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邪神ちゃんはもふもふ天使  作者: 未羊


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第39話 邪神ちゃんと眠りの邪神

 昔話に花を咲かせた翌朝の事。いつも通りメルは早くに起きて朝ごはんの支度をしている。ただ、今日からは更に一人分増えた。

「おはようなのだ……」

 その増えた犯人はフェリスの邪神仲間である羊の獣人ペコラだ。ペコラ自身も魔族で、なんでも相手を強制的に眠らせる能力を持っているそうだ。ほんわかのんびりした感じの彼女からしたら、実に恐ろしい能力である。

「相変らず朝は弱そうね、ペコラ」

「おはようなのだ、フェリス……Zzzz……」

「立ったまま寝るなっ!」

 ペコラは器用な事に、廊下の真ん中で立ったまま寝てしまった。自身もかなり寝坊助のようである。

「あだっ! 急に立ち止まんな、ペコラ」

 頭を掻きながら歩いてきたルディが、そのまま前を行くペコラにぶつかった。それでも起きないペコラ。眠る事にかけてはエキスパートなのかも知れない。その漫才のような光景に、メルはご飯を作りながら笑っていた。

「それにしてもペコラ、よくここが分かったわね」

「フェリス様の事なら分かりますのだー」

「何怖い事言ってるのよ」

 朝ご飯を食べながら、フェリスがペコラに村にやって来た理由を聞いたのだが、よく分からない事を言っている。だが、詳しく聞いていると行商人から話を仕入れたようだった。

「その頭、奇抜の髪型だと思わせておけば、まさか魔族だなんて思わないものね……」

 フェリスの呆れたような反応に、ペコラはえへへと照れ笑いをしていた。褒めてはいないんだけどね。

 しかし、実際にペコラの頭はもこもこの羊の毛でまん丸になっている。この中に羊の耳と角が隠れているわけで、外からは見えない上に手を突っ込んでみないと誰にも分からない。だからこそ、人間のフリをして行動できるというわけなのだ。その上、語尾が特徴的で人懐っこいから、よく話もしてもらえるそうだ。

 このペコラが邪神扱いになっているのは他の面子の事もあるのだが、一時期無差別睡眠テロをしていた時があったのだ。それが原因で眠りの魔族とか眠りの邪神とか呼ばれた事があったのだ。ちなみに、いたって本人はフェリス同様に無邪気な元動物である。

「はー、あーしもここに腰を落ちつけようかなー。フェリスが居るのなら、それだけでも理由として十分なのだ」

「それは助かります。これからこの村は人が来るようになるでしょうから、商人経験があるペコラ様は助かると思います。あと、私の家で牛を飼っていますので、よろしければお手伝い頂けると嬉しいです」

 ペコラの言葉に、メルがもの凄く反応している。

「んー、あんたはフェリスの眷属なのか。でも、あんたの頼みは聞けないのだ。邪神は気ままな存在なのだ」

 ペコラは食事を味わいながら、目を横一文字にして喋っている。

「あら、ならその食事没収するわよ。その食事はメルが作ったんだから、当然そうなるわよ」

「わとと、この食事を作れるのか? だったら聞いてあげるのだ。あの頃の食事を再現できる人材は貴重なのだ」

 フェリスが食事の事に触れると、ペコラはあっさりと手の平を返した。のんびり屋のくせに食い意地だけは人一倍張っているのである。

 というわけで、食事後はメルの実家へと顔を出す事にした。村の中を歩けば、「天使様」「ルディ様」という単語が飛んでくる。ルディ様はそのままルディの事だからいいとしても、天使様という単語をペコラは理解できなかった。すると、

「フェリス様がボアの群れを一瞬で倒して下さった事で、村長が率先して叫んだんです。そしたらそのまま落ち着いてしまったんですよ」

 と笑いながらメルが説明していた。何度聞いても恥ずかしい話である。

「あはははは、フェリスが天使? ウケるのだ!」

 ペコラがお腹を抱えて大笑いする。当然ながらフェリスはカチンときて、ペコラのもこもこの頭をごつんと叩いた。怒るとすぐに手が出るフェリスだが、それは邪神仲間だけにだけである。

「痛いのだーっ!」

「嘘を言いなさい! その髪の毛で痛いわけないでしょうが!」

 フェリスとペコラがぎゃんぎゃんと喚いている。その姿を見たメルは、

「なんだか、ルディ様が来られたばかりの時みたいですね」

 と顔を引きつらせながら笑っていた。周りの視線が気になるからである。

「まったく、ペコラも成長してねえなぁ。ああやって一度は必ずフェリスを怒らせるんだ。たまにとばっちりが来るからシャレにならんぞ」

 ルディはいつもの事と冷めた感じで見ている。ところが、

「やべぇ、あのバカ、発動させやがった!」

「えっ?」

 ルディがすぐさま反応すると、フェリスたちの周りの村人がバタバタと倒れていく。

「おいバカやめろ!」

 ルディがものの見事にペコラに踵落としを決めた。すると、ペコラはふらふらとしながらその場で気絶したのだった。

「えっ、何が起きたんですか?」

「何って、このバカが催眠音波を出したんだよ。眠りの邪神って呼ばれるだけあってな、怒るとか機嫌が悪い時にはこうやって無差別に周囲の奴らを眠らせるんだ。しかし、メルも効いてないとは、さすがフェリスに可愛がられてるだけあるな」

「ええっ、そうなんですか!?」

 メルの疑問にルディが答えると、メルはとても驚いていた。なるほど、近くで倒れている人たちはただ眠っているだけのようだ。

「しっかしまぁ、これじゃしばらく動けねえなぁ」

 ペコラは気絶、周りには眠りこけた村人が十数名。

「……あたしがちょっと大人げなかったせいかなぁ」

 フェリスもこの状況に、ちょっと凹んでいたのだった。

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