰りの営業を始めるわけだけど、ここまでの経験上、こちらもそれなりに人気が出そうね」

「おいしいものと聞けば、人は目がありませんからね。それだけフェリスメルにはみなさん期待しているという事でしょう」

 フェリスが予想と話せば、アファカも同意見なのか否定はしなかった。

 実際、職人街の食堂はかなりの大盛況ぶりである。ペコラも夜中には帰ってくるのだが、いつもかなり愚痴を言っていたように思う。仕込みは仕込み専用の人が居て、その人が代わりに夜中から頑張って仕込んでいる。仕込みを行うのはフェリスメルの在住者で、職人街に住んでいる人だ。食堂の裏に住んでいるので、通勤時間はなんとたったの数秒である。その人たちが頑張って用意してくれた食材を使って、午前中の営業が行われ、並行しながらさらに仕込みを続けていく。これによって何100食という1日の食堂をやりくりしているのだ。それはもう疲れても当然という話である。さすがの邪神も毎日これでは参るというわけだ。

 ちなみに聖教会に居た時には負けないくらい食事を作っていたが、食事がちゃんと1日に3回と決まっていたのでそこまで困る事はなかった。だが、食堂は酷いとひっきりなしに客がやって来るので、それがペコラが疲れたとか言い出す原因となっていた。こればっかりは仕方がない。村が行商の通り道になっているというのも食堂が混む原因を作っており、こればかりはそうそう解消する事のない状況のようだった。

 とりあえず持ち帰りの専用の窓口を設けた直後、初めての営業を迎える。その窓口には『串焼きとピザ、お持ち帰り始めました』と書かれている。あらかじめメニューを示しておく事で、トラブルを減らしておく算段のようである。

「おーっす。今日はフェリスもそこに立ってるのか。珍しいな」

 ルディが職人街にやって来た。普段はジャイアントスパイダーの飼育場にかほとんど顔を出していないのに、珍しいものだ。

「まあね。言い出しっぺとして責任があるから仕方ないのよ」

 まだピークを迎える前なので、フェリスはカウンターで外を見ながら暇そうに立っていた。裏方に回ろうとしたらみんなから断れてしまったのだ。そして、気が付いたら通りから目立つ、お持ち帰り用のカウンターに立たされていたというわけなのだった。店内用カウンターからも追い出されてしまったのである。

「まあ来たついでだ。ピザを1枚くれ」

「はいはい、ピザね」

 ルディからの注文を厨房に伝えるフェリス。厨房からは元気な声が返ってきた。特にメルの声が大きい。

「どうよ、ジャイアントスパイダーの様子は」

「ああ、すっかり村の人間にも慣れたのか、大人と居てもそんなにストレスにゃなってない。相変わらず俺だけは嫌われてるけどな。近付こうとすると、じりじりと後ろに下がってくんだよ。ここに来てから生まれた個体にも同じ反応されるから、根本的に火属性の俺とは相性が良くないらしい」

 ルディはちょっと愚痴を込めながら喋っていた。慣れたとはいってもやっぱりショックなのはショックなようだ。

「今日のところは俺がスパイダーヤーンを帰宅ついでに運んでおくから、フェリスも店の手伝い頑張れよ」

「まあ頑張るわよ」

 話をしているうちにピザができ上がる。ピザは土に還りやすいハバリー特製の素焼きプレートに乗って出てきた。

「こいつはハバリーの魔法か。おどおどしてる割には、魔法はピカイチだよな」

 ルディは皿を見ながら感想を漏らしていた。

「ほいよ、銅貨2枚な。まぁ、頑張ってくれよ」

「はいはい。あんたもね、ルディ」

 ルディは片手で皿を持って、空いた手を振りながら食堂から去っていった。

 そして、いよいよ食堂が戦場と化す時間がやって来たのだった。そう、お昼のピークタイムである。

 午前中は人がまばら過ぎてあまり宣伝されなかったが、お持ち帰りシステムもいよいよ覚悟の時間がやって来たようなのであった。

 フェリスの拳に力が入っていた。

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