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邪神ちゃんはもふもふ天使  作者: 未羊


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第54話 邪神ちゃんと服作り

 今日のフェリスたちは、家でいそいそと魔法縫製で服を作っている。ペコラの協力を得て羊たちから刈り集めた毛やスパイダーヤーンを使って、冒険者用の鎧下となる服を作っているのだ。それというのも、先日やって来たゼニスの依頼のせいである。

 冒険者によっては鎧下とはいっても胸部の部分だけという者も少なくはない。魔物などの攻撃に備える前衛ならまだしも、遊撃を行うようなタイプの冒険者は機動力を重視するために、意外と服で覆う面積が減るのだ。まあ前衛や後衛でも布地の少ない冒険者はそれなりに居る。そういった冒険者向けの服を大量に頼まれたのである。

「フェリス様、冒険者ってどんな方なんですか?」

「メルはあたしの知識があるといっても、やっぱり見た事がないから理解できないかな」

「うう……、はい」

「凹まないの。そうやって質問するのは悪い事じゃないんだから」

 フェリスはメルの頭を撫でて慰める。凹んだのはフェリスのせいだが、こうしてあげるとメルはすぐに機嫌がよくなった。

「冒険者っていうのは、個人から数名の群れを形成して動く人たちの事ね。兵士たちとは違って活動場所が限定されない人が多いわ」

「へえ、そうなんですね」

 メルにはいまいちピンとこないのか、聞こえてくる返事にはあまり気持ちが入ってない。

「あと、所属している先が違っているのが特徴として挙げられるわ。兵士というのは国、街、村とかのようなまとまった団体だったり、貴族や商会のような金持ちが雇っているのに対して、冒険者たちは組合というのに所属しているのよ」

「ふむふむ、そうなんですね」

「他にもいろいろ特徴的なところはあるけど、すごく説明が長くなりそうね。うん、面倒だからパスだわ」

 ここまで説明しておいて、残りを端折るどころか全部投げ捨てるフェリス。あまりの展開にメルは驚いてこけそうになった。

「とまぁ、そういうわけだから、目立ってなんぼっていうのかしらね、冒険者っていうのはそのくらい服が個性的なのよ。これが兵士だったら統一規格で作るのが楽なんだけどね。面倒だけど、いろんな種類が作れるから楽しいといえば楽しいかもね」

 そういう感じで喋りつつ、フェリスはどんどんと魔法縫製で服を作っていく。

「主だった付加としては、大きさ調整、汚れ防止、破れ防止、火耐性をつけておけば十分だと思うわ。あとは防具とかでなんとかなるでしょ」

 喋りながら作るフェリスの魔法縫製は、もはや流れ作業と言っていいレベルになっていた。一方のメルはとにかく慎重で、喋っている間は失敗しないようにと手を止めていた。ここにも二人の性格と経験の差が出ているのである。

 さすがにお昼を迎えると、食事のために作業の手を止める二人。今日の昼食はペコラとハバリーが作っている。最近のハバリーは子どもたちと一緒にジャイアントスパイダーの世話に行っているようで、戻ってくる時には自分の体くらいはあるスパイダーヤーンを抱えて戻って来る。自分の身の丈ほどの量といえばとんでもない重量になるものだが、そこはボアの邪神らしくしっかりと押し潰されずに無事に持って帰ってきていた。

「フェリス、どうなのだ。服の進捗具合は」

 ハバリーと一緒に食卓を用意しながら、ペコラがフェリスに進捗を尋ねてくる。

「まあ、6割くらいってところかしら。ただ、今あった糸の在庫は全部使い切っちゃったから、しばらく作れないわね」

 フェリスは椅子に座りながら、すっかりスパイダーヤーンの貯蔵庫となった部屋の方を見ていた。

「あれれ、結構溜まっていたと思ったけど、あれを全部使い切っちゃった?!」

 それに驚いていたのはハバリーだった。ハバリーは毎日のようにクモたちの世話に出ては糸を持って帰ってきていたので、その減り具合を聞かされては、驚かずにはいられないというものだ。

「おー、今帰ったぞ。飯はできてんのか?」

 そこへ伸びをしながらルディが戻ってきた。何気に頻繁に揃うフェリスたちである。

「はぁ、結構クモどもの餌取ってくるの、疲れんだよなぁ」

 ルディは肩を掴んで首を左右に振っている。何やらゴキゴキという音が鳴り響いている。肩でも凝っているのだろうか。

「でも、世話してあげないといけないですよ。この村の立派な収入源なんですからね」

 愚痴るルディに言い聞かせているのはメルだった。メル自身はこの村出身のしがない牧場主の娘なのだが、フェリスの眷属になってからというもの、すっかりお姉さんっぽくなってしまった。年自体はまだ子どもだというのに貫禄が出過ぎている。おそらく、これはフェリスの眷属となった事による影響で間違いない。とはいえ、悪い影響ではないのでそのままにしてあるというのが現状である。

「とりあえず午後は、気分転換に村でも散歩しましょうかね」

「そうですね。家の中に閉じこもってばかりでもいけませんものね」

 食事をしながらフェリスがそう呟くと、メルはしっかり聞き取って同意していた。

 そういう感じで、ゼニスからの依頼を受け付けて忙しいながらも、実にマイペースなフェリスたちなのであった。

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